2012/11/12

Re:「日本に寄付文化が根付かない」を金融資産市場から問う。

前回のエントリーに対するコメントを戴いたのでメモ代わりにまとめておきます。
@ysnb1さんの日本人と寄付 http://togetter.com/li/404771 より。


●前回の概要

話をまとめると「日本人寄付しないね。カナダ人寄付するね。カナダ人の方が所得高いけど、理由それだけ じゃないよね。日本人て、お金についてあんま考えず、とりあえず貯めるよね。結局、日本人は寄付する金がないか、寄付する事をあんま考えてないんだよ ね。」て事だと読んだ。(ysnb1)

→ comment:市場がないという話です。



●所得≠寄付

日本は、90年辺りを境に景気がガラッと変わってるから、そのせいで寄付をしないという可能性は指摘できるけど、きっと、寄付はその前と後であんまり変わっていないと思う。(ysnb1)

→ comment:そもそも日本で寄付を受ける主体(CSO)が活発になったのが阪神淡路大震災以降だからデータが取れないんですよね。



●寄付の歴史

考えてみたら、寄付って、昔はお坊さんにするものだったんだよね。その時は、農民は豊かではなかったはずだけど、それでも一定量の寄付があったはずだ。んじゃ、なんでその寄付文化が他に根付かなかったのかというと、それは、「村社会」だからな気がする。(ysnb1)

→ comment:なるほど。お坊さんというか、地域コミュニティの中心機関であるお寺に寄付することで公共事業が行われる相互扶助形式だったみたいです。



●寄付の仕組み

つまり、「寄付は、強制されてはいないけど、寄付しないとその村で生きるのに、色々と不都合あったんじゃね?」てこと。強制されてはいないけど、強制されているという状態。 じゃ、これを現代に置き換えるとどうなるか。キーが二つで、会社とムード。(ysnb1)

→ comment:ほうほう。アレですね、小学校のトイレでうんこできない…みたいなソフトパワーが働いているわけですね。



●会社というコミュニティ

今は、村社会ではなく会社社会。会社の為に、みんな命すら投げ出す。例えば、会社で、「我が社も社会貢献しないといけないから、自由参加で、給料から500円天引きしてそれを寄付に充てよう」だったら、割と参加する人はいると思う。(ysnb1)

→ comment:これはナイスだと思います。損保ジャパンがまさに同じことをやっていて、今年度は5800万円の寄付を集めているようです。



●寄付するムード

次にムード。大地震の後は、「何かしなきゃ」ムードがあった。地震を発生させるわけにはいかないけど、何らかの方法で、「私も寄付しなきゃ」ムードを作り出せれば、勝ち。正直、ご飯と女の子とパチンコの事しか考えていない人には、寄付の重要性とかもろもろは理解出来ないし、させる必要もない。(ysnb1)

→ comment:例えば介助犬の映画がヒットした年は、他の年に比べて何倍も寄付が集まるようです。ただ、ムードの低下と同時に翌年以降は例年通りとなってしまう+ムードに乗じた募金詐欺の多発という問題点も指摘されています。

→ comment:クラウドファウンディングのような枠組みの上で、キャンペーンとしてより多くの寄付を集める取り組みは必要だとは思います。なので、ムードを活かす枠組み・より多くの人に寄付してもらうハウツーを作るのは必須でしょうね。



●その他

1:あと、休眠口座はちきりんさんが指摘して割と有名だけど、他には、相続のアテがない遺産とか、そういうものを掠め取るのも大事だと思う。(ysnb1)

→ comment:休眠口座・遺産は寄付よりも財政に直結すると思います。そこを民間が好き勝手にやってしまうのはむしろ危険かなと。


2:でも日本て、金出す割に発言力がないよーな気がするけど、外交のコミュ力どうなってんの?(ysnb1)

→ comment:コミュ力というか内容の問題だと思いますが。自国の利益を獲得するための外交戦略・方針がブレている印象は受ける。あくまでも大手メディアの報道を軽く視聴する限りではね。


3:これは適当なアイデアだけど、東洋経済あたりが、「役員の寄付金額ランキング」とかやったら面白いかもね。(ysnb1)

→ comment:どうなんでしょうね。それで寄付が増えますかね。むしろ税制を変えることで役員が寄付した方がお得な仕組みにするほうが効果的じゃないかな。



●まとめ

・ハード面:寄付を選択する環境(≒市場)を整えるのは重要。
・ソフト面:選択せざるを得ない状況を作り出す→コミュニティ、ムード。

・コミュニティ:生活の中心となっている場所にシステムを導入する
(=会社で給料から500円を差し引く、など)

・ムード:寄付しなきゃ!と思わせる状況を作る/演出する
(=キャンペーンやイベントなど?)

正確には対応するわけではないのですが、キャンペーンやイベント=前回記事での前半部分「貢献意識」で、会社=前回記事での後半部分「市場を作る」に近いのかなと思います。

んで、前回エントリーで後半を強調したのは、この「会社で給料から500円を差し引くシステムを導入する」「役員が寄付したくなる仕組みを作る」といった部分がかなり強力な力を持つのではないか、と伝えたかったからです。


少し議論が整理されたかな。こうやって意見を出し合って話を収束させていくと、いい感じに落としどころへまとまっていく気がします。ディスカッションは好きです。

続く。

0 件のコメント:

コメントを投稿