2012/05/26

5月病をぬけだす方法を全力で考えてみた。



冗談抜きにやべーよこれ、って人のためのエントリー。
つまり私個人の私個人による私個人のための記事。





前提確認ーー5月病とは何か


まず、前提の確認から。
5月病とは何ぞやってところを再度確認しましょう。
主に以下のような症状だと思われます。


①4月に環境が変わる。そこで頑張ってみる。
(e.g. 毎朝9時の授業に出席)

②ゴールデンウィークでその習慣が断絶してしまう。
(e.g. 10時まで寝よう)

③連休明けに4月ほどの調子が出ない。
(e.g. 9時に起きた…遅刻…)

④あとは負の連鎖。
(e.g. もう授業出るの面倒臭い…)





目標設定ーー何を解決するか


具体的に5月病の何が問題かというと

「空白の時間が増えて生産性が下がる」
「焦りで精神的ストレスが溜まる」

この2点だと思うのです。


精神面の問題はあくまでも付随的なものなので、
軌道に乗れば自然と改善されるはずです。
ただ、サンクコストはきっぱり忘れることだけ意識した方がいいです。

「やりたかったけどできないこと(平積みになった本とか)」
「やっちまったな〜という失敗(GW旅行で寝坊してしまったとか)」

こういったことを引きずると
いつまでたっても精神面は改善されません。


逆に言えば、うまく埋没費用(サンクコスト)を処理できれば、精神面はそこまで大きな問題ではないのです。
したがってこのエントリーで解決すべきポイントは「空白の時間を減らすこと」ということになります。





要因分析ーー空白の時間とは何か


そもそも空白の時間はどのように生じているのでしょうか。
大別すると

・睡眠による空白
(睡眠時間が長い、起床が遅い)

・集中力の欠如
(なぜかやる気が出ない)

この2種類の性質が要因なのだと思います。
それぞれに適切な対処法が違うはずなので、個々に見ていきましょう。





睡眠問題


まず、睡眠に関する話から。
「寝る」ことから派生して考えられる問題は以下の通り。

・導入:そもそも寝付けない
・時間:長時間寝すぎてしまう
・効果:眠りの質が悪い
・出口:寝覚めが良くない


あと「7:00に起きたいけどダラダラ起きて結局6:00に寝る」みたいなケース。twitterのTLを見ると結構こういうのが多いみたいですが。これできちんと起きるのは難しいですよね。

なので、起床時間から逆算しないと手の打ちようがないですよね。
また、最小でも3時間睡眠を仮定して話を進めます。
てなわけで、まずは翌朝の起床時間を具体的に設定することから始めましょう。


⇒起床時間の設定

いきなり早く起きるよりも毎日少しずつ早めていくのがいいようです。

朝型人間になるには一日20分ずつ目覚まし時計を早めるといい!?
http://www.lifehacker.jp/2012/02/120208-morning-person.html


では、先ほど挙げた4つの問題の解決策を考えましょう。
「そもそも寝付けない」「長時間寝すぎてしまう」「眠りの質が悪い」「寝覚めが良くない」といった問題です。

んで、解決策を調べてきたので引用します。
ところが2-3つの問題にまたがっているものが多い。
なので一気に列挙します。

「自分の問題点を解決するのに役立つ解決策はどれだろうか」と考えながら参考にしていただければと思います。ちなみにこのページが結構便利でした。

ビジネスマン必見!睡眠時間を管理して劇的に短縮させる13のコツ - NAVER まとめ
http://matome.naver.jp/odai/2133183165348711301


⇒睡眠問題への対応策

>ベース
・運動して疲労する(30分程度?)
・少食や野菜を心掛ける
・15分以上の仮眠はだめ
・呑みや残業を回避する

>寝る前
・お風呂に入ってリラックスする
・音楽を聴いてリラックスする
・胃に食事をいれない
・体を暖める飲み物を接種する
・カフェインやアルコールを取らない
・激しい運動はしない
・仕事はしない
・テレビを見ない(ケータイやPCも?)
・考え事やto doは書き出しておく

>寝る時
・起きる時間を決める
・起きてからやることを決める
・光と音を遮断する
・余計なことは考えない

>起きる時
・すぐ電気をつけて布団から出る
・深呼吸する
・水をたくさん飲む
・太陽光にあたる
・運動する


※目覚まし時計は隙を生じぬ数段構え。
(2個セット、30分ごとにセット、逆算して早めに起きれるようにする)

※「二度寝してもいいからとにかく水を飲みに行け」と自己暗示。
水を飲んだ時点で目が覚める。
そこで太陽光→外に出る→運動→深呼吸がおそらく最強コンボ。


※参考。これらのサイトからポイントを抜き出しました。
細かい説明が必要な方は頑張って探して下さい。

短時間でもクリティカルな睡眠をとる条件5つ
http://lifehacknote.net/kokorotosintai/suimin/

3時間睡眠を実現する方法
http://jp.messaliberty.com/2007/03/31/

よく眠るために覚えておきたい17のTips
http://www.popxpop.com/archives/2007/03/17tips.html

3時間熟睡法 眠りのリズムを身につける!(大石健一)の要点まとめ
http://bukupe.com/summary/3976

4時間半熟睡法(遠藤 拓郎)の要点まとめ
http://bukupe.com/summary/366

超夜更かしだった僕が朝型人間になるために実行した大切なこと10
http://www.ttcbn.net/no_second_life/archives/21761

超ダメ人間だった僕がデキる人になるために実行した大切なこと10
http://blog.livedoor.jp/tkfire85/archives/55515630.html

寝起きが悪いやつ、最強の目覚し法教えてやる
http://chaos2ch.com/archives/3287791.html

マジで朝起きるのが楽になりまくる方法が分かったから教えてやる
http://blog.livedoor.jp/kinisoku/archives/3289323.html


⇒起きてからすること。
これを予め決めておくといいらしい。
個人的にはこのサイトが参考になると思います。

ほぼ浮浪者だった僕が成功者と呼ばれるようになるまでに実行した大切なこと10
http://d.hatena.ne.jp/the-world-is-yours/20120412/p2

・ストレッチ
・シャワー
・ランニング
・紅茶を飲む
・タスク確認
・新聞に目を通す
・RSS処理
・ブログ執筆
・Evernote整理
・メールチェック
・本を1冊速読
・筋トレ
・朝食を作る

