2014/01/19

ソーシャルビジネスを批判している海外論文を見つけたので紹介してみる。

表題の通り。

オックスフォードが出版している Social Entrepreneurship New Models of Sustainable Social Change という書籍の、Rhetoric, Reality and Research: Building a Sold Foundation for the Practice of Social Entrepreneurship (2006)という文章。

まず、ソーシャルビジネスという言葉の文脈を確認する。ある社会課題を解決するためにサービスを供給する必要がある。しかし、寄付に頼る収益構造は健全とは言えない。持続可能であるために、もしくは活動規模を拡大していくために、事業収入を得るべきだ。だから収益を得ることのできるビジネスモデルを採用しよう。社会性と収益性を両立する取り組みを、ソーシャルビジネスと呼ぼう。

さて、ここで重要なのは「事業収入」が、寄付などの「他の収入」よりも好ましい、という考え方だ。ビジネス形式だと、寄付を募るよりも、持続可能性を高め、活動規模の拡大に寄与する、という主張だ。AndersonとDeesは、この主張に反論する。「ビジネスモデルを採用しても、持続可能性は高まらないし、活動規模は拡大しないよ」と。

1点目:持続可能性。中小企業の寿命は12・5年と短命である。社会起業家の事業内容自体は、おおむね中小企業のものと同じだと言える。一方で、寄付によって成り立っている基金は長寿だ。有名な大学や財団の例がいくらでも容易に挙げられる。

2点目: 活動規模。言い換えると、資金用途の自由性。ドナーに対して説明責任を負う寄付とは異なり、ビジネスによる収益は自由に活用できるので、より素早く効率的な経営ができる、というのは本当だろうか。2003年のNonProfitTimesによると成長トップ100のNPOの収入は、寄付と公的資金の比率が高く、事業収入率が低い。グラミン銀行のような一部例外を除いて。

収益事業のメリットとは、顧客ニーズと向き合う努力が要求されることで、組織にプレッシャーを与えることができる点だ。

…ということです。


偉そうに書きましたが、以下の書籍(日本語)を参照しました。興味深い論点だったので、ポイントだけ簡潔に噛み砕いてご紹介しました。

市民社会政策論―3・11後の政府・NPO・ボランティアを考えるために―市民社会政策論―3・11後の政府・NPO・ボランティアを考えるために―
田中 弥生

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あと、必須条件ではありませんが、ソーシャルメディアを活用したマーケティングやアクセス解析(いわゆるグロースハック的な取り組み)に関心のある方や、海外の記事を翻訳できる語学力(TOEICやTOEFLのスコアではなく実務ベース)があると好ましいです。まだオープンにしていいのか謎ですが、TEDで講演したとある方を招いて、HUB TOKYOやブレークスルー大学でイベントをやる予定もあるので、イケイケ系な学生も楽しめるかと。

いまのところ紹介制ですので、興味があるよ!って方がいましたら、ぜひ @yuzutas0 にご連絡ください!


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