2013/05/29

2週間で就活を終えた私が、必勝のコツを教えるエントリー。

就活生の皆様こんにちは。
前振りはせず、コツだけを話します。


【1:準備】

まず、重要なのは『準備』と『反省』。
これができない人は論外。

例えば、面接で志望理由に対してツッコミを入れられることは多々あります。
「それってうちじゃなくてもできるんじゃないの?」とか。
学生からしたら「どの企業も同じようなもんだろうが!」と言いたくなります。

が、仮にあなたが面接官だったらどう思うでしょうか。
目の前の学生から志望動機を聞いた後、何か質問しなければいけない。
どのような質問を投げかけるか。5分間で案を50個出してみて下さい。
必ず「自社でなければならない理由」が出てくるはずです。

つまり、質問される可能性は十分あり、しかも想定可能だということです。
というか、わざわざ予想しなくてもありがちな質問ですよね。
ならば、事前に準備ができるということです。

同じように、どう答えたら面接官は納得するのか。
就活生としての視点と面接官の視点を行き来しながら考えれば、妥当な回答に至ります。
自力で無理なら先輩・OBOGに頼りましょう。

『準備』というのは、周りに流されて就活ナビに登録することではありません。
合同説明会で、わざわざ人ごみに揉まれてパンフレットを貰うことでもありません。
「あれをやっておけば良かった」という後悔の芽を徹底的に潰すことです。

想定の際、
・出題内容+傾向はGoogle検索でリサーチしておきましょう(後述)
・筆記試験や英語など明らかに対策可能なものはきちんとやっておきましょう(後述)
・面接の注意点などについては『ロジカル面接術』を参照(後述)


【2:反省】

とは言え、全てを事前に想定して動くのは普通の人間には無理です。
絶対にどこかで失敗します。どれだけ情報収集をしても失敗します。
なぜなら情報源となる「他人の就活」と「あなたの就活」は違うからです。

そして失敗を通して「あれをやるべきだったのか」と気付きます。
自分が直面する問題に気付き、次の『準備』に活かすのが『反省』です。
これができないと何度も同じ間違いを繰り返すことになります。
これができれば確実に状況は改善されます。

ミスを冒した時、即座に立ち上がる能力は不可欠です。
普段からフィードバックを取る習慣がある人には当たり前すぎる話だと思います。
具体的な手法については『「見える化」仕事術』を参照。


【3:運と度量】

いかに『準備』を徹底しても落ちるときは落ちます。
相手のニーズと自分が合わないから、かもしれません。
他の就活生のスペックが高かったから、かもしれません。
想定できないことは多々あります。

最終的には『運』で決まると言ってもいいでしょう。
そう表現するしかないような状況は間違いなくあります。
なので、『運』が悪いときには割り切る『度量』も必要です。

どうしても気が乗らないという人にオススメなのが現実逃避。
会社に行かず世界一周を始めてしまった人の話を聞くと「それもいいかな」と思えます。
地方の農業で活躍できるぞ!という話を聞くと「全部落ちたら農業やるか」と思えます。
社会や常識が苦しいなら、気持ちだけでも逃げて肩の荷を降ろすのも手です。


【具体策】

そうも言っていられない、という方々。
もう少し使い勝手の良いテクニックや、やっておくべきことを列挙しておきましょう。

<リサーチについて>

とにかくgoogleです。
・説明会で聞ける話はすべてその企業のWebサイトに掲載しています。
・最新動向は社名検索(条件:1年以内)でニュースを探せます。
 わざわざ日経新聞を取るのは金、スペース、時間の無駄。
・試験内容は2chなり就活生ブログなり就活サイトが見つかるのでそれを参考にします。
 奇麗事や表面上の情報しか書いていない企業のサイトは役に立たないです。
※私はこれで十分でしたが、OB訪問はアリかも?