うん、これは毎日ルーティーンでこなせたら素敵だと思います。
一般人がいきなりこれやるのはムリだから、1つか2つかマネするのがいいのかな。





集中力問題


次に「やる気が出ない」「集中できない」という問題。
これには

・マイナスを削減:時間浪費を抑える
・プラスを後押し:やる気・集中力を高める

という2つの側面から対応策を考えてみましょう。



⇒時間浪費を抑える方法

これはおそらく受験勉強での方法と同じだと思われます。
つまり、ゲーム・コミック・ケータイ・PCといった娯楽に利用制限を設ければいい。

少なくともこの記事を読んでいる(書いている)ということは、ケータイ・スマホ・タブレット・PCのいずれかに時間を費やしている可能性が非常に高い。特に依存性が高いのは、SNSか動画サイトかソーシャルゲームあたりじゃないかな。あるいは本来のリサーチ目的から逸れたネットサーフィンか2chまとめとか。

これを制限すればいいんですよ。だけど生活必需品だからコミックのように放棄・封印するわけにはいかない。ならば1日1回夕食後〜風呂の間しかtwitterを開いてはいけない、とかね。



⇒やる気・集中力を高める方法

まず、モチベーションを高める方法。
これは意識高い方々が色々なハウツーを掲げていますよね。
「自分だけの1冊」を読むとか、講演会に行くとか、頑張ってる他の人を見るとか。

でもそういった方法って長期的なものをイメージしているんですよ。
1年間の資格勉強で、毎週日曜にその本を読んでやる気維持しましょう!みたいな。もちろんそういうのをトリガーにして5月病を解決できたら素敵です。

が、ここで考えるべきなのはもう少し短期の問題。
いまから1時間以内に作業や勉強に取りかかれるようなモチベーション上昇法です。



んで、結論を言うと、そんな方法はない。
頑張ってる友人の話を聞けばやる気は出るかもしれないです。
でも出ないかもしれないです。

同様に集中力を高める方法も、ない。
多くの場合「集中力を高めるハウツー」というのはもともと集中力がない人に向けた内容が多い気がします。
しかし、5月病に困っている人というのは「持ち前の集中力を活かせない」ことが問題なのであって、明らかに話がズレている。



じゃあどうするんだよって話なんですが、結論はこれ。

毎日15分を意識して能力を上げる方法 - NAVER まとめ
http://matome.naver.jp/odai/2133706050176108801

「とにかく毎日15分やる」クセをつける
http://www.hanashikata.com/125katukotu001.html



たいてい人は最初のうちは、「毎日30分やろう、いや、1時間やろう!」と欲張ります。心掛けはいいが、なかなか続きません。
そこでとにかく毎日15分やってみてください。どんなに忙しくても、15分くらいはとれます。毎日15分を日課にクセにするのです。

これらは習慣化の記事ですがポイントが分かるので引用しました。
要は、とにかく15分でいいからやってみろ!ということです。


「モチベーションや集中力」→「1時間の行動」

ではなく

「15分の行動」→「モチベーションや集中力」
→「さらに行動」→…


という正のスパイラルにしたほうが効率良いよ、というお話。
なんだかんだでやっていくうちに面白くなってくるものです。

だとしたら初動のハードルを低めにして、いますぐ15分だけやってみる、というのが最適解かなと。もちろんやるべきことを明確にイメージした上でね。15分という短い時間だと「ここまでやろう」と目標が細分化・具体化される点もプラスですね。



15分集中にさえ起爆剤が必要な方は、
場所か人の力を借りるしかないです。

カフェに行って勉強するとか。
友人と一緒に課題をやるとか。
尊敬する人の言葉を聞くとか。

モチベーションの話にもどってしまうけど、
短期的であればこういう方法しかないですよね。

まぁ、ここは蛇足かな。とにかくどんどん動きましょう。できるだけ一番面倒くさいことをやりましょう。家でゴロゴロするのが快適だという人はムリヤリでも外出しましょう。スマホでゲームをいじってしまう人は今すぐにでもアプリを消しましょう。理由や言い訳は関係ないです。その甘えが人生を縛ってしまうのであれば今すぐ脱出しましょう。





結論ーー5月病をのりこえる方法

⇒整えるべき環境

・眠りを改善する
(起床の時間から逆算)
(翌朝やることを決めておく)
(眠るための準備をしておく)

・時間の浪費を抑える
(特にケータイとPC利用制限)


⇒身につけるべき姿勢

・とにかく15分だけやってみる
(やる気と集中力は後からついてくる)

・起爆剤は<場所>か<人>
・一番面倒くさいことをやる



こんな感じ。まとめすぎたかな。
とりあえずアレです、自分なりの問題点と解決策を洗い出す参考になればと思います。

少しずつでも生活を改善していきましょう。
一緒に頑張りましょう!

ではノシ

2012/05/24

[書評]『あなたの中のリーダーへ』


またもや英治出版の新刊モニターに当選。
前回に引き続き、ふたたびamazonレビューに投稿しました。

ところがamazonレビューって1000字前後に抑えろと。
文字カウントしたところ2000字だったので泣く泣くカット。
というわけでLongバージョンをこちらに掲載しておきます。

以下『あなたの中のリーダーへ』のレビュー。
相変わらず厳しめで☆3つの評価にしたけど、まぁ面白いよ。
やっぱエピソードが魅力的だからかね。





現状を打破するために必要なこと

英治出版様の新刊モニターとしてレビューを書かせていただきます。
客観性に配慮するため、この書籍の良い点・悪い点ともに挙げていくので、参考にしていただければと思います。



【内容について】

元世界銀行南アジア地域副総裁である著者が
「日本のリーダーから本気がうかがえない」
との問題意識を持って連載していたコラムのまとめとなっている。



著者が世銀で行った組織改革は主に以下の3点。

①女性が活躍できる環境整備

制度としては公平だったが、事実上明らかに昇進・給与面で不当な状況だったのを改善。面白いのが日本の企業のように「職員の何%を女性にする」といった優先権を与えるのではなく、あくまでも男女フェアな状態で改善した点だ。単なる制度変更では意味がないと主張している。

②家族単位での労働環境整備

ワークライフバランスを考えるにあたって「その職員1人の仕事/私生活」という区分けではなく「その職員+家族の生活/仕事」というフレームワークで労働環境を変えたとのこと。家族の負担が減ることでストレスがなくなり、笑顔の絶えない職場になったと説く。

③現地の目線を大切にする姿勢

本来は貧困をなくす仕事、つまり貧しい人々のための仕事でなければいけない。しかし世銀職員は裕福な生活をしてきた者ばかりで現地のニーズを考えない状況になってしまっていた。そこでホームステイのプログラムを導入することで大きくシフトすることができたと言う。



こうした取り組みは、縦割り行政のなかで非常に大きな抵抗にあったとのことだ。笑われ続けて悔しい思いをしながらも、自ら実践し、常に説き続け、適切な説得材料を集めて、応援者を獲得していった。

例えば、金融を扱う以上は見逃せない「リスク」がある。しかし多くの場合「どうせ起きないだろう」と甘い考えで見逃してしまう。それを回避するために著者は「どんな小さなリスクでも見つけたら祝おう」と言って、自腹で宴会を主催。やがて「問題点をみつけると褒められる」というリスク対処の強い文化が形成されるようになった。リーマンショックも1-2年前には予測・対策できていたようだ。

