2014/07/12

IT系の勉強会でそこそこ上手く話せる3つのトピック

いわゆる勉強会というやつをやってみた。IT勉強会カレンダーに掲載するほどオープンなものではない。SlideShareにアップロードしている人が多少いたくらいか。

内容はエンジニアリング系で、JavaによるWebアプリの開発とその周辺分野が中心だった。各自がスライドを用意して順番に話し、聞き手が質問や意見を投げかける、といった形で進行する。

何人もの発表を聞き、実際に自分自身で話してみて、「この手の勉強会でそこそこのクオリティを担保するためのポイント」が少し見えてきたのでメモする。


*発表テーマ

重要なのは結局、話す内容に尽きる。スライドが見やすいとか、話し方が丁寧だとか、そういったプラス点は瑣末なもののように感じた。あるいは、内容の良さと伝え方の良さは連動しているのかもしれない。いずれにせよ、発表テーマが重要であることに異論はないと思う。

それなりに魅力的だった発表トピックは、主に「問題解決型」「手法紹介型」「原理解説型」の3つに分かれる。また、聞き手に対する影響として「既知/共感」「未知/刺激」の2種類があるように思う。これらは私の主観的な分類と命名で、他意はない。


*問題解決型

話者が実際に直面した問題とその解決策を共有する。まず「こういうことがしたい」から始まって、「とりあえずこうやってみた」が、「こういうエラーが起きた」。調べてみると「実はこうなっていたからだ」と分かった。その後、「じゃあこうすればいい」と解決策に辿り着く。

既に同じ問題と出会ったことのある人は、課題提起に共感し、解決策を聞いて「そういうことだったのか!」と感心する。少し時間を掛けて調べたり試行錯誤すれば同じことは学べたはずだ。しかし、スケジュールや優先順位の関係もあり、必ずしも学習に注力できるわけではない。だからこそ、「少しだけ頑張って1つ調べました」を複数人が持ち寄ることで、勉強会が成り立つのだと思った。

一方、その問題とまだ出会っていない人は、将来同じような問題と出会ったときのための方向性を学ぶことができる。とは言え、実感していないと理解できないことも多い。そうした聞き手にとっての意義はむしろ、いざとなったときに「誰に聞けばいいのか」「どのスライドを見返せばいいのか」というリファレンスを蓄積できることだと思う。

なお、問題を複数列挙することもある。「ついついやってしまうミス」「ツールを初めて使ってみたけど分からないことだらけだったよ」といった内容だ。この場合は主なものを3点ほどにまとめて、失敗例(アンチパターン)と成功例を順に示すと分かりやすい。


*手法紹介型

話者が新しいツールや方法を紹介する。まず「こういうことがしたい」から始まって、「でもどうしたらいいか分からない」or「すぐに思いつくやり方だと手間が掛かる」といった聞き手の状況に理解を示した上で、「こういうのがあるんですよ」と紹介する。そして「こうやって使います」と手順やサンプルコード、デモを示す。

「こういうことがしたい」と思いつつ、無知や手間が原因で行動できなかった人は、発表を歓迎するだろう。また、そのツールや手法について、言葉だけ聞いたことがあるとか、検索して調べてみたけどいまいち理解できないとか、書籍を購入したものの読んでいないとか、そういった人は、実践的でシンプルな手順・サンプルコードをすぐに活用するはずだ。

一方、手段を知らないが故に「こういうことをしよう」という発想さえ持たない人もいる。彼らは新しい手段を知ることによって、次の機会に「こういうことをしよう」と思いつくことができるようになる。「あのツールを使えば簡単にできるかもしれない」という見積もりがあるので、実行を恐れない。シンプルなデモを1つ見るだけで、素人は勇気づけられ、挑戦できるようになるのだと思う。


*原理解説型

自分たちが普段使っている技術の裏側はどうなっているのか、といった原理を解説する。「あまり知らなくてもこうすれば問題ないからOKだよね」と現状を共有した上で、「でもこういうとき迷いませんか?」と投げかける。そして「じゃあ全体像を理解して安心しましょうよ」と提案する。

ツールの仕組み・全体像を知らないまま利用している人は、潜在的な不安を抱えている。かといって、時間を掛けてドキュメントに目を通すほどの必要性は感じていない。そういう人は多い。当然ながら、「短時間でドキュメントの要約を理解したい」というニーズを抱えている。10人が1つずつツールを担当して要約すると、1の努力で10の知見を共有することができる。

そもそもツールを利用したことがない聴き手の場合、その発表を聴くことで全体像をざっくりと知ることができる。結果、効率的な自主学習に繋げることができるかもしれない。少なくとも、知らないから手を出しにくい、という状況から前進するはずだ。聞いた上でやっぱいいやとなったり、実際に使っていないから聞いても分からないかもだけど。

ちなみに、注意点としては単調でつまらない発表になりがちだということ。文献やドキュメントの要約を話すことになると思うが、そういった引用元は「脳をフル回転して主観的に読むこと」を想定している場合が多い。同じ内容を同じように話すだけでは、発表の場において、受動的な聴き手にとって苦痛な時間となる。

したがって、話したいことが10あったら1に抑えるべきだと思う。なるべくビジュアル化して、なるべくシンプルに、要点だけを紹介する。「つまりどういうこと?」「だから何が言いたいの?」と思わせないように練習・改善を繰り返すのが良いかもしれない。苦労の割に受けが良いとは限らないのでコスパは悪い。ただ、説明力は格段にレベルアップすると思う。


*最後に

スライドについて補足する。①共有・DL可能な状態にすることと、②参考サイトや推奨書籍を掲載しておくと、聴き手にとって嬉しい。①はサンプルコードを読み直すときに助かる。②はより体系的な・より深みのある学習へと繋げることができる。

時間制限のあるプレゼンテーションでは、聞きたことの10%も覚えられず、言いたいことの10%も伝わらないので、見返せるスライドだとか、分量のある本にバトンタッチするのが望ましい。

なお、偉そうなことを書いてはいるが、自分は全然上手く話せなかった。結構悔しい思いをしたので、同じ過ちを犯さないように振り返ってみた所存である。要は、反省文でした。

おしまい。

2014/07/07

顧客分析ツールで創作の登場人物にリアリティを持たせる

文章を書き慣れるために、とにかく記事を更新していきます。



【この記事の要約】

*前提:人間の行動・心理を分析するためのマーケティング手法があります。
*主張:それを小説執筆などの創作活動に応用してみてはいかがでしょうか。
*結果:あなたの作品のキャラクターは、より現実的な存在になります。

*具体例① ジャーニーマップ:「カフェに入ってから注文する」といった1つのアクションについて、一連の行動を時系列でマッピングします。

*具体例② 共感マップ:1人の人間について「言動/態度」(アウトプット)、「見聞」(インプット)、「思考/感情」(内面)、「Pain/Gain」(欲望)で要素分解します。



【本題】

1:人間を理解するためのマーケティング手法がある。

企業のマーケティング活動について、脚本術や物語作法を応用しようとする流れが一部に存在します。コミュニケーション面では「いかに分かりやすく話を伝えるか」「相手に寄り添えるか」「相手を引き込めるか」が要求されるからです。

また、それだけではなく様々な顧客分析手法が登場しています。ユーザーについて理解しなければ、使ってもらえる製品やサービスを開発することはできないからです。上辺だけのアンケート結果では参考にならない場面も多々あります。だからこそ、いかに顧客の深層心理まで読み解くかが重要だったりするのです。

HUNTER×HUNTER風に言うと「何を思い、何に怒り、何を好み、何を求めるか、どこを旅し、誰と出会い、どんな経験をするのか。それら全てが」1人の人間としての顧客を「形づくるのです」。そういった顧客のインサイトと向き合うために、色々なツール・手法が開発されています。

そこで、今度は反対に「小説や漫画などの創作活動を行う人が、マーケティングツールを逆輸入したら面白いんじゃないか」ということを思い立ちました。



2:具体例「ジャーニーマップ」

顧客の一連の行動を時間軸でマッピングする手法です。例えばスターバックスでは、お店に入ってからお店を出るまでに、顧客がどのような行動をするのかを分析しています。その上で、より快適な空間を提供するための改善努力を行っているのです。

参考:User Experience Journey Map - ユーザーエクスペリエンス・ジャーニーマップ
参考:エクスペリエンスジャーニーマップ/カスタマージャーニーマップ

同様に、登場人物が2人でカフェに入る場面を想像してください。どちらがドアを開けるでしょうか、どのように開けるでしょうか、開けた人と開けてもらった人のどちらが先に店内の異変に気付くでしょうか。

2人がどんな人なのか、どんな関係なのかによって答えは変わります。もちろんそれだけではなく、なぜカフェに入ったのか、荷物はあるのか、季節や気温や天気はどうなのか、どんなカフェなのか、多くのチェーン店と同じようにドアは透明なのか、普段から来客は多いのか、初めて入る店なのか、などなど。

そういった事情が違うと「カフェに入る」というアクションを行う際にも、時系列での行動は変わってきます。

初めて入る店であれば、カフェの前に駐輪している自転車の数に圧倒されてしまい「空席はないかもしれない」という半ば諦めた気持ちで、硝子ドアの向こうを覗き込むでしょう。ドアを実際に開けるのはその後です。

しかし、普段から来店していれば、その自転車が隣のビルの進学塾に通う学生たちのものだと知っているので、安心しきった気持ちで躊躇いなくドアを開けるでしょう。

1つのアクションを終えるまでに、どんな行動を取っているか、取り得るか。本来取りたかった行動を期待通りに取ることができるのか、できないのか。その際にどんな感情が生まれるか。

本人が意識しているかどうかさえ明確ではないレベルで、その人間の行動を分析できているでしょうか。想像だけで文書化するのは難しいものがあるので、時系列での行動や感情といったものを図にしてしまいましょう。



3:共感マップ。

ある人間について「見たもの/聞いたこと」(外部からインプットされた情報)、「発言/行動/態度」(外部にアウトプットした情報)、「思考/感情」(外部とのやり取りによって影響を与え合う内面)、「Pain/Gain」(結果として得るマイナスとプラス:背景となる苦痛や欲望)を要素分解します。

参考:ファンが共感する6つのポイントがわかる「共感マップ」の簡単な利用法
参考:『図解ビジネスモデル・ジェネレーション ワークブック』無料サンプルの該当頁

例えば、カフェに入った先輩♂と後輩♀。先輩は財布を取り出そうとしますが、肝心の財布は鞄の奥に入り込んでしまったようでスマートに取り出せません。何とか支払いを終えた後、後輩がスムーズに財布を取り出すのを見て、先輩はもやもやします。

背景には、異性の後輩に良く見られたいという下心(Gain)があります。しかし、財布を取り出すことに時間を掛けてしまいました(行動)。

たとえ実際には相手が気にしていなくても、店員や後輩やレジに並ぶ他の客が自分を待っているという事実。公共の場で他人に迷惑を与えることが恥だという社会通念(思考)。相手に恥を見せてしまったという実感。その結果、生じる焦り(感情)。