<英語>

外資や国際関係の仕事に就きたい人は必須です。
早いうちにTOEICでスコアを取得しておいたほうがいい。できれば860以上。
高いスコアを取得している人とあなたの違いはただ1つ。
試験に合わせた対策をやったかやっていないかだけです。とにかくやるべし。

ちなみに、英語力のある人をきちんと求める企業は、ESや面接も英語で行います。
テクニックとしてはES用、面接用の対策本やサイトは用意されています。
ただ、根本の能力を伸ばすためにTOEFLやGMATに触れてのおくもアリでしょう。
(参考:TOEFL iBTで高得点を取る人がやっている勉強法まとめ-Index-

<筆記試験>

一番難易度の高い『CAB・GAB完全突破法!』を1冊仕上げれば大抵の企業はOKです。
その後、本番前にネット上で無料の試験を受けて傾向と対策を抑えておきましょう。
「SPI」などの名前で検索すればすぐに見つかります。

外銀・外コンを受ける人は少し注意。外資就活ドットコムに情報がまとまっているからそちらを見た方が良いです。他にも、YahooやGoogleなどのIT企業では独特の出題をする企業があるので過去問を見つけて解きまくるのがよろしいかと。

<ES>

面接対策にも通じるのですが、過去(大学時代頑張ったこと・思い出に残っていること)→現在(志望動機)→未来(これからやりたいこと)に一貫性を持たせるのは必須です。その上で、自分を採用することが、企業の利益になると説得しなければなりません。

具体的には、エピソードを通して「どのような役割を担ってチームに貢献したのか」「入社後に活かせるような学びを得たか」「その企業を志望する原体験となっているのか」を伝えることが重要です。面接で覚えてもらうことを考えると、何か1つ独自のポイント・キーワードがあると好ましいです。

いわゆる自己分析や企業研究というのは、この部分の中身をしっかりさせるために使います。自分のやりたいことを探すためとかそういうのではないです。理由はどうあれ興味を持ってエントリーする企業に対して、社風や業務内容のどこを魅力的だと感じ(企業研究)、それが自分の過去のエピソードとどう繋がるのか(自己分析)を言語化するのが目的となります。要は、こじつけ大会です。

筆記や面接の前に提出するESでは、一本筋の通っていないものや、明らかに文字・構成がおかしいものを落とすフィルターの役割だと思っていいでしょう。特別すごい経験をしなければならないわけではないです。ただ、4年間アルバイトやサークルを続けておくとエピソードを引き出しやすいです。

<面接>

ESと同じ流れで話せば良いと思います。『準備』と『反省』を徹底した上で数をこなせばコツが見えてくるのではないでしょうか。ただ、現場・管理職・経営層で視点が違うはずなので、面接の回数や相手の立場を踏まえた話を心掛けると良いと思います。基本的には『ロジカル面接術』を参考にすれば間違いないです。

あと、質問をよく聞くこと。質問の答えになっていない回答では、業務上必要なコミュニケーション能力が不十分であると判断されます。採点のやりようがないです。聞きそびれたら再度聞く、意味が分からなかったら「こういう意味ですか」と尋ねる。相手が何を知りたいのか確認した上で、その情報を提供する。

なお、嘘の話で誤摩化し抜くのであれば、絶対にバレないようシナリオ設定や詮索対処法を考えておいた方がいいです。サークルの代表・副代表を名乗ってサークル名を検索されたらアウトですからね。お奨めは合宿係。夏休みの旅行を企画運営する立場として、イベントに関するリーダーシップ、途中のアクシデント、経験を通した学び、イベント前後で取り組み方が変わりました!…みたいな。完璧じゃん。ある限定的な状況下を切り口にしたほうが代表よりも分かりやすいエピソードになると思うんですけどねぇ。


【その他】

・説明会に参加すべき?
→あらかじめ調べた上で聞きたいことがあるのなら参加しても良いと思います。
→「何のために参加するのか」が不明瞭だと時間の無駄。

・就活ナビに登録すべき?
→他の情報源が少ないなら登録してもいいかも。
→ただ、大量のメールは読まずに捨てたほうがいい。無駄にストレスフル。

・セミナーに参加すべき?
→本番前に要領を掴むためor弱点克服のフィードバックを得るためなら良いかも。
→糞みたいな就活ビジネスに引っかからないようお気をつけて。

・何社くらい受けるべき?
→ご自由に。ただし『準備』と『反省』に十分な時間が取れるよう配慮した方がいい。
→50社受けて同じミスを繰り返したら時間、金銭、体力、精神どれを取っても最悪。