こういった話題は日本の企業・政府(リスク問題ならホットなのは原発か)にも当てはまる。いかに現状を変えるか、を考えるヒントとなるような話題が提供されている。



主に挙げられているのは世銀改革の他に、

・ブータン(国王が数十年かけて国民全員の話を聞いたこと、民主化、国民総幸福の指標)
・山形県庄内地方(庄内の人々の歴史、東北公益文科大学のビジョン)
・バージン諸島(雨水や電気の節約と人間らしい生活スタイル、無根拠な世論に流されない独自の産業発展の歴史)
・『日本でいちばん大切にしたい会社』(人間の幸せを最優先するビジネス・労働のスタイル)

といったテーマがある。
これらの話題を通じて繰り返し主張されているのが

「人間として幸せでいるためにどうしたらいいか」
「生活をしっかり見つめて考えること」

「単に仕組みを変えるのではなく意識を変えなければならない」
「論理がどうこうではなく未来の姿を全身で感じること」

こうした著者の姿勢である。
その姿勢でまっすぐ日本を見ると新しい発見があるかもしれない。


日本が抱える最も大きな問題の1つとして「税収の減少」「社会保障の増加」がある。しかし、高齢者が増えることがなぜ問題なのか。知識が活かせる、高齢者が活躍できる、そんな社会になったら素敵ではないか。「実際の人間の生活」から財政問題をとらえると年金構造とはまったく違った日本社会の問題点が浮かび上がってくるようだ。

この書籍は体験談やメッセージに留まらず
多くのヒントを投げかけてくれるものである。



【良かった点】

・すぐ読める
明確な構成で編集されているわけではなく、連載コラムの形式になっている。
そのため電車や隙間時間にパラパラと読むことができる。

・体験談が興味深い
世銀改革というエピソードは一般の人では味わえない貴重な体験談。
それでいて企業や行政に勤める多くの人が参考になるヒントがちりばめられている。
読み物としても、現状打破のきっかけとしても面白いのではないか。

・オルタナティブな視点
経済成長や財政問題といった「大事だけど目的と手段が入れ替わっている」議論に待ったを投げかける。
本当に大事なものは何か、考えるべき本質は何か、新しい視座を与えてくれる。



【悪かった点】

・文章が不自然
新聞の記事のような書き方なので、本として読むときにやや不自然。類書に比べて読みにくい。
コラム連載時の問題なのでしょうが、同じフレーズが何度か使い回されていて「編集していないのか」と思ってしまったり。
背景説明が不十分でやや飛躍がある。行間を読める人じゃないと「ん?」となってしまうかも。

・パーツだけで本体が見えにくい
まさにコラム。テーマやタイトルが一貫して構成されていないので、通して読むのには向かないかも。
1冊の本として「こういうものです」と言い切れるようなものではない。




【個人的な結論】

誤解を恐れずに言うと「田舎に帰ってじーちゃんから ありがたいお話を聞いた」感覚に近いです。
あれこれと話題が飛んだり、ときどき「んん?」と顔をしかめたくなったり。
だけど話が終わってみると「良い話だったな」「思う所があった」と口から出てくる。
そんな感じの本です。



とまぁこんな感じです。


最近専門書ばかり読んでいたからか、どうしても「この書籍のこの部分はこういう役割を持つ」みたいなお堅い読み方をしてしまうので、連載コラムのスタイルにはちょっと抵抗がありましたが。

そこら辺の偏見も入っているレビューなので、適度に参考にしつつ、興味があったら手にとってみてはいかがでしょうか。少なくとも「組織改革」「世界銀行」あたりのキーワードにビビッと来る人にはかなりオススメです。


あと財政の話は関心しました。私自身、経済学はツールだと言っておきながら、財政再建に関連した勉強をしていると「いや少子高齢化が問題の原因でしょ」と、自己批判を経ることなしに断定してしまっていた。だけど少子高齢化は単なる現象でしかなくて、それが財政負担という形で可視化されるけれども「実際の人々の生活にどう悪影響を与えるか(ここが問題のポイント)」をきちんと吟味しないでいた気がします。

まぁ、だからといって財政はどうでもいいという安易な帰結に移るわけがないのですが。ここはまた別の議論ですね、はい。言いたかったのは「私にはこういう気付きがありました」ってこと。


コラムならではというか、事例が極端だからというか、そういう意味でも非常に「気付き」のある内容だったと思います。具体的な目的を持って読むというよりは、読み終わってから価値に気付ける…そんな本ですね。

おしまい。

2012/05/08

シンプルって本当に大事なことですか?

simple&cleanってどうなんでしょうかって話。
アンチテーゼ大好き。

twitterを眺めていたらこんなツイートが目に入った。

「本当に頭が良い人は説明が分かりやすい」は「俺が分かるように話して欲しい」が悔しくて言えない裏返しの言葉だと自覚してますか。あなたは人の頭の良さ を格付けできる頭をしてません。また、難しい物事を簡単に説明されて理解できたと思った場合、何を意図的に省略されたか考えたことがありますか。 via @Neos21

なるほどーと思ってすぐさまRT。シンプルに考えること、伝えることの重要性は強調されているのに比べて、そのマイナス面…つまり、シンプルにすることによって失われてしまうものの重要性って注目されていないですよね。



シンプルとは削るということ

読書を例に挙げると分かりやすいと思います。
例えば「分かりやすく解説している新書」と「大学の講義で指摘テキストとされている厚い本」なんかがまさにシンプル/複雑をよく表しているんじゃないでしょうか。

具体例として『経済古典は役に立つ』と『入門経済思想史 世俗の思想家たち』の組み合わせや、『落ちこぼれでもわかるマクロ経済学の本』と『マンキュー マクロ経済学』の組み合わせを挙げてみます。

これまでどんな経済学者たちがいて、どんな社会背景のもとで、どんなことに問題意識を持って、そしてどんな解決策(理論)を考えたのか…「人」に焦点を当てて経済学の歴史を概観するのが『経済古典は役に立つ』や『入門経済思想史 世俗の思想家たち』 です。分量・レベルを考えると前者のほうが圧倒的に読みやすいのですが、後者で説明されている魅力的なエピソード(マルクスとエンゲルスがどういう想いで 『資本論』を書き、世間からどんな反応があったか?など)が前者ではあまり紹介されていません。先に後者を読んだ私としては、後から前者を読んでちょっと 物足りなかったというか、友人の講義ノートを書き写すだけのような無味乾燥な印象を受けました。竹中先生ならではの視点や、日本の現状を当てはめて考える という意味では非常に面白かったですが、経済思想史の知識を仕入れるという意味では復習以上の成果は挙げられなかったかなぁというのが正直なところです。