さらに、後輩がスムーズに財布を取り出した(見聞)ことで、それができなかった自分との格差を感じ、ショックを受けます(Pain)。後輩のことをまだ良く知らないのであれば、彼女はしっかりしている人間なのだろうか、なさけない失望されたのではないか、と絶望しています。

ところが、実は財布を取り出す時間は大差なかったのです。彼女側視点で物語を描くと、先輩が会計を行っている待ち時間で、財布を取り出しただけだったのです。しっかりものではありません。自分が財布を取り出すことに意識を取られて、先輩の焦り具合にさえ気付いていません。

しかし、先輩はどうでしょうか。下心(Gain)を満たすという目的の達成から遠ざかり、ショック(Pain)を受けています。このギャップを解消するためには、何らかの手を打たなくてはいけません。次にアウトプットされる言動は、この深層心理の影響を受けているはずです。たとえ本人が意識していなくても。あるいは意識した上で、不自然にならないように平静を保とうとするかもしれません。

その結果、焦りで声のボリュームが少し上がってしまうとしましょう。すると、後輩は「公共の場で大きな音を出している自分たち」の存在が周りに迷惑を与えているように感じるかもしれません。そんなことが何度か続くと、遊びに誘っても「今日はちょっと……」と断られるようになるかもしれません。

あー、そういうことだったのか。



4:作品のリアリティは登場人物のリアリティ。

いかに時代考証を重ねた歴史大作であっても、いかに分厚い設定資料で塗り固めたファンタジーであっても、登場人物の言動や思想にリアリティがなければ、作品としての魅力は損なわれてしまうように思います(その不自然さが読み手に対して独特の魅力や安心感を与える場合は別ですが)。

特に「作者にとって都合の良い展開に誘導するために、無理矢理キャラクターを動かすこと」で不自然さが生まれます。言うはずのないことを言い、取るはずのない行動を取る。物語がキャラクターを動かす状態です。

そうではなく、キャラクターが自発的に行動し、結果として物語が動く。作者の意思を超えて、登場人物が自分の意思で自分の人生を生きる。作者はただ必死に追いかけて物語の結末を見届ける。これが1つの理想と言えるのではないでしょうか。



おわり。

やはり私のブログの書き方は間違っている。

--- 背景 ---

3ヶ月ぶりにエントリーを書いたところ、明らかに読みにくい記事が出来上がってしまった。そこで、知人にお願いして、問題点と改善点を指摘してもらった。備忘録としてメモしておく。


--- 結論 ---

*ターゲットと目的を明確にする。
*情報の粒度を統一させる。
*スマホでも見やすいUIにする。


--- 本題 ---

【問題点①】開いた瞬間にターゲットと目的が分からない。

記事自体が「企画を考えるときはターゲットを明確にしようね」的な内容を含んでいるにも関わらず、自分がその原則を遵守していなかった。

本来の意図としては「自分が企画を考える際のチェック項目をざっくりとまとめておこう」くらいの気持ちだった。だとしたら、「◯◯についてはきちんと考えていますか?」といった確認リストっぽい見せ方をした方が分かりやすい。


【問題点②】 情報の粒度が一貫していない。

用語の解説、具体例、実際に行うべき作業、ざっくりとした方向性。こういった異なる粒度の情報が、同じインデントで括られている。構成に一貫性がない。

事前に考えていなくても、短い文章であれば、書きながら情報構成を調整できる。同じような感覚で無策に情報を書き出してしまった。再発防止策としては、なるべく早い段階で情報設計を行うことだと思う。

※とはいえ書き出す前に設計するのもなかなか難しい。実際に書き始めてみて「用語解説」や「具体例」が必要だということが分かったら、その段階でストップ。無理に書き進めないで、これらの情報を他の情報と区別できるように書き直す。


 【問題点③】スマホだと読みにくい。

箇条書きの見せ方として、共通の情報のまとまりは、同じ幅だけインデントを下げた。結果、スマートフォンから閲覧すると、レイアウトが崩壊してしまっていた。

自分がPCで記述・閲覧することしか想定していなかったことが根本原因。UIとしては、問題外のミスだったと思う。以後、スマートフォンなど複数デバイスの画面サイズを想定したい。読み手に対して失礼すぎるなぁと反省。

※見出しレベル(いわゆるh1, h2, h3, h4, h5, h6)をどう見せるかという各論に絞ると、色や太さといったCSS装飾で区別できるようにするのが一般的な方法。あるいは、インデントを下げたいのなら、頭だけでなく文のブロック全体を下げると読みやすい。


おわり。


--- 結論(再掲) ---

*ターゲットと目的を明確にする。
*情報の粒度を統一させる。
*スマホでも見やすいUIにする。


--- 補足 ---

そういえば、文章を書く仕事をしている友人に『良い文章を書くために心掛けること。』を聞いたことがあった。まず書いてみて、色々と改善を積み重ねるしかないのかもしれない。

2014/07/05

新規サービス開発について学んだこと(1)企画

社畜生活の中で実践とインプットを繰り返しているので、ざっくりまとめます。Webサービス系の事業開発をどう進めていくか、そのために何が必要なのかという内容。全てが必須ではないし、ケースバイケースですが、思考の補助として参考になれば幸いです。

ただ、私自身がきちんとした知識・経験を有しているとは言い難いので、あくまでも現状で示すことができるMAXです。痛くて恥ずかしいミスをしているかもしれません。学習に合わせて加筆・修正を重ねるつもりです。

不十分な点があればご指摘いただけると幸いです。内容に限らず、文章が分かりにくいといったことでも結構です。Twitter(@yuzutas0)、Facebook、LINE、コメント欄、ブコメ、メール、直接会ったときなど、どんなツール・タイミングでも歓迎です。


アウトライン 1. 企画 ←いまここ
2. 環境構築
3. モック
4. 開発
5. 運用
6. グロース+その他


1. 企画(何をやるか)

1-1. 注目ポイント①:十分な市場があるか?

  *各種メディアやインタビュー記事で、市場動向は把握できる。
    *年末年始に日経新聞や東洋経済が出している雑誌の特集は分かりやすい。
    *スタートアップ企業のピッチや、流行サービスのネット記事も参考になる。
    *その他、カンファレンス/研究報告書/アナリストのコメントなど。

  *『ハイ・コンセプト』は、21世紀のマーケットチャンスを大まかに分類している。
    *物に溢れた時代:機能だけでなく、体験/意義/ストーリー性/人間関係に価値。
      *一方、まだ物不足の地域や人々もいる。そこでBOPといった観点が登場。
    *機械が人の仕事を奪う:共感や遊び心は人間にしかできない。
      *一方、ツールが定着しないケースも多い。機械を作るのもチャンス。
    *専門知識のコモディティ化:全体最適を判断できることが求められる。
      *例:優秀な医師は、知識量ではなく、患者の生活全体を踏まえた治療。
      *例:昔はその病気を治せるだけで価値だった。
      *一方:希少疾患の治療薬など、コモディティ化されていない知識は価値。

  *最終的には単なる計算。
    *市場シェアと顧客単価から参考となる利益を概算する。
      *大企業での新規事業立ち上げでは重視されている気がする。
      *ベンチャーでは後述のペルソナ/課題ベースが優遇される風潮かも。


1-2. 注目ポイント②:ターゲットと問題は明確か?

  *誰にソリューションを届けるのか。
    *具体的な人をイメージできるようにペルソナを特定する。
      *迷ったときはペルソナを踏まえて判断する。
      *例:2つのデザインのうち、この人はどっちを好むか?と問いかける。
    *具体的な手法は文献参照。
      *『UXデザイン入門
        *調査:エスノグラフィー/インタビュー/観察/日記調査。
        *モデリング:行動変数/データマッピング/セグメント分け/文書化。
      *『スタートアップ・マニュアル
        *デモグラフィック/サイコグラフィックを明示して文書化。
        *その人はどんな1日を送っているのか?
    *自分自身や身近な人の方が成功確率が高い。
      *ターゲットの特徴や背景を正確に把握できる。
      *調査や仮説検証を行いやすい。知らない人に頼むのはハードルが高い。
      *実際のソリューションを提供する際に、最初の利用者となってくれる。
  
  *その人はどんな問題を抱えているのか。
    *問題に遭遇してから対処するまでのストーリーを把握する。
      *本気で対処していない問題は、そもそも解決する価値がない。
        *「あったらいいな」ではなく「なければ困る」を狙う。
        *「こんなサービスあったら面白そう」だと、結局使われない。 
      *参考:上記『スタートアップ・マニュアル』の課題認識度指標。
        *課題がある<課題を自覚<解決策を模索<自前の解決策を既に保有。
    *具体的な手法は文献参照。
      *参考:上記『UXデザイン入門』や『スタートアップ・マニュアル
      *参考:『Running Lean』の構造化インタビュー技法。
    *普段の生活の中で「誰がどんな問題を抱えているか」をメモすると良いかも。
      *例:新婚の友人と会話。
      *発見:夫婦の起床時間が違うとアラーム利用に抵抗感=問題。

  *注意:ストーリーに別の人間が登場する場合。
    *実際にソリューションを利用するときには人間関係が鍵になる。
      *例:業務ツール:導入を決める人/予算を決める人/実際に使う人は別。
      *例:動画の共同編集:発案者/面倒臭がり/PCに疎い人で使い方が違う。
      *例:子供の受験教材:意思決定は母親/予算は父親/利用者は子供。
    *全関係者のペルソナを定める。
      *参考:上記『UXデザイン入門
      *3種類のペルソナ:主役/脇役/黒衣。
    *人間関係図(組織図・顧客相関図)を書く。
      *参考:上記『スタートアップ・マニュアル
      *営業ロードマップ
        *どの順番にどんな営業をすれば、サービスを使ってもらえるか。
      * 顧客アーキタイプ
        *意思決定者/予算管理者/リコメンダ/インフルエンサ/エンドユーザ
      *顧客タイプ
        *初期評価者/エバンジェリスト/拡大期顧客/メインストリーム
        *これらに加えてアーリーアダプター。
          *不完全でもソリューションに価値を感じる顧客のこと。          *初期評価者(新技術に触れたいだけの人)より献身的。
          *エバンジェリスト(製品を広めてくれる人)より消極的。
          *参考:『リーン・スタートアップ
    *影響関係を図示する。
      *参考:『ビジネスモデル・ジェネレーション ワークブック
      *共感マップ
        *各ペルソナごとに作成。
        *インプット:外部から見たもの/聞いたもの。
        *アウトプット:外部に対する言動/態度。
        *影響結果:思考/感情⇒不(Pain)と欲(Gain)の発生・解消。
        *各ペルソナ間で、情報のやり取りと影響結果を図示。

  *その問題はどのように発生しているのか。
    *問題構造を分析する。
      *いわゆる科学的な思考体系があると良いかも。
        *学生時代の専門分野を初めとして、論文を読むと良いかも。
        *特定の問題の構造解説がなされている。
        *先行研究の要約として、解決アプローチが列挙されている。
        *私の場合はミクロ経済学を応用すると分析しやすいです。
      *色々なサービスを知る。
        *「誰の、どんな問題を、どう解決しているのか」に注目する。
      *普段から思考するクセをつける。
        *困ったことが起きたら最適解と再発防止策を模索する。
        *その過程で問題を分析する。
    *問題構造のどこをどう変えれば解決するか当たりをつける。
      *解決策に落とし込むには思考の飛躍が欲しいかも。
      *原則:新しいアイデアは、既存のアイデアの結合によって生まれる。
        *手法としては、いわゆるブレーンストーミングやKJ法。
        *さまざまなアイデアの引き出しを蓄えておいてそこから引き出す。


1-3. 注目ポイント③:競合はどうなっているか?