・要求されるスペックに届かないんだけどどうすべき?
→届くようにスペックを上げるしかないですよね。死ぬ気で努力しましょう。
→もしくは、諦めて自分の能力/適性に見合ったところを目指す。これも手です。
→分業体制下では、自分の特技を発揮できる人間のほうが成功すると考えられます。

・コネ入社ってどうなの?
→可能ですが、自力でコネを勝ち取るまでの努力が必要となります。
→ちなみに、某企業役員の息子は、親のコネで日◯銀◯に…おっと。


【最後に】

「就活を通して学べることは沢山ある」とよく言われますが、「1:就活でなければ学べないこと」「2:就活でなくても学べること」に分けると、大部分は1ではなく2に該当します。大抵のことは、普段の大学生活で十分学べます。無理に就活で学ばなくていいです。肩の力を抜きましょう。もちろん、学びの意欲がプラスに働く人はそのまま突っ走るべきです。

「困難を乗り越えて成長する」とよく言われます。その通りだと思います。しかし、昨日と同じミスを明日もしでかすような、改善を伴わない日々を過ごす人間は、明らかに間違った努力をしています。いま乗り越えるべき困難は、まず目の前の現状をしっかりと見つめることではないでしょうか。

このエントリーを通して言いたかったのは、就活は作業ゲーだということです。効率化しようと思えば、いくらでも効率化できる。やれ成長だの困難だの言ってプレッシャーを与え、お役立ち情報という名のスパムメールで常にストレスフルな環境を維持し、ああすべきこうすべきと無責任な人たちがいい加減なことを言う。全部ノイズですよ。

いいじゃないですか。給料が良いから志望する、有名だから受けてみる、地元に貢献できそうだから興味を持った。本心は人それぞれ。改めて自分と向き合う機会にしてもいいし、いろんな会社を見て話を聞く機会にしてもいい。ただ、無理にあれもこれもやる必要はない。

作業ゲーなのだから、最小限の努力で突破することはできる、ということを1つの意見として聞いていただけたらと思います。おわり。

2013/05/27

受験当日に寝坊しても慶應大学に合格できる勉強法

大学を卒業してしまったら完全に忘れると思うので書き残しておく。
日本国内の高校生が日本国内の大学受験に臨むときの参考になればと思います。

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◯このエントリーの目的

私は勉強法について、調査、仮説検証、試行錯誤に3ヶ月以上費やしました。
常に「いかに最小の努力で最大限の成果を出すか」を考えることに力を注いでいます。
その結果、夏期の集中学習で全国トップレベルの学力を習得しました。

そして、他の受験生に比べて遅刻分のディスアドバンテージがあったにも関わらず、
試験当日には、時間内に全問を解き終えて、合格点を取得することができました。
イチかバチかの受験ではなく、確実に合格できるだけの学力を身につけていたからです。

そのときの勉強法や教材を共有することで、
このページを訪れて下さった方々が効率的な学習に励む助けになればと思っています。

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◯注意点①

大学名や学歴、偏差値は、受験期に重視されがちな価値基準です。
ただ、その価値基準に固執して自身に過度の負荷を掛けるのは好ましくありません。
また、その価値基準が社会で機能するかと言われると、期待するほどには機能しません。
したがって、ここでは受験がどうあるべきかといった話は無視します。

当然、受験生がどうあるべきかといった話も無視します。
つまり「早朝から深夜までマジメに勉強して1年間を過ごせ」とは言いません。
試験当日に寝坊しても「人生何とかなるか」くらいの気持ちでも十分です。

何が言いたいかというと、
1:焦らず、深呼吸してリラックスしてからのんびり読んでほしい、ということです。
2:唯一の正しい勉強法などないのだから、参考程度に読んでほしい、ということです。

なお、あなたが寝坊して受験に落ちても私は一切責任を取るつもりはありません。
できれば余裕を持って就寝しましょう。

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◯注意点②

基本的に、英数国(小論文含む)の主要3科目に絞って説明します。
私自身が合格したときの教科以外について話しても説得力がないからです。
総論的な学習計画については、年間スケジュールも糞もなかったので扱いません。