また、マクロ経済学の学習参考書として利用した『落ちこぼれでもわかるマクロ経済学の本』と『マンキュー マクロ経済学』は前者→後者の順番で読んで大正解でした。もともと高校時代に政治経済をマスターしていた人はいきなり本格的なテキストを使っても大丈夫だと思うのですが、私は理系だったため、そういう状態ではなかったんです。前者は非常に分かりやすい。そもそも経済学ってなんやねん、という話から始まってマクロ経済学 という科目(学問分野でさえないレベル)のイメージを掴むにはピッタリだと思います。しかし、例えば家計の消費行動を説明する消費関数C=C0+cY (生活必需品のように所得に関係なくC0の消費を行う+所得Yが増えるほど消費量cYが増えますよという式)は経済学の授業で誰でも習うと思うのですが、 このC0とかcってどうやって決まるの?どういう人間のどういう根拠に基づいたどういう行動を意味しているの?といった「なんでそうなるの?」部分は放棄 されているわけです。だからこそ分かりやすいのですが、しかし理屈が分からないから記憶しにくい。応用できない。そういうときに「なぜなに?」部分にも言 及して概説してくれる後者を読むと非常に良く理解できるわけです。

このように、シンプルであることは、前提知識や読 解力・思考力が不足しているときには大きな助けになります。専門知識を習得するときに、これまでこういった「分かりやすさ」がないがしろにされてきたこと は問題だと言えるでしょう。何より、社会で関わる人間のほとんどがバックグラウンドも知的水準も異なるわけですから、互いに「相手に分かりやすい伝え方」 を心掛けることはマナーの1つだと断言していいでしょう。一方で、いざ深い話をしようとしたときに、いざきちんと理解しようとしたときに、シンプルな情報 だけでは明らかに不十分だと思うのです。

そもそもシンプルという基準自体が移り変わっていきますよね。小学生のころ は新書さえ読むのに苦戦したはずですが、いまこのエントリーを読んで内容を理解できている人であれば新書を読むことに困難はないはずです。シンプル/複雑 の基準自体が自分の知的能力によって推移していく。となると、世の中で「シンプルを徹底せよ」という風潮のもとでテレビ番組・書籍・ブログ記事etc… 様々な情報が形成されていると思うのですが、あえて「シンプル慣れした人が一歩上を見るための情報」がもっと増えてもいいのではないかと思います。



伝えたいことってそんなにシンプルか?

そこでまた自問自答なのですが「自分が伝えたいことって本当にそんなシンプルなことなのか?」と思ってしまったわけです。有名ブロガーやアルファツイッタラ ―の方々って、良くも悪くも「◯◯の人」というシンプルなキャラ作り・メッセージの発信に成功しているケースが多いです。ゆるふわお洒落だったり、ノマド ライフを楽しんでいたり、バックパッカーだったり。マーケティングとしてはそれで正解だと思うのですが、本当に人間ってそんなシンプルになれるものなんで しょうか。

例えば私であれば、どんな勉強をしているか?と言われると現在のメインはファイナンスです。ですが、それ も地域や途上国問題を考えるツールの1つとしての位置づけですし、大学に入って最初に書いた論文はアダルトチルドレンという発達教育学・心理学・社会学的 なテーマを扱ったものでした。結局、様々なバックグランドがあった上でのファイナンスなので「とりあえず日系金融機関から内定取りたいな〜」っていう人と は根本的に話が合わないのです(ケンカ的な意味ではなく実感・共感できないという意味ですよ!念のため)。

当たり前のことなのですが、人間も「人生=情報の羅列/個々のエピソード=個々の情報」という意味では、書籍に書かれた情報と同じで、本来であればそこまでシンプ ルにできないものだと思うのです。とはいえ、もちろん簡潔に自分を紹介する能力が重要なのは間違いないです。ただ、シンプルであることは必ずしも至上命題 ではない、もっと複雑で多様なものに対して寛容であってもいいのではないかと思います。

伊坂幸太郎の「人生は要約できねぇんだよ」(『モダン・タイムズ』)という言葉がまさにこういったことを表してるかなと。

何が言いたいかというと、要約したらはみ出てしまうような、そういった物事の価値も肯定したいねって話です。人生で言えば、ムダに過ごしたと思った時間も、 実は大切な時間かもしれないということです。会話や文章で言えば、本当に重要なことはまとめの文章だけを読んでも理解できないんじゃないかということで す。もしも仮に、就活とか入社とか入学とかで「自分のキャラクター」に縛られてしまうのであれば、シンプル化・レッテル化を促すカテゴライズが息苦しいの であれば、余計なことを考えずにありのままの自分を肯定してあげてもいいんじゃないでしょうか。

「◯◯ちゃんってこういうキャラだったんだ」と言われたら「あなたはいつから他人をカテゴライズするほど偉くなったんですか」と言い返せばいい。心の中でねw



余談ですが(そしてこの余談が長いのですが)出版甲子園というイベントにむかし応募したときの資料を見つけたので、これを掲示しておこうと思います。まさに「シンプルでは伝えきれないこと」を伝えたかったんだな自分は、と思ったので。若干、中2臭いのは仕様です。



◆タイトル

国境を越えた教室


◆企画概要

ジャンル:エッセイ
企画概要:

私が昨年小学校で行った特別授業を本にしたいと思います。日本の小学校と、バングラデシュという途上国の子供たちとを、テレビ電話で繋ぐという授業を行いました。

そ して、チャレンジする中で多くの困難や悩みに直面しました。関係者様との折衷、メンバーとの企画運営、その授業が本当に誰かの役に立つのか、といった点に ついてです。すべての課題を上手く解決できたわけではありませんが、子供たちの笑顔や仲間の存在によって、授業を無事に成功させることができました。

このエピソードを通して「挑戦し、困難や悩みと正面から向き合うこと」の大切さを伝えたいと思います。


◆企画の背景

終身雇用が崩壊し、キャリアの多様化が進むと言われている現代において、多くの若者が「(仕事に限らず)どのような生き方をするか」について悩んでいると思います。

で すが、何も知らないまま、自分で自分の限界を決めてしまうことが多いように感じます。例えば「途上国の問題に興味がある」けど「自分は女性だし、治安・健 康面で不安のある地域で働くのは抵抗がある」という人は「日本でも国際協力に関わる方法はある」「地上国でも安全な場所はある」といったことを知りませ ん。たまに途上国で活躍する人のエピソードを読み、あこがれるだけで終わってしまいます。

普通の学生が、小さなきっかけで、ちょっと特別なことを体験した。億万長者のサクセスストーリーではありませんし、途上国の問題を解決できたわけでもありません。「等身大の学生の、等身大の挑戦」です。だからこそ、多くの若者が生き方を考えるヒントになると思っています。