  *競合や既存の解決策が見つからない場合。
    *競合の捉え方が間違っているケース:誰の何が課題かを元にきちんと探す。
    *そもそも解決する価値がないケース:企画は却下。
    *解決したくても上手く解決できていないケース:理由を分析する。

  *既存の解決策・活動を置き換えるよう意識する。
    *ターゲットが時間やお金を費やすに値するサービスを作りたい。
      *「あったらいいな」ではなく「なければ困る」を狙う。
      *なければ困るのだから、ターゲットは何らかの対処法を既に持っている。
      *しかし、その対処法は完全ではないかもしれない。
      *だから、そこを置き換えるサービスを提供する。
    *最終的にはユーザーが時間を費やしたりお金を払うことになる。
      *そのお金や時間をどこから捻出してもらうのか。何を捨ててもらうのか。
      *前の解決策から新しい解決策に引っ越しをしてもらうのがスマート。

  *どのように既存の解決策を置き換えるか。
    *使いにくさ(Pain)を解決するか、良い点(Gain)をさらに伸ばす。
      *参考:『Value Proposition Canvasとは何か
        *例:語学力を付けたいという課題。解決策は英会話学校。
        *Pain:英会話学校に通うのは大変。授業日時が固定で、生活に支障。
        *Replace:融通の効く時間設定ができれば良い⇒Skype英会話。
    *既存サービスに対して勝てそうな要素を探す。
      *参考:『ビジネスモデル・ジェネレーション』Business Model Canvas。
      *既存のソリューションがどのようなビジネスモデルなのか要素分解する。
      *9つの要素:顧客/関係/チャネル/解決/問題/パートナー/資源/収入/支出。
        *例:英会話学校。
        *Cost, Partner:日本国内だと外国人講師を雇うための人件費が高い。        *Replace:フィリピンなら人件費を抑えられる⇒Skype英会話。
      *1つでも要素を変えること=イノベーション。
        *参考『イノベーションのジレンマ
          *持続的イノベーション:業務最適化やツール導入による支出削減。
          *破壊的イノベーション:Skype英会話という解決モデル。

  *置き換えではなく模倣という手も……。
    *全く同じサービスを別の国や地域で行う(=クローン市場)。
      *Business Model Canvasの要素「顧客」を変える。
      *顧客の違い=文化や背景の違いに伴って、他の要素も調整する。
    *レッドオーシャン市場で戦う。
      *顧客フォローや丁寧な説明など、ちょっとした点で差別化する。
      *1人1人に対して最適化されたサービスを提供する。
    *自分の成功体験をベースにしてサービス化する。
      *例:友人に地元の美味しい料理屋を紹介した⇒地元民による紹介サイト。
      *例:文書管理のために自動化スクリプトを作る⇒業務ツールとして販売。
    *注意:他の地域も/他の人も、その問題を解決したいと思っているか。


1-4. 競合の補足:問題解決型、文化創出型、習慣型。

  *既存の活動(job)を置き換えるのが問題解決型サービス。
    *より良い解決方法があるなら、人間はそちらを利用する。
    *例:「速い馬が欲しい」=「速く移動したい」⇒ 自動車の発明・普及。

  *映画やTV番組、ニコニコ動画といったサービスは文化創出型と言える。
    *問題/解決の対応や置き換えが見えにくい。
    *歴史的な文脈のもとで置き換えが起きている。
      *舞台での演劇(日時・場所が限定されてしまう)
      *映画館での映画鑑賞(日時・場所をクリア/周りが騒がしい)
      *自宅でのDVD鑑賞(プライベートを確保/人と共有したい)
      *ニコニコ動画(コンテンツを軸とした独自の盛り上がり)
    *文化や芸術、スポーツやエンターテイメントには歴史の流れがある。
      *興味のある分野を概観する書籍を読むと勉強になるかも。
      *メディア論や文化史といった人文科学で分析されている。
      *その分野の専門家/マニアは課題意識と改善アイデアを持っている。
 
  *ゲームやSNSのように、ついつい使ってしまう習慣型サービスもある。
    *見えにくいが、問題解決の構造は存在する。
      *例:Twitterではリアルの寂しさをオンライン交流で紛らわせる。
      *参考:『ツイッター創業物語
    *問題解決の価値ではなく、習慣化の構造による成功が大きい。
      *参考:『Hooked』(未読・読んだら追記)
    *時間の観点では置き換えが起きている。
      *あるサイトやアプリをついつい開いてしまう。時間を費やしている。
      *時間を費やす対象が置き換わる。
        *例:mixiを開かなくなる代わりにFacebookを見る時間が増えた。
      *競合分析をもとにGain/Painを読み解けば、理屈は説明できる。
        *mixiで余計な機能がユーザー体験を害した…とか。
        *競合ベース、各論によるところが大きい。


1-5. 市場、ペルソナ/問題、競合分析の順番について

  *大企業は、市場を見てから小さく落とし込む傾向がある。
    *既存事業との親和性に価値を置くことがある。
    *始める前から「市場が小さそう」という理由で棄却することがある。
      *企画を通すために準備できることは全て準備する。
      *社内政治や準備のために非効率な時間を費やしてしまう懸念。

  *スタートアップとしては、ターゲット・問題から始めるのが望ましい。
    *まず問題の重要性について検証⇒解決策がきちんと機能するかを検証する。
    *検証の過程でどんどんビジネスプランは変わっていく。
    *最終的なプランについて、将来的に市場を獲得できるか検討する。
      *プラン自体が変わるので、最初から市場を見てもあまり意味がない。
      *何らかのリソース・強みを持っているなら市場ベースでもいいかも。
    *検証を終えた後で「市場が小さいから却下」という結論に至る悲劇。

  *競合分析は順序に関係なく重要。
    *他サービス:市場を理解するための足掛かりになる。
    *既存の解決策:問題を理解するための足掛かりになる。
    *文化創出型:歴史の流れから次のヒットを予測する。
    *習慣型:いま時間を費やしているものを置き換える。


1-6. アイデアを見える化する

  *取り組もうとしている事業をリーンキャンバスに記述する。
    *9つの要素:顧客/問題/解決策/チャネル/独自価値/計測指標/優位性/支出/収入
      *複数アイデアがあるときは複数を書く。
      *複数のユーザーで成り立つマルチサイドサービスの場合は全員分を書く。
      *なるべくシンプルに書く。複雑だと顧客や仲間にさえ理解されない。 
    *キャンバスは更新・修正されていく。
      *n周目の1枚目:事業モデルをまとめる。
      *n周目の2枚目:根拠となる要素の仮説を詰める。
      *n周目の3枚目:仮説を検証して結果を反映させる。
      *n+1周目の1枚目:新たな情報を元に練り直した事業モデル。
      *n+1周目の……。
    *参考:上記『Running Lean

  *早い段階で検証できるものは検証しておく。
    *上記インタビュー等で顧客/課題の検証はできている状態だと望ましい。
    *解決策の方向性を検証するためにWebを利用すると早い。
      *例:ブログにアイデアを書いてみる。興味を持ってくれる人はいるか。
      *例:AdsenseやFacebook広告を出稿する。クリックする人はいるか。
      *例:ランディングページを公開する。メールを登録する人はいるか。
    *参考:上記『リーンスタートアップ』の仮説検証サイクル。
      *何を検証するか(仮説)=キャンバスの要素。
      *どうやって検証するか(構築)=サービス開発もここに入る。
      *結果はどうだったか(計測)
    *プロトタイプがないと検証できない要素が残る。
      *「MVP:検証のために必要な最小機能の製品」を開発する。
    *まずは全ての仮説検証を終えることを目指す。
      *その過程で実際のサービスをどんどん改善していく。
      *その過程で実際のユーザーや売上を獲得していく。
      *実際に使われるか、収益を得られるか、実践の中で検証する。


⇒「2. 環境構築」に続く。

2014/04/05

Value Proposition Canvasとは何か

日本語の情報が少ないようなので、自分用メモを兼ねて「サービスを使う人の視点から問題を考える」際のツールの1つをご紹介します。ユーザーインタビュー、広義のUX(ユーザー体験)、顧客開発、Design Thinkingといった類いの話。



Value Proposition Canvasとは何か。

結論から示すと、以下の図がValue Proposition Canvas(バリュー・プロポジション・キャンバス)です。右側に対象となるユーザーを、左側に提案ソリューションを設けます。

◯簡略図

the image of value proposition canvas


※きちんとしたファイル(PDF注意) http://www.businessmodelgeneration.com/downloads/value_proposition_canvas.pdf

右側:ユーザーの行動と、その良い点、悪い点をまとめます。
左側:ソリューションの内容と、既存の行動の良い点・悪い点をどのように置き換えるのかをまとめます。

前提として、新しい製品・サービスとは、既存の行動を置き換えるものだという点に注意してください。オンライン英会話が人気になったのは、既存の英会話学校の悪い点(長時間を要求する、金額が高い、実際に話せる時間が少ないetc...)を解決することで、ユーザーに価値あるソリューションを提供したからです。その結果、英会話学校の潜在顧客を奪い、市場を顕在化することができた(=新規市場を創造できた)のです。

このように、あるテーマ(英会話など)について、既存の行動・製品・サービスなどをユーザーの視点から捉え、その良い点・悪い点を明確にすることで、新しい事業を思いついたり、現在の事業をブラッシュアップしたりするのです。価値(Value)の位置付け(Proposition)を明確にするシンプルな図(Canvas)ということです。

思考のフレームワークであり、その枠組みを支えるためのツールでもあります。



注意点としては、

①そもそもの対象となるユーザー設定が正しいのかは分からないという点(英会話学校に通っている人の意見を聞いても参考にならないかも/通いたいけど通えない人が真のターゲット)
※Lean Canvas(ビジネスの各要素を分解して1枚の図にしたもの)を使って、事前にターゲット自身の仮説を用意すれば、この問題は回避可能。