2000年代後半時点での情報なので傾向が大きく変わっていたら参考にならないかも?
ただ、80年代以降の大学入試の問題を幅広く解いてみて特に変化は感じなかったので
細かい部分や出題形式は違っても、要求される能力はあまり変化しないはずです。

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◯英語

1:基本事項の理解

まず、とにもかくにも文法です。文法学習には2つの段階があります。
1つ目は、基本事項をしっかりと理解する段階です。

学校の教科書や文法書(『Forest』など)を通読して基本事項を理解しておきます。
特に「品詞」と「文型」は全ての基礎になるので確実に理解してください。

→分かりやすい解説がこちらのレス26以降。
英語教材2chまとめ:英文法出来なさすぎわろたwwwwwwwww
http://2ch.ei-sta.com/archives/26610043.html

これで理解できなかったら中学生向けの参考書から始めたほうがいいです。
基礎の積み重ねでしか学力は身に付かないので、プライドは捨てるべし。


2:パターン暗記

基本構文(例:S make O C)が出てきたときに瞬間的に気付けるようにします。
これが出来ないと、英作文や文法・語法問題で詰みます。
私立だと長文読解に見せかけた文法問題が頻出で、ここを抑えればMARCHは手堅いです。

よく使われている『Next Stage』か、もしくは、そこまで有名ではありませんが
個人的にオススメな『アップグレード』あたりを手に取ってみるといいでしょう。

私は暗記が好きではなかったので問題を解きながら覚えました。

具体的には、
・10秒以内に脳内回答できたものは◯
・正解はしたけれど単語や文法事項を即座に解説できないものは△
・10秒以内に正解できなかったものは×
をチェックして1頁あたり1-2分のペースで処理しました。

1周したら次は△と×の問題だけを扱い、同じようにやります。
新しく◯が付いたものは、次の周回以降は扱いません。

私の場合、すべて◯になるのに大体10周くらい費やしました。
じっくりやろうとすると眠くなるので数でカバーしました。
99回忘れたら100回目で覚える!くらいの気持ちで十分だと思います。



3:構文解釈

文法を一通り終えたら構文解釈に移ります。
長文を読む前に1つの短い文章を正確に読むための技術を身につけます。
これが出来ないと、英文和訳や文法問題が出題されたときに詰みます。

参考書についてですが、どれか1冊をやれば十分だと思います。

基礎英文解釈の技術100 (大学受験スーパーゼミ徹底攻略)
英文読解入門基本はここだ!―代々木ゼミ方式
構文把握のプラチカ―英文解釈 (河合塾SERIES―入試精選問題集)
ビジュアル英文解釈 (Part1) (駿台レクチャーシリーズ)
必修英文問題精講 改訂版 CD付

やり方としては
・1冊をやり通して著者の手法を理解する
・後の長文読解を通して自分なりに使いやすいようアレンジする
という流れで問題ないでしょう。

ちなみに、解釈の質を上げる方法としては
・難問を解く(オススメは京都大学の過去問、Z会の最難関国立大学コース)
・英作文を勉強する(オススメは『英作文のトレーニング』、Z会の英作文コース)

特に英作文はやっておいて損はありません。
100字以上の作文を練習すると、文章の構造を考える習慣が付くので長文読解に有利です。
また、大学入学後、英語で文章を書く機会を得たときに、基礎力がないと致命的です。

というか慶應経済は英作文が出ます。Z会の添削が丁寧なのでオススメです。
(自習)例文を「日本語→英語」形式で暗記 +(添削課題をマジメに解く)が最強。
予備校なら、英作文の授業よりも国立対策クラスで優良講師に添削させるのがオススメ。



4:長文読解

あとはガンガン読みまくる段階です。
教科書でも模試でも過去問でも予備校のテキストでもいいので長文を準備します。
センター試験の5-6問目なら腐るほどあるので丁度良いでしょうね。

①目安の時間でタイマーをセットして全力で解く
(構文解釈をせずに読める部分はムリに構文解釈する必要はないです)
(段落ごとに簡単な要約を脇にメモしておくと読みやすいです)

②解き終わったら、解答は見ずに、分からなかった部分を自力で調べる
(最初のうちは全文訳してみたほうがいいかもしれません)
(どんな方法でもいい、どれだけ時間を費やしてもいいので、100%理解する)