◆自己アピール

この特別授業は、わずかではありますが、東京都の教育委員会から予算を降ろしてもらえたものです。バングラデシュ側では、ノーベル平和賞を受賞したグラミン銀行という機関の協力を得ました。

私自身は、特別な能力やコネクションを持っていない普通の学生でした。大学1年次に「世の中には面白いものがたくさんある」と感じて、積極的にイベントや旅行に出掛けた結果、偶然「教育関係のネットワーク」「バングラデシュのNGO」関係者の方々と知り合いました。

大学2年の春に、教育関係者の方から誘われたバーベキューにて「出張授業を大学生がやると面白いかもしれない」という先方の軽い言葉がきっかけで今回の授業も実現しました。グラミン銀行の協力を得たのも、ダメもとでメールしたのが始まりでした。

海外経験も少なく、英語のメール1つ送るのにも試行錯誤でしたが、「困難や悩みと向き合う覚悟」と「挑戦する気持ち」さえあれば、誰にでも可能性は広がっていることを自分自身の経歴で証明できると思っています。


◆ターゲットと読者メリット・企画のねらい

大 学生活をどう送ろうかと悩んでいる高校生~大学1、2年生に対しては、ひとつの参考例となると思っています。また、キャリアについて考えている大学3、4 年生や若手社会人の方には、少し特別な体験をした学生がどんな経緯でそこに至ったのかを考える参考にすると思っています。

具体例としての参考以外にも、いま現在何かに取り組んでいる人が「(自分より年下の/自分と同じくらいの)大学生も困難を乗り越えてきた」ことを実感し、困難と向き合うモチベーション向上のために読むことも考えられます。

他にも、教育や途上国問題、IT技術の関係者にとっては、ひとつの実験例として読むことができますし、「テレビ電話で世界が繋がる」「子供たちの笑顔を見たい」といった原点回帰の要素も提供できると考えています。


◆類書との差別化

類書:
社会起業家やボランティア団体のエピソード本

この本のオリジナリティ:
純粋に「社会問題を解決する」わけではない、という点です。
何かに挑戦する時「それが誰かのためになる」と目に見えて分かることのほうが少ない。その意味で、より一般読者に近い視点からエピソードを提供できると思っています。


◆構成案

①好奇心だけで動いた1年
大学1年の時の、教育関係者やグラミン銀行の方々と知り合うまでの経緯をまとめます。当時はひたすら世界の広さに憧れて様々な人々と出会っていました。

②大抜擢のバーベキュー
多摩川でバーベキューをしている最中に、小学校の特別授業をやってみないかと誘われて、軽いノリで思いついた企画案を提示したことから始まりました。

③チーム結成!
提携しようとしたNGOとの話が破産になり、精神的にも追い詰められた状況でしたが、グラミン銀行の方々の活発な言葉や、メンバーが集まったことから道が開けました。

④本当にこれでいいのか…?
刻一刻と迫る授業日。メンバー達と共に準備を進める中、素直に楽しめない自分自身に戸惑うようになりました。教育や途上国の課題と直接対峙することになり、妥協しながら企画を進めている状況だったのです。

⑤国境を越えた笑顔
ついに授業当日を迎え、ハプニングの連続もなんとか乗り越えていきます。しかし未だ自分なりの答えを見出せない私の目に、子供たちの笑顔が映ります。

⑥その瞬間を探して…
授業を終えて、本当に自分が求めていたものがなんだったのかを理解しました。課題点や失敗だらけですが、自分にとっては大きな一歩でした。


◆見本原稿

(重要なシーンの文章を実際に書いてみて下さい)

笑顔が、国境を越えた。

それは特別な光景ではなかった。
たまにSkypeで海外の友人と話していた私にとって、それは特別な光景ではなかった。

そのはずなのに、体中の震えが、止まらなかった。

画面の向こうで手を降るバングラデシュの子供たち。
画面の向こうへ手を降る日本の子供たち。
向こうからは、赤い丸と緑の国旗。
こちらからは、赤い丸と白の国旗。

遠く離れたふたつの国の子供たちが、本当なら出会うこともなかったはずの子供たちが、
言葉も通じないはずの子供たちが、笑顔を共有化した瞬間だった。

単にテレビ電話が珍しいから、海外の人の存在が珍しいから、子供たちがはしゃいでいる。
それだけかもしれない。
たった半日の授業で本当の異文化理解なんてできるわけがない。ちょっと触れてみただけ。
それだけかもしれない。
10年後には何も覚えていないことだってありうる。数ある娯楽の小さな1つに過ぎない。それだけかもしれない。
農村部の貧困問題が解決されたわけでもない。村の外の世界を少し覗いてみただけ。
それだけかもしれない。
これは私達の自己満足でしかなくて、誰かのためになんかならないのかもしれない。
ずっと抱えていた悩みが、頭の中を一斉に駆け巡る。

だけど、頑張って良かった。
子供たちが、遠く離れた場所で、同じ時を共有した。
その瞬間に出会えて良かった。

悩んでいる自分に向かって、もう1人の自分が心の中でそう言った。
何も解決できてはいないけれど、この素敵な瞬間に出会えたことが、素直に嬉しかった。

これまでずっと悩んで来た。
大学に入っていろんな人がいると知った。いろんな問題があると知った。
誰かのために何かをしてみたかった。
生まれて初めて、途上国に行った。バングラデシュの子供たちと話した。
いろんな問題を直接見て「世界平和」という言葉の重さを理解した。

しかし「世界平和」がどんな状態なのか想像できなかった。
何を目指しているのか、その先にどんな世界があるのか、よく分からなかった。

この授業を通してようやく分かった。
言葉も、文化も、経済状況も、何もかも違う子供たち。
彼らが一緒に笑える瞬間。笑顔を共有できる瞬間。

それは一瞬かもしれない。誰かを救うことなどできないかもしれない。
だが、その瞬間こそが自分の求めていたものだった。

ふと高校の文化祭を思い出す。
普段はそれぞれのグループで別々だったクラスメイトが力を合わせて作業する。
普段は特定の授業でしか会うことのない先生たちが入り交じって手助けする。
普段はそれぞれの生活をしている親御さん、見学に来る中学生、他校の友人たち。
皆がステージを取り囲み、出し物のダンスを楽しむ。

本来なら出会うはずのなかった人々が、笑顔を共有する瞬間。
これが私にとっての世界平和だった。

軽いきっかけから始まった挑戦。困難や悩みと向き合い続けた日々。仲間たちの努力。
学校に働きかけてくれたY先生のサポート。
バングラデシュの悪環境のなかで準備をしてくれたAやF氏の協力。
国境を越えた教室が、子供たちの笑顔が、私に答えを与えてくれた。