②右側の現状把握から左側のソリューションに橋渡しをする際に、アイデア出しや様々な検証が必要となる点
※思考の飛躍というかインスピレーション的なものが重要だったり、地味な作業の積み重ねが要求されることになる。

③行動に表れにくい部分や普段は意識をしていない本音(ユーザーインサイト)に辿り着けるとは限らない。
※顧客開発やリーン:事前に仮説を用意しておくことが必要。ただし、それはそれで誘導尋問に陥りやすい。そこで、UXやデザイン思考:インタビューや観察のノウハウが活きる。


参考URL:
『Test Your Value Proposition: Supercharge Lean Startup and CustDev Principles - Business Model Alchemist』
http://businessmodelalchemist.com/blog/2012/09/test-your-value-proposition-supercharge-lean-startup-and-custdev-principles.html
『バリュープロポジション・キャンバスの使い方(前編) -  Stylish Idea』
http://www.stylishidea.com/product_management/how_to_use_value_proposition_1/

2014/03/28

人生ピボット(5):行動前の思考3秒ルール

山ほどアイデアがあるので何とかしたいなーって話。


 「TOEFL 勉強法」で検索すると、このブログが1番上に来るので、そこそこ人様の役に立つコンテンツになってると自負しています。その中で、スピーキングの自習方法を説明した部分があり、「紙のカードを使ってね!」と書いたのですが、スマホアプリでこの勉強法をできるようにしたら超便利じゃね?という結論に到達しました。今更ですが。

このように、そもそもの問題を知らない(どうやってスピーキングを勉強すれば良いの?)人に対して、解決策を提供する(こういう勉強法があるよ!)という経験は、多かれ少なかれ誰もが持っているわけですよ。もしくは、自分が何かしら困ったときに解決策を調べたり。

その解決策がベストではない(紙のカードを用意しなければいけない!)というときに、より良い解決策を作って提供する(スマホアプリで簡単にできる!)ことが、まさに既存製品の置き換えであり、イノベーションなわけです。


でね、そうやって意識すると、山ほどアイデアは降ってくるわけですよ。でも、アイデア自体には糞の価値もないわけですよ。だから実現する必要がある。そもそもそのアイデアにニーズがあるのか、とか色々と検証した方が良いかもしれない。というか、本当は思い立ったらその日のうちに製品を完成させるくらいの勢いがほしいわけですよ。

これはもう何度も同じことを言ってるくらいの成長のなさで、 非常に恥ずかしいんですけど。このスピードの遅さが、中途半端に(必要のない)計画を立てる弱さに繋がってるわけですよ。人生をピボットするためには、まずここをどうにかしなくてはいけない。

前のエントリー(最初の起業支援はリーンキャンバスの各要素の不足を補う形だと良いんじゃないか?的な内容)を書いて思ったのが、この話題って生産性なくね?ということ。もはや、このブログは「忘備録」に留めるべきじゃないんじゃないかと。 ソリューションの「提供録」くらいにまで引き上げた方がいいんじゃないかと。

前回のエントリーだったら「リーンキャンバスをベースにした支援マッチングサイトを作っちゃいました」くらいの内容じゃないと駄目だろうと。あるいは、その前段階として、簡単なキャンバス共有サイトだけでも良いかもしれない。いずれにせよ、今の自分は非常にださいと思います。


 まとめると

・問題と解決策のリサーチ
・より良い解決策をアイデアとして採用
・そのアイデアを小さく実行⇒検証していく
・ソリューション量産しまくれるんじゃないか?

という意見。

んで、「実行」を大仰なものにすると上手くいかないので、これまでの人生ピボットシリーズでは、「小さく実行」のためのアレコレを考えてきたのであります。まぁでも、そんなアレコレ考えるのは時間の無駄だねーという話でもあります。

バスケのピボットを再び例に挙げると、パスを貰ったら3秒以内に次の行動をしなければいけないというルールがあるらしいので、 同様に、「小さく実行」するための思考は3秒で済ませて、とっとと行動しましょう。

ということで、2014年度は「ソリューションの量産」を目標にして、「3秒ルール」を徹底したいと思います。せめて毎週何かしらをブログに書けるように頑張りたい。せめて、リサーチ、アイデア、実行、検証で1ヶ月に1つ報告できるくらいを目指したいよね。まぁ、とりあえずガンガン行こうぜ!的な。

学生起業自体は難しくないけど、問題はその先だよねって話。

FacebookでシェアされたURLで「学生の起業ハードルを下げる」的な企画が紹介されていた。そこでは、①創業のための資金調達が難しいことと、②エンジニアの確保が難しいこと、の2つの理由から学生起業は困難だと主張されていた。だからマッチングすればいいんじゃないか?的なアイデアだった。

これはちょっと違うんじゃないかなと思いました。
 
私の背景としては、在学中に成り行きで会社を創業して、でもあんまり上手く行かなくて、株式を別の人に渡して、とりあえず自分が立て替えていた創業費用などは何とか回収できました、という残念具合なのですが、一応、法人設立がどんなものか、というのは自分の目で見ました。あと、他の人の事業立ち上げを手伝った経験がいくつかあるので、1つの視点は提供できるかと思います。

んで、学生起業のハードルが高いか、と問われると、そんなことなくね?と思ってしまうのです。ただ、実際に会社を作るまでは、勝手がよく分からないので、心理的にハードルが高い、というのはあると思います。少なくとも上記2点の問題ではない。



まず、資金調達に関して。

創業自体に30万円くらい、赤字でも毎年の税金に10万円くらい掛かるので、これらが最低ラインで必要。

住所登録にオフィスを借りる必要がある場合、大学のインキュベーションセンターに相談したり、起業家支援の活動をしているシェアオフィスを借りればかなり安価に押さえられる。それが無理でも住所だけ格安で使わせてくれるサービスがあったりする。

エンジニアの話が出ているので、Webアプリやスマホアプリを作る、という状況を想定するとサーバを借りたりドメインを取得したりAppStoreに登録したりといった諸費用も掛かるけど、最小容量に押さえれば、総額で1〜3万円くらいのはず。

これらの最小経費とは別に、リーンスタートアップ(プロダクト・マーケット・フィット前)の検証と、グロースハック(プロダクト・マーケット・フィット後)に費用がかかるわけですが、ここでの金額はラウンド毎にピンキリだと思われます。

例外的に、生活費・学費を稼がなくてはいけない=人件費をカウントすることになる場合は、一気に必要資金が増えますが、これは置いておきます。結構重要な論点だと思ってますが。

んで、

・そもそも法人設立をしなくてもいいケース(数万円=バイトで良くね?)
・法人設立をするけど追加費用は少ないケース(50万円弱=起業支援プログラムやコンテスト賞金で十分に確保できる)
・法人設立をした上で追加費用が多いケース(数百万円=最近国内でも増加しているシードアクセラレーターを活用すればOK)
・既に初期の検証は終わっていて成長段階に入るケース(上限なし=シードではなく大型のVC出資を受ける)

という感じになります。だから、起業支援プログラムが増えること自体は悪くないのかなとは思います。

理想は、アルバイトで最小費用を稼ぎつつスキルを身につけた上で、最小費用を使いながら、少人数のターゲットを対象として、事業アイデアの各要素(顧客・課題・収益構造など)を検証していき、その過程でプロダクトをブラッシュアップしていき、規模拡大ステージに入るタイミングでベンチャーキャピタルから出資を得る、という感じかと。

初期段階での資金調達のマイナス点を挙げると、余計な報告業務が増えたり、意思決定プロセスが複雑化してしまって、リーンスタートアップの検証サイクルを減速する恐れがあるとの指摘もあり、個人的な実感としてはこの意見に賛成です。

ただ、ビジネス要素の1つであるチャネルを確保する手段としてVCを活用する戦略は有効だと思っていて、その場合はシード段階での資金調達はアリかなと。いずれにせよ重要なのは事業の進展であって、資金調達のウエイトは初期段階では低いはず。でないと資金繰りに意識を取られて本末転倒なことになるなぁーと。


ここいらの議論は以下の書籍を踏まえると良いと思います。

・『リーン・スタートアップ』:新規事業の立ち上げが失敗するのは不確実性を最小化しないから。つまり、顧客や課題や解決案や収益モデルを1つ1つ検証して不確実性を最小化することで成功できるビジネスへと到達できるよ!的な。

・『Running Lean』:具体的にビジネスの各要素をリーンキャンバスという図にまとめて、それを1つ1つ検証していく実例を紹介するよ!大したお金を掛けずにここまで検証できるんだぜ!的な。

・『グロースハッカー』:検証が終わった後の成長段階では、高額なプロモーションをやればいいってわけじゃないぜ!お金を掛けずにきちんとした工夫をすることで顧客をたくさん獲得できることを説明するよ!的な。

・『スタートアップ・マニュアル』:検証の段階では、資金の減少スピードだけ注意すれば良いよ!お金がなくなる前に検証を終えることができれば、成長段階のビジネスには次のラウンドの資金調達があるじゃないか!的な。

・『小さなチーム、大きな仕事』:そもそも会社を作ったり資金調達しても余計な業務が増えるだけだから、とりあえず今できる範囲でやった方が良いよ!上手くいきそうだったらいくらでも会社設立や資金調達の話は出てくるでしょ!的な。

※リーンキャンバス(LeanCanvas)の画像 => http://perth.startupweekend.org/files/2012/09/Lean-Canvas.png



次に、エンジニアに関して。
自分でやるパターンと他の人を誘うパターンがある。理想は前者。

・ビジネスのスピード感として、トラブル時にすぐ対応する必要があったり、ちょっとした検証を自分で行えるほうが、何かと都合が良い。そう上手く長期で深くコミットしてくれる人を見つけるのは難しい。
・サービスへの思いが強い人が直接サービスを開発すると、仕事を投げられた人間が作るよりも、細部がしっかりする…気がする。ここはチームの体制によりけりだけど。
・開発者のコミュニティと縁を作りやすいので、別の技術者を見つけやすかったり、技術者が働きやすい環境を作れる。(私はこの実感がないけど、本当にコードを書いたことさえない人に比べると結構恵まれてるのかなと思う点はある)

他の人を誘う場合、CTOとして完全に任せられるだけの技術があり、かつ深い関係性を築かなければならないけど、それだけ優秀な人はなかなか捕まらないという問題がある。

例外としては、お金を払って雇う場合だったり(資金調達の問題がここで打撃)、その道60年のおじいちゃんが立ち上がって業界を変える…レベルのインパクトだったり(それだけのリソースを持つ学生は少ない)、そういう場合だったら手を差し伸べる人もいるだろうけれども。

とりあえず自分でやってみて、勉強会にも顔を出したりして、分からない部分を聞きながら、面白そうだと思ってもらえるくらいの成果を出していって、途中合流していただくのが最良な気がします。大学の起業支援団体に問い合わせれば相談相手としての技術者は紹介してもらえたりします。