あいたたたたた…(/>ω<)/
うん、これは自分で読んでて恥ずかしいっすわー!笑

まぁ… ですね、体験としては面白いと言ってもらえたんですよ。ただ、例えば学校を建てましたとか、NPOを設立しましたとか、そういう分かりやすさが欲しいか ら、上手く「コンセプト」を1本絞ってもらえないかなと注文されたんですよ。その注文は一理ありますよね。だってその方が読者は獲得しやすいですから、ど う考えても。

でも、それっておかしな話なんですよ。学校を建てました?NPOを設立しました?…それって全然本質的 ではないんですよ。むしろ学校経営が継続できずに状況をより悪化させてしまうケースだとか、法人格を取得しても(社会起業が活発と言われるアメリカでさ え)ほとんどの組織が助成金依存で手段・目的の逆転が起きてしまっている。だからこうした行為が悪い、というのではありません。ただ、シンプルで分かりや すい情報の背後には、こういった問題を除外しているという現実があるわけです。

上に書いてあるように、私が伝えた かったのは「挑戦し、困難や悩みと正面から向き合うこと」です。シンプルな思考放棄に逃げないで、何が正しいのか・どうすべきなのかを考え抜くことも、そ のメッセージに含まれています。だからありのままに思ったことや悩んだことを伝えたかったんですよ。等身大の立場から。…と言いつつ、冷静に考えるとマー ケティング的に何の差別化もできていなくてアウトなんですけどね。

そんなこんなで反発した私は「だったらいいです」みたいな感じで取り下げたのですが。…うん、若いな。最近はこの若さって結構大事なんじゃないかとも思っていますが。



ザッポスという本があってだな


んでんで、私が描こうと思っていたコンセプトに最も近い書籍を見つけたので最後に紹介しておこうと思います。amazonにバイアウトされた企業ザッポスが成功するまでの試行錯誤を描いた『顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか』 (トニー・シェイ)です。CEOである著者が、幼少期から大学時代までありとあらゆるビジネスを思いついてはチャレンジし、失敗していくなかで様々なこと を学んで行き、そしてついにザッポスを成功へと導くことになるという体験談です。各エピソードの終わりに「この体験から学んだこと」のリストが示されてい るので、まさに試行錯誤→学習のサイクルを追体験できるようになっているわけです。

私が甘かったのはこういう部分で しょうね。もし本当に「試行錯誤することや困難に向き合うことで学びがあるよ!」というメッセージを送るのであれば、「失敗・悩み」と「学び」とを伝える 工夫(例えば『ザッポス伝説』のリストのようなもの)を組み込む必要があったわけだ。シンプルではない内容を、シンプルなコンセプトに落とし込み、しかし 重要な部分を省略せずに伝えるようデザインする。こういう視点で言えば、数ある起業家の書籍の中でも『ザッポス伝説』はひときわ輝いていると思います。



…あれ、結局何これ、本の宣伝?w

って思ったヤツは甘い。
シンプルにまとまらないところに良さがあるんだよ。

って考え方じゃダメだと分かったね。
デザイン思考というか、いかに複雑な内容を受け止めさせるシナリオを設計するかって大事ですね。


というお話でしたとさ。
じゃあのノシ


2012/05/05

[アイデア] 学生向けの国際協力ファンドとかどうっすか?

単なるアイデアです。
それ以上でも以下でもないけど残しておく。



【コンセプト】

「毎月3000円の飲み会を1000人の学生が控えたら年間3600万円集まるやん」をコンセプトにした国際協力ファンド。
途上国支援に限らなくてもいいんですが、農家支援とか地域・環境系はもう既に金融機関が投資ファンド作ってるので、ブルーオーシャン…というとやや語弊があるけど、上手く隙間をフォローしてニーズを満たせるところを考えたら学生の国際協力かなと。



【投資について】

3600万円は適当です、はい。
なんだかんだで1年に36,000円支払う計算になるので(飲み会には使う割に)投資・募金としてはハードル高めかなとも思います。
そしたら月1000円×1万人で年間1億を狙いますか。

ちなみに、飲み会控えろってのは、別に飲み自体がどうこうってわけじゃないんですけど、3000円の価値がある飲みをしてる人って少ないんじゃないかと思ったからなのです。バカ騒ぎしたり、語り合ったり、気になる異性に話しかけてみたり、そうやって楽しむなら全然アリだと思うんですけど、どうもそうじゃない人が多いんじゃないかなーなんて思ったり。

んでね、同じ3000円を払うなら、その3000円が何を生み出すのか?って考えるのは結構大事だと思うんですよ。
こういうことを言うと「数字がすべてじゃない」「後になってから気付く価値もある」みたいに言われそうだし、実際その通りなんですが、いちおう大学って学問を習得する場所ですし、科学は仮説・分析の繰返しなわけですよね。だとしたら、せっかく大学で勉強してるんだし、そういう思考法を採用してもいいんじゃないかなーなんて。

そこで、じゃあ3000円をどう使うかって話ですよ。このファンドでは、2つの価値を提供できると考えています。
1つは支援先(投資・寄付される団体)の活動を通して世の中に価値を創出する。まぁ、これはそのまま。
もう1つは3000円という時間を、不本意な飲み会に使うことなく、例えば自分の趣味や夢実現の努力のための時間にまわすことができる、という点。



【会合について】

3000円を支払って「自分のための時間」を買った証として、例えば公務員志望の投資家(学生)であれば、その時間に勉強したことを他の投資家メンバーに報告する…みたいなのがあったら面白いんじゃないかな。
それはfacebookグループのようなSNS上でもいいし、月に1回か年に1回か分からないけど、投資先の団体の活動報告会(いわゆる株主総会?NPOのサポーター向け報告会みたいな感じ?みたいな会合)にてサポーターも自分の頑張ったことを発表し合うわけですよ。

これは私が所属してるZ会のキャンパスレポーター(高校生に自分の大学の情報を発信するお仕事)がまさにこんな感じなんですけど、たまに飲み会や旅行企画があって、各大学のメンバーが近況報告をしたりするんです。皆さん、高校生に伝えたいメッセージを持っている(=何かしら目標や問題意識を持っている)方々なので、結構いい刺激になってるようです。まぁ私は全然コミットしてないですけど!笑

んで、飲み会でウェーーイ!ってやるお金を国際協力にまわすくらいですから、それなりに面白い人たちが集まると思うんですよ。当然、そういう人たちに活動をアピールしたい団体(国際学生シンポジウムとか議員インターンとかWAAVとか?)の人たちも利用してもらえそうですよね。ある意味でひとつのコミュニティ形成になるんじゃないかと思ってます。あわよくばニコニコ超会議みたいな感じにできたら最高ですね。



【投資先について】

仮に1億円規模になったら任意団体で済ますわけには行かない=法人格=なんやかんやで経費が必要=1億すべて使えるわけではない…というのを考慮に入れても、まぁ結構な金額が使えるわけですよね。