ここいらの話は以下の書籍/サイトで勉強してから考えれば良いのではないでしょうか。

・『ドットインストール』:だいたい揃ってる。
・『Rails Girl』:短時間で成果物を作ってやる気を出す。
・『Rails Tutorial』:RailsでTwitterを作ってみて、その過程で色々学ぶ。
・『プロになるためのWeb技術入門』:座学用。体系的に知識を学べる。

Rails推しなのは、開発フレームワークとベストプラクティスが明確だから。いきなり他の言語だと初心者には選択肢が多すぎる気がします。でも、ごめんなさい。正直エンジニア問題は私も情報不足です。アップデートできるよう励みます。

---
[2014.05.03 追記]
この点について、参考になりそうな記事がありました。

・非エンジニアの起業家が最初のエンジニアを採用出来ない理由
http://tech.blog.hisaju.org/2014/04/10/startup/
・エンジニア「で、あなたは何が出来るの?」
http://anond.hatelabo.jp/20140410160246

「自分が参与すれば確実に成功する」とエンジニアが思えるだけの準備ができていない、そういう意味で魅力のない案件だから、技術者を捕まえることができていない、という指摘。

私が上で述べたように「面白そうだと思ってもらえるくらいの成果を出」すことが、やはり大事なのではないかと思います。
---



結論としては、少しアルバイトしてお金を貯めれば、会社設立自体は何の問題もなくできるわけですよ。問題はその先で、ベンチャーキャピタルが出資したくなるような、優秀なエンジニアが参与したくなるような、そこまでの成長段階に漕ぎ着けられるかって部分が重要なのだと思います。

そのためには、(少額資金+自分の小さなスキルで十分な程度の)小規模な範囲で、不確実性を最小化するスタートアップの戦い方をしなければいけないのではないかなーと。そこに、ちょっとした金銭支援や技術アドバイスは入るべきだと思うし、そのマッチングはあっていいと思います。

ただ、必要なものは、それだけじゃないんじゃないでしょうか。ビジネスの各要素(顧客とかチャネルとか)について、それぞれ必要なサポートがあるわけですよ。そのうちの1つの要素である「製品」の実装リソースが不足しているケースでは、エンジニアの助言が必要になる、というだけなんじゃないかと。

だから、リーンキャンバス(各要素を図示したもの)をベースにして、それぞれの要素の不足部分を短期間でいいからサポートしてもらえるような、そういった形の支援について、マッチングする仕組みがあればいいんじゃないでしょうか。あるいは単に、自分はこういう形で補ったよ、というノウハウ共有だけでも十分な気がします。

というわけで、その第一歩として、このエントリーを通して私は、資金調達とエンジニア確保に関する1つの知見を、ささやかながら共有させていただきました。異論反論は山ほどあると思うので、ぜひお聞かせいただけると嬉しいです。

おわり。

2014/03/26

優秀な学生が入社直前で大手企業の内定を蹴るのは必然だという話。

私の周りだけかもしれませんが、昨年の春に大手企業に内定が決まった学生(の中でも、特に優秀な人たち)が、この春=入社前のタイミングで、次々と「実は内定を蹴りました〜」とカミングアウトしまくっております。

大したサンプル数があるわけではないので一概に言えないのですが、多くが「内定が決まった後に始めたアルバイト先の企業に引き抜かれる」「内定が決まった後に立ち上げた事業が上手くいきそうなので起業する」というパターンのようです。サンプルとしては、ややIT系が多めですが、政府系・金融系なども。

んで、採用した企業側はたまったもんじゃないでしょうけど、これって結構、必然的な帰結のように感じます。


というのも、まさに上記ケースの通りなのですが、採用が決まってから入社まで半年〜1年間近く待つことになるので、当然ながらその間、学生は別のことをするわけですよ。アルバイトなり、事業の手伝いなり、自分でサービスを立ち上げるなり。優秀な人ならそこそこ成果を挙げる可能性も高いので、アルバイト先から引き抜きの声を掛けられたり、本格的に打ち込むくらいやりがいを感じるわけです。

一方で、採用をした企業側でも、内定者をアルバイトとして雇ったり、先輩や内定者同士で飲み会を開いてもらったりといった工夫をしているところが多いのではないでしょうか。アルバイトに裁量を与えているベンチャー企業だと、入社前から大活躍する期待の新人…といった話もしばしば聞きます。

ただ、ほとんどの企業はお手伝い程度の業務しか任せないっぽいです。どちらかというと、企業に入社する前の心構え・マインドセットを整える儀式としての役割が強いように感じます。先輩のありがたいお話を聞いたり、自分が入ったらこういうことをやるんだなーとイメージさせる職場体験のような感じかなと。これもサンプル少ないので、違ったらごめんなさい。

上の2つのケース(内定先以外での活動 / 内定先での活動)をあえて両極端な二項対立として捉えると、内定先では「実際に携わることのできる業務」は控えめで、「1年後の入社に備えたマインドセット」が重視されています。逆に、他社でのアルバイトや事業の立ち上げでは、「マインドセット」をじっくり整える余裕はなく、「実際の業務」が100%となります。


図示するとこんな感じ。


内定先:入社時点でのマインドセット最大化 => 業務は入社3年くらいで100%参与できるように教育される。



内定先以外:最初の数ヶ月で業務が100% => 打ち込んでいるうちにマインドセットも最大化される。

結果として、長期的なキャリアプラン(「この会社に入って3年後にはこうなっていたい!」)よりも、短期的なモチベーション(「目の前の課題に今すぐ打ち込みたい!」)がまさって、内定先を蹴ることに繋がるわけです。

優秀な人を半年〜1年間も放置して、他に取られないわけがない、ということです。入社後のイメージを膨らませるだけの生産性のない時間を過ごすよりも、やりがいのある仕事に打ち込む方が楽しいだろうし、その優秀な人たちは、のんびりと入社を待っていないだけの行動力・実行力があるからこそ、優秀だと評価されるんじゃないかなーと。


なお、これが生じないのは、

・短期的なモチベーションよりも長期的なキャリアプランを優先し、なおかつ、そのキャリアプランは最初の内定先でのみ実現されるケース。
(ただし、不透明な時代でキャリアパスが計画通りにいかないだろうと予想する場合、長期的なキャリアプランを優先するインセンティブは弱い)

・興味分野、業務内容、人間関係、成果などの面で、業務に打ち込んでもマインドセットが最大化されなかったケース。試しにやってみたけど「やっぱ違うわ」的な。

・特定のスキルを身につける目的など、最初から短期間での参与を意図して、卒業後は最初の内定先に勤務するつもりでいるケース。

いずれにせよ学生側の都合に依るところが大きいので、採用側ではコントロールが難しい部分です。

そこで、人事が下手にキャリアプランを想起させる発言(「内定を蹴るか迷っているのなら、最初に入社しようと思ったときの気持ちを思い出してほしい」とか「3年後の自分を想像してほしい」とかの発言)をすると、もう最悪。

「あ、こいつ、分かってねーわ」と醒めた目で見られる可能性アリです。なぜなら、入社を前提にした(その学生には響かない)マインドセット押しを繰り返しているだけだからです。


また、仮にこの引き抜き条件が揃っても人材をキープ可能なのは、

・アルバイト先の企業=自社のケース。要するに、入社前の優秀な新人アルバイトに裁量を与えて大きな仕事を成功させ、どんどん打ち込んでもらいましょう、という話。

・事業立ち上げ=自社内の新規事業 or 子会社として積極的に支援するケース。自分でやるよりもリソースを活用できることに魅力を感じてもらいましょう、という話。

加えて、例外的には、内定を蹴ってでも好きなことをやれよ!と応援して、社員・学生が良い関係を築いておき、別の機会を見つけて再度誘うパターンもありそうです。ただ、これは何も解決にはなっていませんが。

制約条件を無視して理想を言えば、新入社員にどんどん裁量を与えたり、1人1事業を立ち上げちゃいなよ!会社がサポートするでよ!くらいのテンションだったら素晴らしいんじゃないでしょうか。いや、分からないですけど。


…ということを考えました。そもそもサンプルが私の周りのごく少数なので、偏った話かもしれませんが。いずれにせよ、新卒一括採用 => 半年〜1年後に入社という形式では必然的に、優秀な学生のうち一定数は内定先を蹴ることになるのだと思います。

おしまい。

2014/03/22

人生をピボットする話(4)ゴールを遠くに設定する問題

【前回のあらすじ】

人生を方向転換(ピボット)するに当たり、単に過去を否定するのではなく、過去の失敗から学び、 軸足を押さえることが重要だという話をしました。今回は、その散々な失敗の1つ「リソース分散する問題」について、考え、乗り越えたいと思います。




【ゴールを遠くに設定する問題(提起)】

目標が遠方だと挫折する。少なくとも一般的な人間の場合、これは断言できる。課題達成にのみ焦点を当てると、例えば「1時間で10ページを読もう」くらいのレベルにしなければ、確実とは言えない。個々の作業を捌いて初めて前進できる。

かといって、 「1時間で10ページを読もう」だけでは、パッチワークというか、非連続的で一貫性のない、場当たり的なものになってしまう。だから大まかな道筋は常に意識しておく必要がある。

少なくとも私の場合、短期的な視点(作業モード)と長期的な視点(思索モード)は、頭のスイッチを切り替えなければならないようだ。前者なしでは何も生み出せないし、後者なしでは自分の行動に納得できない。


【ゴールを遠くに設定する問題(解決)】

ありきたりな結論になるのだけれど、長期視点(ビジョン)をベースに道程(戦略)を分割し、まずは目先の課題(作業)を処理することが最優先なのだと思う。「今出来ることを楽しもう」ということだ。

作業を終えた後、途中で気付いたこと・学んだこと・思ったことを踏まえて、ビジョン/戦略を修正する。修正された戦略に基づいて、次の短期課題に取りかかる。このフィードバックサイクルをひたすら繰り返すことで、納得のできる前進となる。


どのくらいの頻度でサイクルを回すのが(=作業の期間設定が)自分にとって望ましいのかはまだ分からない。

ただ、先日見掛けた"Web人材の教育プログラム"『enPit』の記事では、毎週プロダクトを開発して発表する決まりになっており、これを "demo or die"(動くものを作れ、さもなくば去れ)という言葉で紹介していた。

この言葉は良い。シンプルで分かりやすいので、忘れないし、迷わない。1週間という期間設定は、頑張ればギリギリ最小限のプロダクトを開発できる絶妙な時間だと思う。アウトプットが強要されることで、実力も身に付くし、成功体験に繋がる。

前回エントリーでは、全力を出せば1〜2日で終わるくらいの作業設定が望ましい(結果的に1週間程度に延長するはず)と書いたのだが、この時間感覚と整合的な設定だと思う。