どうせなら学生団体メインで融資(ってか寄付?)するのがいいと思いますが、その寄付先・金額・諸条件も、融資する側が決めるってのが一番良いですよね。そうなると、無条件で寄付してもらえるわけじゃないから各団体も客観的評価を意識した行動指針・プレゼンテーションができるようになるんじゃないかなと。
国際協力団体とかものっすごい勢いで登場しては消えていくから相対的な位置づけを認識するだけでも有意義だと思うのです。多数決だとミスコンみたいに出来レースになる恐れもあるけど、まぁ妥当じゃないかな。

何より一番いいのは、在学中に評価したりされたりする経験を詰めることでしょう。
そういう経験は、独立する人はもちろんだし就職活動にも活かせるはず。何よりプロフェッショナルっぽくってテンション上がる気がする。
必然的に「財務」の視点を伴うのもいいよね。社会貢献至上主義でお金の話題はやめろよーって人がいまだに意外と多いので、実際に「社会問題を解決する」ということを考える時に、イヤでもお金の話がついて回ることを実感する場は、もっと一般人に開かれた形であってもいいと思います。

あとやっぱり色んな団体を知るきっかけになるんじゃないかな。それは支援する側もされる側もね。メンバーが多いとか、プロモーションが上手い団体は認知度高くていい感じだけど、そこまで有名じゃなくてもいい活動してるところって結構多いと思うんですよ。いや、知らんけどね。良くも悪くも、いろんな地域でいろんな分野でいろんな人がいろんな取り組みをしてるってことを、実際に自分自身で感じるのは大事なんじゃないかなって思ったりするのです。

てか、そういうリサーチだけでも結構楽しそうだよね。



【フレキシブルな組織】

こんな感じで向上性・支援機能は抑えつつも、フレキシブルに行きたいなと思ってます。妄想だけども。
例えば、投資先の決定についてコンテスト形式とかコンサルサービスも加えるとかプロボノマッチング機能を構築するとか色々できる余地は大きいはずなんですよ。

何より、このファンドを思いついたきっかけが「金融の勉強だるい、まだ1ヶ月だけどもう飽きた、やっぱ自分は教科書じゃなくて実践で学ぶ派だわ〜」ってな感じなので、金融や経済を勉強する学生が…実験…?…学習…?できる場にできたらいいなぁなんて。
他にも、メディアに興味ある学生が多ければblogコンテンツとか作ってもいいだろうし。SNSマーケティングやりたいねんって人がいれば、呟く度に1円募金的な取り組みにチャレンジしてもいいだろうし。

こんな感じでフレキシブルにプロジェクトを行えたらいいんじゃないかと思う訳ですよ。

私なら1年くらい金融サービスで遊んで…じゃねーや、新しい取り組みにチャレンジしてほどよく学習できたら後輩に引き継ぐか終わらせるか、ってかにですかね。とりあえず金融はお偉いさんの話聞いたり教科書の問題解くだけだと飽きる。話が国家レベルだったり、時間点が違ったり、事象が確率的だったりで実感しにくいから自分で金融サービス運営するのが一番いいんじゃないかとマジで思う。



【コラボする組織】

そんな感じで1年ごとにプロジェクト変更できるわけだし、いろんな学生を受け入れるわけだし、事例を知ったり試すのにも好都合だしなスキームなのですから、ばんばんコラボしていくのが良いと思います。

んでね、いわゆる学生団体とコラボするのはイメージしやすいんだ。国際協力団体と一緒に自己啓発やら募金やら勉強会やらね。あとはビジコン運営団体とビジネスとかマーケティングについて勉強したりさ。ケースは山ほど提供できる状態なわけだしね。妄想のなかではだけど。

それに加えて、最近では学生ベンチャーが目立つので、そういうところを活用するのが面白いと思うのです。日本の経済活性化・キャリアの多様化を意識するという意味でもね。なんとなく思ったのが、

・Study Note
 → 3000円を払って公務員試験の勉強時間にしま〜す
 → 勉強管理

・Trip Piece
 → 株主優待ボランティアツアーやりま〜す
 → 旅行企画

・My365
 → 365団体とか365融資者とかで1日1つ紹介できたらやべぇw
 → トップページに連動できたらおしゃんてぃーだと思う

・booklist.me
 → フェアトレードに興味ある人向けリスト、フィリピンを知るリストetc…
 → 勉強会とか広報に連動できそう

・En Citii
 → (そこまで流行していないみたいだけど)各団体と活動地域を連動させたり、その途上国で訪れると面白い場所が一目で分かると実用的かも
 → 各用途に対応したら最高なんだけどね

こんな感じで活用できたりしないかな。
少なくともSNSの影響力は無視できない=WEB上での活動にも力を入れざるを得ない=効率的に良い企画を発信するには外部サービスを活用するのが一番手っ取り早い=どうせなら学生サービス活用すればいいやん、って話。



【もし実行するとしたら】

こんな感じ。結構面白いと思うんだよね。

実際にやるとしたら、まずは組織基盤を固めるか。
でもこれ「寄付集める」「寄付者の管理」「寄付先団体の管理」「財務管理」「WEB管理」「イベントなどの企画」あたりが具体的なタスクになると思うんだけど、ぶっちゃけ1人でもできるっちゃできるよな。エグイけど。

理想は優秀な人(各団体の代表さんとか?)3人くらいで上手く分担しつつ、スキルが必要なところだったり、イベント当日のスタッフだったりは外注する形になるのかな。やる気満々な学生がいたら一任しちゃってもいいよね。すごいスピードで失敗しまくって学習していくだろうし。

うんうん。んでもって寄付者を集めるんだけど、最初は母体数集めることがポイントだからやっぱり国際協力系の団体のひとたちに声かけて行く感じになるんだろうな。ある程度集まったら、WorldShiftとかTEDとか上手くプレゼンできそうなところを見つけてPRしつつ、良い感じに興味を持ってくれる著名な方の講演会を開いて認知度・実績を上げる方向に行きそうな予感。

うーん。1万人すぐに到達するのは難しそうだけど、まぁまぁいい感じに行くんじゃないかなー。



【最後に一番大事なことを言っておく】

妄想ってか何となく思いついたアイデアを書いただけだからね。
でもいい感じでリプライしてもらえたら嬉しいですよ、ええ。

2012/05/01

[書評] 国民全員が介護を担う時代

生まれて初めてamazonレビュー書いたので記念にコピペ。
1000文字オーバーしたから掲載拒否されるかもしれないので記念にね。


英治出版の話


レビューのきっかけは、英治出版オンラインストア。
新刊モニターに当選したのです。

無料で本が読める代わりに、参考になる(=無責任なステマじゃない)レビューを書け!という私得なシステム。読書に関して雑食な私は、モニター募集のメールが来る度にコツコツと応募していたのです。