もう1つの要素「アウトプットが強制されること」については、上記の例に加えて、よくIT系のスタートアップ起業が「毎週何らかの機能をリリースしている」といったルールを決めて遵守している話を聞く。これもシンプルで分かりやすい。

あるいは、定期的なブログ更新を心掛けて、報告できるように作業結果を追求するというのもアリだと思う。この人生ピボットシリーズに関しては何だかんだで毎週書いている。


【補足①】

私の大学生活を前半/後半で分けると、前半は、ビジョンと勢いだけでのめり込み(◯◯やってます!的な感じ)、後半は軌道修正して、ビジョンなしで作業処理マシーン(金さえ貰えば成果は絶対に提供します!的な感じ)だった気がする。

ステータスを極端に振っただけあって、それぞれ重視していた評価軸ではそこそこ上手いこと行っていた気がするのだけど、ビジョンなしで短期視点に終止した結果、現在、まさに違和感を拭えない状態に陥ってしまっている。

その軌道修正として、今度は長期/短期の2つの視点を行き来するための生き方に拘る段階に来たのかなーと思っています。


【補足②】

んで、「コミュ障」問題もここに繋がります。ビジョンがないから話すことも聞くこともないんですよ。相手が「力を貸してくれ」と言ってきたら、課題を分析して、解決策を示して、実行して、お金を貰う。必要となるコミュニケーションは、正確な情報のやり取りができるかどうか。あるいは、必要な情報を持っている人に助言を乞う。それだけ。

長期的な視点があったら(ただし捕われすぎていなければ)話はだいぶ変わると思っていて、短期的には不要だから能動的に得ようとしていない情報を、長期的には必要になるかもしれないから聞いておきたい、と思えるようになるのではないかなーと。こちらから話す題材もあるわけですし。

あと、よく一緒にいる人とは、普通に話せることが判明した。そりゃそうだ。なので、所属するコミュニティに対して普段から積極的に貢献する意識は持っておいた方が良いよね、という話。

これも長期視点があると、身近な関係性を大切にする気がする。なぜなら、頻繁に言葉を交わす人は、常に側で長期/短期のサイクルを見ており、第三者としてフィードバックをくれる貴重な存在だから。


【結論】

・A:自分自身のビジョン => 戦略 => 最初の作業 へと落とし込む
・B:作業で気付いた点を検証 => ビジョン/戦略 を修正する
・この A ⇔ B のフィードバックサイクルを回す。

・作業=期間/成果物を強制する自分ルールを設けると良い。
(例:毎週ブログでアウトプットを示すetc...)


・長期視点に基づいて、将来必要になりそうな情報を人から聞く
(≠自分で調べるのは直近で必要な情報のみ)
・所属コミュニティに貢献=身近な関係性を大切にする
(=> 第三者視点からのフィードバックを貰う)


つづく。

2014/03/18

人生をピボットする話(3)リソース分散する問題

【前回のあらすじ】

人生を方向転換(ピボット)するに当たり、単に過去を否定するのではなく、過去の失敗から学び、 軸足を押さえることが重要だという話をしました。今回は、その散々な失敗の1つ「リソース分散する問題」について、考え、乗り越えたいと思います。




【リソース分散する問題(提起)】

そのまんまですが、参与するプロジェクトの数が多くなると、全ての仕事を担うことが困難となります。結果、24時間365日を1つのことに費やしている人間と比較して、圧倒的に成果の質が低くなります。それどころか大半の場合、質以前に、成果を出す段階にまで辿り着けないことも少なくありません。

ここでは、時間や体力などの「個人が保有している資源」をW、参与する「n個のプロジェクト」をそれぞれP1〜Pn、各プロジェクトにおいて「処理すべき業務m個」をそれぞれP1-1からP1-mとおきます。なお、はじめから認識している業務のほかに、事前準備や関連知識の学習など、追加的に発生する業務(潜在的な業務)もm個の中に含まれます。

また、プロジェクトに振り分けるリソースをa*W、私生活に用いるリソースを(1-a)*Wとおく(ただし0<a<1)。 さらに、業務処理に費やすリソースをΔW=C(Pn-m)という費用関数で表現する。

以上のもとで、リソース分散問題(成果さえ出せないケース)は、W≦ΣΣC(Pn-m)において発生することが分かる。簡単にまとめると、自分の体力を超えた業務量には対処できないよ、ということです。


【リソース分散する問題(解決)】

この単純な数式モデルから解決策を模索するのであれば、アプローチは以下のいずれかになる。

・時間や体力などのリソース(W)を増やす。
・作業効率(C)を改善する。
・1プロジェクトあたりの作業量(Pn-m)を減らす。
・参与するプロジェクト(Pn)を減らす。

体力問題については、以前の記事(思考実験:疲労に対する根本的な解決策を考える )で分析しているので、そちらを参照。一方、体力に比べて時間は多過ぎてもやる気を削ぐことになる。いずれにせよ、リソースを広げることを意識した上で、与えられた状況での最善策を考えることが有効と言える。

作業効率については、当然ながら常に工夫する姿勢が要求される。しかし、効率化ツールや設計には、より大きな初期投資(学習コストや導入コストなど)を要求することも多い。状況によって手段や効果が変わるため、必ずしもキーポイントとはならない。日々の工夫や学習を通して、1%ずつ向上させていくたぐいのものだと私は解釈しています。

重要なのは、「段取り(=必要なことを必要な順番で処理する行動設計)」であり、それはつまり、作業の絞り込みが重要なポイントになります。必要でないことはやらない、今やるべきでないことはやらない、という姿勢が重要です。とはいえ、一見して必要に思えないことでも、やってみることで活路が開ける場面も多々あります。

したがって、最終的には、参与するプロジェクト自体を絞り込むことが重要となります。仮に数多くのプロジェクトに参与する場合は、複数人で業務を分割し、1人当たりの負担を最小化するよう勤めるべきです。ただ、チームを誘導するコーディネーターに負担が集中しがちな点に注意です。自主的に活動できる優秀なチームか、コーディネーターを明確にしたチーム設計でなければ、企画は頓挫します。

中長期的には以上の通りですが、短期的には「1度に1つのことに集中する」のがベストです。Pn-m=1(業務は1つだけ)、Pn=P1(プロジェクトも1つだけ)であれば、多少の効率の悪さ(C)や、体力の弱さ(W)は問題にならないでしょう。そうなると、いかに小さなステップに分解するか、という視点も重要です。


 【結論】

・現状のリソースの範囲内で考える
・効率よりも段取りでの取捨選択が重要
・リソース拡大 / 効率改善は日常で意識すること

・コーディネーターを明確にしてチームを組む or 自主的に動けるチームを組む
・参与プロジェクトの数、1人当たり/1プロジェクト当たりの作業量をなるべく減らす
・短期的には「1度に1つのことに集中する」ように徹底


一言でまとめると「段取り=捨てること」と「目先の集中」を意識すべし、ということ。なるべく小さく目標を設定して少しずつ処理していくという意味では、前回エントリーの話に通じるものがある。

あれもこれも…となってしまいがちなので、基本的に「No」もしくは「とりあえず◯◯だけやってみてから考えましょう」と言って、アサインされるプロジェクト・業務をなるべく小さく押さえるように意識すべし。小さすぎるくらいでいいと思います。そうしないと、世の中に広がる色々なものが面白くて、あっちもこっちも楽しくて何もできなくなってしまうのです。

それこそ1日〜2日で解決しそうなレベルまで落とし込むのです。それでも、いざ実行したら細部を修正するのに結局1週間を費やしてしまう、なんてことは十分あり得ます。最初から1週間のつもりで設計すると1ヶ月に、1ヶ月のつもりだと1年に…となってしまいがちです。だから、まずは小さく意識しておくのです。千里の道もまずは一歩から始まるわけです。



つづく。

2014/03/09

人生をピボットする話(2)迷ったら手が止まる問題

【前回のあらすじ】

人生を方向転換(ピボット)するに当たり、単に過去を否定するのではなく、過去の失敗から学び、 軸足を押さえることが重要だという話をしました。今回は、その散々な失敗の1つ「迷ったら手が止まる問題」について、考え、乗り越えたいと思います。




【迷ったら手が止まる問題(提起)】

簡単に言うと、作業中に「自分は本当にこれをやるべきなのだろうか」みたいな考えが生まれてしまって作業できなくなってしまう問題です。受験生が「この勉強法でいいのか」と不安になってついつい色々な勉強法ブログをネットサーフィンするような感じです。自分だけでも問題ですが、チームで何かをする場合、周囲の迷いも問題です。

ここでは3通りの側面があります。「作業の手が止まることが問題」、「(自分が)ビジョン自体を信じられないことが問題」、「(周囲が)ビジョンに全面納得しない=進展しないことが問題」という側面です。



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<作業の手が止まることが問題>

【解決策】

解決策は2通りで、「納得できるまで徹底的に悩むこと」と「焦燥を押し殺して目の前の課題をやり遂げること」です。あえて生産性の観点からのみ考えると、とにかくやり抜くことを意識すべきでしょう。

その上で、どうしても無理だと投げ出したくなったら、ハードルを下げる。数学の問題集を「1週間で100ページやり抜くぞ!」と意気込んで、それでも無理だったら、最初の10ページだけにすればいい。それも無理なら、1ページだけでもいい。

世界中の人々の生活を変えるようなアクションを起こしたいと思っても、誰も何も反応さえしてくれない。だったら、まずは身近な人の生活を素敵にできるよう試行錯誤してみればいい。それも無理なら、とにかく友だちを1日1回笑わせてみるとか。

【予防策】

予防策は「目的・行動を小さく落とし込むこと」です。上記の例のように、壮大な目標を達成できなかったとしても、小さなことなら成功確率が上がります。その小さな成功体験は、次の小さなステップを促進してくれます。

とても分かりやすい例が、制作活動です。15分の作曲は大変だけど、30秒だけ作るなら比較的簡単にできる。2時間の映画を個人撮影するのは難しいけど、1分のショートムービーなら気軽に作れる。プレイ時間50hオーバーの超大作RPGを作るには骨が折れそうだけど、お使いイベントだけなら何とかなる。そこに肉付けしたり改善したりしていって、少しずつ良いものを仕上げていけばいい。


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<(自分が)ビジョン自体を信じられないことが問題>

【解決策】

研究や事業やプロジェクトのビジョンであれば、そもそも何のために始めたのかという経緯を元にして判断することになります。

金儲けをしたくて仕事を始めたとして、もっと儲かるものが見つかったのであれば、そちらに変えればいいわけです。恋人に喜んでもらうために誕生日パーティーを企画したとして、その人が家族の病気を気にしているのであれば、パーティーなんか中止して、看病を手伝ってあげたほうが喜ぶわけです。

個人的なビジョン・価値観であれば、自分の願い・欲望・考えといったものと、まっすぐ向き合うしかない。人気者になりたいとか金が欲しいとかモテたいとか、あるいは栄光を得たいとか人助けをしたいとか誰かに必要とされたいとか、そういう感情を踏まえて、正確な判断ができるようになるはず。

【前提】

また、正義は常に多面的であること、一度に全てを補えないことを意識しておく必要があります。貧困国に医療サービスを届ける社会活動を行うとして、自国の医師を送り出すことは、自国の医療課題改善の観点から考えると悪手かもしれない。候補となった貧困国A・Bのうち、Aだけが採択された場合、Bにとっては不平等かもしれない。

当然ながら、そこには葛藤が生まれるだろうけれども、事業の目的とか、自分の願いとか、そういう観点から、世界を切り取らなければなりません。選ぶということであり、捨てるということでもある。ただ、一生捨てる必要はないわけです。今回は捨てるけど、次の機会があったら、ぜひそちらの正義につきたい。これはアリ。相手の恨みを買っていなければ。


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<(周囲が)ビジョンに全面納得しない=進展しないことが問題>

【解決策】

方向性は2通りで、「ビジョンベースで人を引き上げる」か「人ベースでビジョンを引き下げる」か。

人を引き上げる場合。人々の現状・理解状況と発起人の構想にギャップがある場合、もしくは該当コミュニティにおける最適な説得プロセスを踏まなかった場合(事前に上司の信頼を得ておくべきだった!)に、抵抗が生じます。そこで、知識や動機といった要素のうち、どこにギャップがあるのかを突き止め、解消しなくてはなりません。

ビジョンを引き下げる場合。携帯電話が開発された翌年にiPhoneを販売しても消費者は付いていけない、という状況を指します。大きな文脈での位置付けを無下にする必要はないですが、押し付けたり強調することを止めるべきです。まずは誰もが分かりやすいビジョン(どこでも電話できる!)を達成・定着した後に、より大きなビジョン(文書も送れる!写真も送れる!)へとステップアップしていくことが適切です。

【前提】

1人だけで何かが終止することは滅多にありません。そうなると「自分にとっていい」だけで話を進めると「本当にこれでいいのか?」と迷う瞬間が訪れます。そのとき、必要となるのは思索でも決断でもなく、人の言葉に耳を傾けることです。


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【迷ったら手が止まる問題(解決)】

・なるべく目標/期間/行動を小さく絞って設定 => とりあえずやり遂げる。
・自分の欲望を正確に把握 => 目的と合致するものを選択する。
・その期間/行動において、どの立場の正義を選んだのか意識しておく。
・周囲の言葉に耳を傾けて、人とビジョンを合致させる。

一言でまとめると「迷わないように立場を明確にする」ということ。作業の手が止まってしまうほどの、強い迷いが生じるようだったら、迷いが生じないようになるまで、しかるべき措置を取る(小さくする/方向を変える/候補を捨てる/周囲を動かす)ことが必要です。


つづく。

2014/03/01

人生をピボットする話(1)軸足

【主張】


ピボット(Pivot)とは回転の意味。例えばバスケットボールだと、片足を軸として固定し、もう片足を動かすことで向きを変える行動のこと。このとき、軸足を動かしたら反則になってしまう。

同様に、事業だとか研究だとか人生だとか、そういうものをピボット(方向転換)するとき、それまでの行いを全て捨てるのではなく、それまでの失敗を反省し、学びを活かすことで、次にパスを繋げることができるのだと思う。




【背景】


前回のエントリー更新直後のことでした。

mixi日記で荒ぶっていた時代を思い出しつつ、ブログ更新。> 切り取る世界: 思考実験:疲労に対する根本的な解決策を考える。




反省っ・・・・!
圧倒的反省っ・・・・!

考えた通りに生きるか…。依頼に基づいて動く、つまりビジョンを他人に委ねるってのは楽なんだよね。迷わずに業務を処理できるから。へらへらしてれば楽しいですし。でも、まぁ、ちょっと物足りないよね、とも思います。バングラ時代に比べて。

私には、迷ったら手が止まるという致命的な弱点があったことと、リソース分散する悪癖と、ゴールを遠くに設定する悪癖と、あとコミュ障すぎて、色々と悲惨な失敗もしてきたわけだが……改めて考えると、ひどいなこれ。

失敗したならそこから学ぶしかないよね。迷わないように立場を明確にすべきだし、目標は細分化すべきだし、一度に一つのことに集中すべき。考えた通りに生きられなかった自分を正当化するのは、優しいことだけど、卑怯でもある。

というわけで、沖縄でリセットというか人生をピボットしてきます。あー、気合い入ってきたぞー。

【補足】


多くの失敗や学びは、けして自分だけのものではなくて、誰もが経験していることだったりする。自分自身が実際に体験することで、心に深く刻まれ、学びとなることはメリットだと言える。しかし、既に知られている問題に対して「車輪の再発明」をすることが望ましいとは思わない。

だから、過去に同じ道を歩いた人々の言葉に耳を傾けることが有益になる。例えば、本を読んだり、助言を乞うたり。とはいえ、他人の話だけを延々と聞いていても、何も始まらない。だから最終的には、自分で自分の弱さと向き合うこと、もしくは、弱さを回避して目的を達成する方法に辿り着くことが、大事なのかもしれない。

そんなこんなで、私も少し自分の人生をピボットしようと思う。片足を踏み出す前に、まずは軸足を安定させたいと思う。


続く。多分。

2014/02/18

思考実験:疲労に対する根本的な解決策を考える。

何でこんな疲れているの、っていうくらい疲れているので、マジメに考えてみました。
疲れているので省エネで簡潔に論旨と結論を述べます。

まず、疲労とはどういう状態なのか、というところから確認しました。


次に、この「疲労」という状態が生じる構造を分析しました。


最後に、3通りの問題発生メカニズムに対して、肉体・頭脳・精神の3軸からそれぞれ解決策を導出しました。


これを全て実行すれば、疲れ知らずのイケイケな人になれるはず!!
おわり。
 

【補足1】
綺麗なスライドや動きのあるプレゼンよりも、手書きでいいから簡潔に要旨・構成が伝わる資料のほうが生産性があるんじゃないかと思い始めています。

【補足2】
自動的に紙の四辺を読み取ってくれる無料アプリにハマっています。アプリとかWebサービスってやっぱ面白いっすね。

【補足3】
ポストにこんなチラシが入っていたのですが、ジム?フィットネス?ってこんな素敵な場所なんでしょうか。わたし、気になります!


いや、ほら、運動不足だからね?
ジム行こうかなーって。水泳で全身運動的な?
他意はないよ?

ただ、絶対に綺麗な女性とかドキドキするシチュエーションとか掲載したほうが、そうでないチラシに比べて問い合わせが多いんじゃないかって仮説検定は、統計的に有意な差が出そうではあります。

いや、別にこのチラシがそうだとか、そういうんじゃないですよ?
アレですからね、スプリットテストというかA/Bテストというか、ああいうのってもともとはチラシのマーケティング手法だったんだなぁーっていう話です、ええ。

うーん、マーケtぃングは奥が深いね!!


 
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2014/01/23

脳に良い刺激を与えるための3種類の思考法

まさに備忘録ですが。ふと思ったことをメモ。

人間は普段の社会生活の中で、3種類の思考法のうち、多くても、せいぜい1〜2種類しか使っていないのではないか。残る1〜2種類の思考法を用いることで、脳に良い刺激を与え、生産性が向上するのではないか。そう考えました。

具体的な3種類の内訳は以下の通り。


1: 解釈思考

自分以外の人間が書いた文章や発言内容を、正確に把握した上で、自分の言葉で説明するための思考法。要は読解力。実生活なら読書、仕事なら書類、研究なら文献の読み込みで使う。あと、これが身に付いていると、センター試験の現代文で8割取れる。

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2:反復思考

知識を定着させるために、同じパターンの問題を繰り返し解くための思考法。思考法というか、そういう脳の使い方。実生活をより豊かにする料理の練習、仕事で使う証券アナリストの勉強、研究の前提となる統計手法の演習などなど。これができないと、大学受験で標準問題を落とす。

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3:解決思考

何らかの問題・目標が与えられたとき、現状を分析した上で、最適な回答を導き出す思考法。要は生産性の追求。

実生活だと「冬場の窓が結露によってカビてしまう」といった問題に対して、この思考法を用いる。論理的に考えることが出来ない場合、「室内外の温度差が原因なのだから室内の温度を下げれば良い」といった、本末転倒な解決策に至る。「冬場に室内を寒くしたら健康に悪い。だからその選択肢はアウト」という判断が要求される。もしかしたら「カビを完全に防ぐのは諦めて、もしカビたらすぐに落とせる工夫」をした方がいいかもしれない。

仕事だと、経営者から新入社員まで、大型投資案件の可否から、ちょっとしたお茶汲みの配慮まで、ありとあらゆる場面でこの思考法が要求される。この思考法を活かして高いパフォーマンスを発揮する人は一目置かれるだろうし、検討外れの意思決定を繰り返す人材は煙たがられるだろう。

他には、研究論文も例に挙げることができる。論文の意義と解決課題を示した後は、まさにこの解決思考に基づいて、仮説と検証結果を論じることになるからだ。あと、これができないと、大学受験で問題集は解けるけど、過去問や模試を解けない状況に陥る。

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以上、3つの思考法があるのではないかと思います。これらは、それぞれ使う場面が異なっている。目的によって、最適な思考法が異なるから。

例えば、初心者がプログラミングを勉強しようとした場合、「マシン語の仕組みから理解していく」(1:解釈思考)もしくは「頻出コードを何度も写経する」(2:反復思考)だと、大抵の場合は挫折する。だから「3:作りたいものをどうやって実現するか悩みながら実装する」ことを推奨する。実装の過程で、必然的に1や2を経験し、レベルアップする。…という言説をしばしば拝見します。

反対に、新社会人が入社までに基礎知識を叩き込んでおいて(2:反復思考)、その後、実務の中で応用力を身につける(3:解決思考)ことが仕組み化されている環境もある。また、一流の研究者を志すのであれば、理論の土台をしっかりと読み込む経験(1:解釈思考)が、視座に深みを与えてくれるだろう。

いまの自分の頭の使い方が、置かれている立場とズレているなら、上記を参考にして、修正できないか検討してみてはいかがでしょうか。



逆のパターン、つまり、思考法が環境に最適化された人は、 あえて別の思考法を取り入れてみてはいかがでしょうか。

読書のインプットはしているけれど実生活に何も役立てられていない人は、普段のちょっとした「困った」をどうやって解決すれば良いか、時間を設けて考えてみるとか。英単語ばかり頭に叩き込んでいる人は、簡単なリーディング冊子を手に取って読んでみるとか。1日1日は上手いこと乗り越えているものの、どこか浅い判断をしがちだなぁーと感じている人は、とりあえず本を1冊読んでみるとか。