レビューを書いてみて

思った。難しいっす。
当たり前だけど。

ある程度の内容を説明しなきゃいけない。
どんな人に向けて書くのか、どんな視点から切り込むのか。
はっきり言って全然分からない。

相手が目の前に立っていて、何となくでもその人のことを知っていれば、いくらでも語れるんだけど、不特定多数を対象にするって難しいんだなーと。

そこで、これまで読んできたなかで、自分が「参考になったなぁ」と思えたレビューの特徴を考えた。


・主観に溺れない
(私はこういうつもりで買ったのに!ムキー!みたいなのはアウト)

・作者の意図が分かる
・ターゲットとなる読者層が分かる
・書籍の構成がわかる
(前書き+目次レベルが最高)

・利用イメージを提案している
(持ち歩くには重いので 自室で辞書代わりに使うといいのではないでしょうか!…的な)

・他のレビューへの言及は論理性による
(経済学の本で論理的な指摘…みたいなのは勉強になるけど、冨樫働け…みたいなのはちょっとどうでもいい情報かなぁと)



レビュー

もったいぶったけど、以下『あなたの親を支えるための介護準備ブック』のレビュー。

日本の社会保障費が年1兆円ペース(比較:GDP500兆/年、税収50兆/年、国債発行50兆/年)で増加するくらい高齢化はヤバいなーというのを最近勉強しているので、ミクロな面からも言及しないといかんなと思ったんですよ、ええ。





国民全員が「介護」を担う時代

英治出版様の新刊モニターとしてレビューを書かせていただきます。
客観性に配慮するため、この書籍の良い点・悪い点ともに挙げていくので、参考にしていただければと思います。



【内容について】

もともとワークライフバランスとして少子化・育児の問題に取り組んでいた著者が、高齢者・介護といった問題に焦点を当て始めたことが冒頭で述べられています。というのも、介護問題とは多くの場合「介護と仕事の両立がうまく行かずに疲弊してしまうこと」を意味するからです。

日本の育児休業が最長で1年6ヶ月(女性の取得率83.7%)なのに対して、介護休業は最長93日(取得率1.5%)しかありません。また、出産・育児がある程度計画的に行えるのに対して、介護は突然起こり、いつまで続くか分からないのです(平均4年7ヶ月)。実は、この93日というのは介護に使うための時間ではなく「介護と仕事を両立できる環境を整えるための準備期間」として定められているそうです。

正直、私はこういった背景を全く知りませんでした。おそらく多くの方が同じように介護を知らないと思います。
既に1/4が高齢者となった時代で、何の予備知識もなく、自分の両親や親戚が突然倒れてしまったとしたら、ワークライフバランスを維持できるでしょうか。「介護サービスを使えば大丈夫!」というのであれば、誰も社会問題として捉えません。大丈夫ではないから、問題になっているのです。


本書はこうした状況を踏まえて

・介護をめぐる日本の現状を認知してもらうこと
・主体的に介護に携わるための準備を行ってもらうこと

この2点を主な目標としているようです。

前者に対しては、テーマごとに分かりやすい見開きのレイアウトで、データを用いて解説しています。
後者に対しては、直接書き込みながら介護準備のステップアップができるようワークシートになっています。


主な対象は30-40代の社会人のようですが、今後のキャリアプランを考える10-20代の方や、介護を受ける側になるであろう50代以降の方々にも得るものはあるでしょう。

「介護にかかる費用はどのくらいか」
「多くの人はどこからそのお金を出しているか」

こう聞かれて具体的な答えがイメージできない方は、買う買わないに限らず一度書店で手に取ってみてはいかがでしょうか。



【良かった点】

とにかく読みやすい。
この1点に尽きます。

・タイトルからテーマ・要点が掴みやすい。
・グラフやイラストでイメージが掴みやすい。
・大きな全体像→個々の情報へと、スムーズに、意識が流れるように読める。

・具体的なエピソードや数字で想像しやすい。
・いち社会人の立場を想定しているので共感しやすい。

例えるなら、読みやすいパンフレットや、上手なプレゼンテーションを目にするような感じでしょうか。非常に読みやすく、内容の理解・思考に集中することができます。



【悪かった点】

良かった点にも通じるのですが「パンフレットで十分なのではないか」と思ってしまうのがマイナス点ですね。

まず、本格的な学習用としては情報量が明らかに不十分です。
本書のなかで「さらなる学習用の書籍」が紹介されているので、もともとそういう意図ではないのでしょう。

一方で「介護の現状に興味があるから軽い気持ちで読んでみようかな」という人にとっては、A4サイズで1000円以上する本書はやや値が張るように思います。そういう方に特化するのであれば、文庫・新書サイズで、500-1000円程度の本だったら完璧でした。内容はその程度のものをイメージするといいと思います。

とはいえ、そういった初学者向け文庫・新書サイズのものが他に見当たらないようなので、大きさ・値段はやや割高感があるものの、現在買うのであれば妥当なところなのかなーという気もしなくもないです。



【個人的な結論】

・介護というテーマで見ると☆4つ
・書籍の情報、値段、サイズで見ると☆2つ

合わせて☆3つかな〜というのが個人的な評価です。

一度書店で手に取って良さそうなら、あるいは中古で安ければ買ってみたらいいのでは…といったところでしょうか。いずれにせよ今後の日本を生きる上で重要なポイントであることには違いないので損をする内容ではないと思います。



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せっかくなので、危機感を煽っておきましょう。
危機感をはかるチェックシート(2つ以上チェックで要注意)を引用します。

□どちらかの親が65歳以上である
□最後に親と連絡を取ったのは1ヶ月以上前である
□親が親しくしている近所の友人を知らない
□親のかかりつけの医師を知らない
□最近の親の体調について知らない
□親と介護に関する話をしたことがない
□親が資産をどのように管理しているのかを知らない
□介護をすることになったら仕事との両立が不安だ

これ学生でも結構当てはまるんじゃないですかね。
周りを見ると、もう結婚した同級生がちらほらいたりもするので、自分で思っている以上に時の流れは早いのかもしれませんよ。人間いつ何時どうなるか分からないっすからね。


とまぁこんな感じ。



書籍レビューにハマりそうですが、☆4つ以上のものをご紹介したいですね〜。

ちなみに☆5つは、夏目漱石『こころ』、ハイルブローナー『世俗の思想家たち』あたりをイメージしています。んでんで☆4つが、S・キング『ダークタワー』、岩井克人『会社はこれからどうなるのか』あたりでしょうか。

文句なしの名作だけど、100年以上の耐久力あるのが5つで、100年保つか怪しいのが4つかな。読書の母体数が多いので、割と辛口です。


うむむ。
なんだかんだで結構な量を読んでるのでいい感じで読書ブログにしたい…かも。
お洒落なカフェで読んでる雰囲気を醸し出す感じの←

ではノシ