そうやって、普段使っているのとは別の頭を使うことで、インスパイアされて本業にも良い影響を与えることができるかもしれません。


…ということを読書してて思いました。


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ちなみにこの本です。

低所得者が、お金を節約するために、自分の医療費を削り、結果として、直せたはずの病気が悪化し、死に至った。そういったエピソードが掲載されています。だから何だって話なんですけど、知識や知見は、怠惰を正当化したり重箱の隅をつつくためにあるのではなく、人生を豊かにするためにあるんだよなー、と思ったり。

あと、思考法というと「思考の整理学 (ちくま文庫)」を思い出す。また読みたくなってきた。語尾を一貫させた方が良いかなと思いつつ、おわり。

2014/01/19

ソーシャルビジネスを批判している海外論文を見つけたので紹介してみる。

表題の通り。

オックスフォードが出版している Social Entrepreneurship New Models of Sustainable Social Change という書籍の、Rhetoric, Reality and Research: Building a Sold Foundation for the Practice of Social Entrepreneurship (2006)という文章。

まず、ソーシャルビジネスという言葉の文脈を確認する。ある社会課題を解決するためにサービスを供給する必要がある。しかし、寄付に頼る収益構造は健全とは言えない。持続可能であるために、もしくは活動規模を拡大していくために、事業収入を得るべきだ。だから収益を得ることのできるビジネスモデルを採用しよう。社会性と収益性を両立する取り組みを、ソーシャルビジネスと呼ぼう。

さて、ここで重要なのは「事業収入」が、寄付などの「他の収入」よりも好ましい、という考え方だ。ビジネス形式だと、寄付を募るよりも、持続可能性を高め、活動規模の拡大に寄与する、という主張だ。AndersonとDeesは、この主張に反論する。「ビジネスモデルを採用しても、持続可能性は高まらないし、活動規模は拡大しないよ」と。

1点目:持続可能性。中小企業の寿命は12・5年と短命である。社会起業家の事業内容自体は、おおむね中小企業のものと同じだと言える。一方で、寄付によって成り立っている基金は長寿だ。有名な大学や財団の例がいくらでも容易に挙げられる。

2点目: 活動規模。言い換えると、資金用途の自由性。ドナーに対して説明責任を負う寄付とは異なり、ビジネスによる収益は自由に活用できるので、より素早く効率的な経営ができる、というのは本当だろうか。2003年のNonProfitTimesによると成長トップ100のNPOの収入は、寄付と公的資金の比率が高く、事業収入率が低い。グラミン銀行のような一部例外を除いて。

収益事業のメリットとは、顧客ニーズと向き合う努力が要求されることで、組織にプレッシャーを与えることができる点だ。

…ということです。


偉そうに書きましたが、以下の書籍(日本語)を参照しました。興味深い論点だったので、ポイントだけ簡潔に噛み砕いてご紹介しました。

市民社会政策論―3・11後の政府・NPO・ボランティアを考えるために―市民社会政策論―3・11後の政府・NPO・ボランティアを考えるために―
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最後に告知。私がお世話になっている国際環境NGOにて、現在アルバイトを募集しております。在宅勤務可。デスクの上で、希少生物や自然資本、里山や海を守る方法、途上国での森林保護について勉強しながら、お金も貰えてしまうという超優良案件です。院生推奨ですが、学部生や学生以外もWelcomeです。

あと、必須条件ではありませんが、ソーシャルメディアを活用したマーケティングやアクセス解析(いわゆるグロースハック的な取り組み)に関心のある方や、海外の記事を翻訳できる語学力(TOEICやTOEFLのスコアではなく実務ベース)があると好ましいです。まだオープンにしていいのか謎ですが、TEDで講演したとある方を招いて、HUB TOKYOやブレークスルー大学でイベントをやる予定もあるので、イケイケ系な学生も楽しめるかと。

いまのところ紹介制ですので、興味があるよ!って方がいましたら、ぜひ @yuzutas0 にご連絡ください!


そういえば、不定期更新な上に雑記事で溢れたこの糞ブログがついに15万PV達成しました。どうぞ皆様、引き続きよろしくお願いします。おわり。

2014/01/08

Microsoft Excel:初心者が、VBAでマクロを動かして思ったこと・役に立った記事などなど。

【このエントリーの結論】

普段からExcelを使っていて、効率化・自動化したいと思っている人は、VBAでマクロを書くと幸せになれる…かも。この機にチャレンジしてはいかがでしょうか?



【個人的なツイートまとめ】






【参考になるかもしれないURLまとめ】

Excel VBAによるマクロプログラミング

基本的な操作や考え方を抑えた上で、実際に手を動かしながら学ぶことができる。1つ1つのレッスン内容はシンプルなため、10〜30分程度で終わる。とりあえずこのサイトを一通りやれば要領は掴める。


今さら聞けないVBA - マクロとVBAの違い

基本的な用語を抑える。マクロ=Excelの機能名:自動的に、決められた手順で作業を行ってくれる機能のこと。VBA=言語名:マクロでどのような作業をしてもらうのか、という手順を記述するための言語。


Excel関連の技術情報

関数やVBAのTips集。それぞれのトピックに関する解説や練習問題が豊富にある。上のリンクでは言及していないユーザーフォームの設置方法なども網羅している。シェアされた数が1桁しかないようだけど、かなり良いサイトだと思います。


 ・仕事がもっと捗る!Excel(エクセル)の便利な使い方が分かる記事まとめ

こちらもTips集。新しいことができるようになる!というよりは、痒い所に手が届くノウハウをまとめている気がします。デザインなどの幅広いトピックをまとめていますが、Excelを使いこなすという意味では、小技やマウスの時間短縮テクニックに注目。


仕事が捗る!知ってると重宝するExcel(エクセル)の使い方記事まとめ

そもそも基本機能をきちんと抑えておきたい。改めてきちんと確認しておきたい。こういうときに参照すると良さげなページです。分かっているようで実は全然使いこなせていない、なんてこともありえるので。


 ・プログラマが考える劇的に効率が上がるExcelシートの作り方

3つのシートに「入力」「演算」「出力」それぞれの役割を与えることで、保守運用が容易になる、という使い方を提案している記事。そっくりそのままマネさせていただいています。最初にきちんと設計すれば、無駄なくシンプルで良い感じになります。


投資銀行式・Excelビジネスシミュレーション1Day集中講座
Google Analyticsとスプレッドシート&Excelでサイト分析を自動化する方法
起業時に必要なテンプレートまとめ|経理の作業を効率化!

応用編たちです。
Excelってこういうことにも使えるよね、みたいな。



【個人的なつぶやき】

前回エントリーがちょっと残念な内容だったので口直しにツイートまとめ+αでした。2013年はSNS・ブログから距離を取っていた1年だったので、今年は有益な情報を発信できたらいいなーと思っています(やるとは言っていない)。おわり。


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2014/01/05

超リア充な年末年始を送って分かった7つのこと。

財務分析とデータ解析だけで正月が終わってしまった…。


研究テーマが、とても無理難題だったのだけど、どう考えても実現不可能だと思ったのだけど、12月31日の23時40分くらいにシルバーブレッドを突き止めました。エキサイティングな大逆転劇を演じました。素晴らしくリア充な年末年始でした、はい。

というわけで、最近思ったことなどをまとめます。先に結論を言うと「短期的な成果を挙げるためには、捨てることが大事」となります。



【仕事編】

1:速度 > 正確さ

いきなり自分が思い描く100%を達成しようと奮闘しても挫折する。まずは20%を乗り越えることにだけ集中した方が良い。また、実際にやっていくうちに、最初考えていた100%が実は、はるか彼方にあると気付いたり、あるいは全然違う方向に進むべきだということに気付いたりする。やってみないと正確な答えさえ分からない。


2:絞り込む

少しでも速度を上げるために、目標を絞り込む。シンプルであればあるほど良い。 あっちもこっちも、とか考え出したらキリがない。ふわふわした苦痛を長引かせるくらいなら、さっさと決めてしまった方が良い。まずその20%を早く終わらせてから、その後で別の目標に挑戦すれば良い。1個の目標を達成できないままでいるより、2個の分割された目標をスマートに達成していくほうが、楽しい。


3:+αで勉強する

時間がないために捨ててしまった物を、今度は丁寧に拾い上げる。達成できる目標というのは、多くの場合、自分で思っている自分の実力の限界よりも低いくらいだと思う。課題をこなす途中で、今の自分ではできないからやめよう、と判断する機会が多々ある。他人に相談して解決できるなら最高だけど、必ずしもそうだとは限らない。そういった、実力より上の課題に対して、きちんと勉強する時間を取ると、自分の実力を伸ばせる。目標を達成した後でね。

いつ来るか分からない時に備えて努力するのが正しいことなのだろうけど、そんなんじゃやる気が出ない、という人も多いと思うのですよ。私とか。 だけど、準備をしないと、いざってときに対処できない。諦めることになる。だから、問題に遭遇する⇒1回諦めておく⇒さっさと簡単な目標を達成する⇒モチベーションが高いうちに努力する⇒リベンジ、という流れを作れば良いのではないだろうか。


4:リーガルハイ

の名場面集を視聴するとモチベーションが上がる。簡単に言うと、金のためならどんな手でも使う弁護士の話。コミカルとシリアスのギャップが素敵なドラマ番組です。

こういったシンプルな労働観を言行一致で体現するプロフェッショナルは見ていて気持ちがいい。正義のヒーローでも悪徳弁護士でも。キャラ作りとまでは言わないけれど、なりたい自分を演じきるのって大事だよねと思いました。来月から頑張る。



【挨拶編】
 
5:Facebook「あけましておめでとう」に写真を添えるのは邪道。

文字だけを載せたら、ちょっと味気ないよね!
というわけで写真を添えてみました!
写真をアップロードしたからには、説明しないとね!

…という後ろ盾を確保ッ!論理武装ッ!


 「私は今、○○と、△△に来ています!」
 

リア充アピールぅううううう!!


「去年は**の皆と××できて本当に##な1年間でした。」


これで**の皆から反応が寄せられる!!
コメント数やいいね数を稼いで友人の多さもアピールできるぜ!!


「2014年は∀∀にチャレンジしたいです」
 or
 「地味ですが◉◉な1年にしたいです。」


からのーーーーーー


「今年もよろしくお願いします!」


はい、よろしくお願いしまーーーす!!

普段は嫌厭される長ったらしい文章も、
スウィィツな写真も、
今回の投稿は許される。

だって、新年の挨拶だからぁぁぁあああ〜〜〜〜!





6: Facebook「あけましておめでとう」に家族ネタを載せるのは卑怯。

帰省している友人が、田舎のおじいちゃんと話した内容を読んだ。
僕は泣いた。




おわり。
あけましておめでとうございます。

これ後で読んで 「うわあああああ」ってなるやつだ。
翌朝に見直したほうがいいやつだ。
だけど投稿する。たとえ20%の出来であっても。


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【追記】

7つじゃなかったwww
6つだったwww