③確認のため解答・解説をチェックする
(ここで1問でも間違えているなら②に戻る)

④最後に、文の意味を考えながら何回か音読する
(話すスピードと同じ早さで英文を理解できるようにする)

ここで最も重要なのは②です。
すぐに模範解答を見てしまうと、その場で納得はできますが、応用が効きません。
「どこが分からないのか」「何を調べれば回答できるのか」を意識すると、
受験英語の問題のパターンが見えてくるようになります。

また、どうしても長文になると読めない、読むのが遅いという人は『中沢の難関大攻略徹底英語長文読解講義』(パラグラフリーディング)や『速読のプラチカ―英語長文 (河合塾SERIES―入試精選問題集 3)改訂版』(情報のカタマリ)といった「読解の視点」を学べる参考書を見てもいいかもしれません。現代文の能力も上がると思います。

もしくは予備校の夏期講習で長文読解に特化したクラスを取るのもいいかもしれません。
他の分野と違い、読めない人はググって読めるようになるわけではないでしょうし…。



5:その他

英単語はいちおう『速読英単語 必修編』を持っていましたが、読解するならきちんと机の上でしっかりした文章を読みたいし、単純暗記は眠くなるし…ということであまり活用しませんでした。英文を読んでいて分からない単語が出てきたらその都度調べて覚えていました。ただ、忍耐力があるなら先に英単語をマスターしておいたほうが良さそうです。

リスニングは『灘高キムタツの東大英語リスニング』を一周しましたが、志望校の二次試験では不要だったのであまり優先順位は高くなかったです。単語帳や文法問題集に付属のCDを活用するという方法のほうが、上記学習と相乗効果も狙えたかもしれません。

模試や過去問を解いていて間違えた問題については

<やる気がある時>
・単語、文法、語法 → NextStageに書き込んで◯×△学習法
・英文和訳、英作文 → 書き直し
・長文読解 → 自力で100%理解できるように調べる

<やる気がない時>
・ほんのわずかでも尾を引かないように捨てる

のどちらかで対処していました。


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◯数学

1:学習スケジュール

さっき計画は立てないと言ったばかりだが、スマン、ありゃ嘘だ。
数学3Cをどうするのかだけは早めに決めておいたほうがいい。

取るべき姿勢は次のどちらか。

まず、夏までに3Cの基礎を終えてから二周目に受験の標準問題レベルに進める方法。
この方法のメリットは2つあります。
①文系数学の微積で確実に満点を取ることができるようになる点。
 2Bまでの知識を前提として工夫しないと解けない問題(やや難)を3Cで即答できる。
②二次試験で物理を使う場合、微積で解けるとかなり楽になる点。

もしくは、高校の授業に合わせて試験直前に終わらせる方法。
授業の復習として受験の標準問題を解けるようにしておく。
この方法のメリットとしては、学習ペースを乱しにくい点が挙げられます。
夏まで部活がある人は、焦らずこちらを選んだ方が好ましいと思います。

ちなみに、2Bまでの学習で理系数学をやらない、という選択はオススメしません。
経済学部に入学した場合、間違いなく3Cの内容を勉強するハメになるからです。
それも、高校生向けの分かりやすい教科書と違い、死ぬほど分かりにくいテキストです。
なぜこんなに難しく書けるのか理解不能なくらい分かりにくいです。絶対3Cは必要です。


2:基礎レベル

学校の教科書をマスターすることから始めるのがオススメです。
教科書を引っぱり出して、

・例題を確認
・練習問題を解く

最初は例題と模範解答を丸写しするくらいでも十分です。
1度なぞって計算の要領を理解したら、次は白紙状態から解答を再現しましょう。

得意な人でも、意外と昔の単元を忘れていたりします。
このステップで一度復習しておいたほうが後々楽になります。
というか次のステップで難易度が跳ね上がるのでここは抑えておきましょう。

教科書を捨ててしまった人やどこにあるか分からない人には『黄チャート』がオススメ。
高校で配布されていれば『4STEP』や『チェック&リピート』でも良いと思います。
基本的に学校の基本教材を解いて、分からなかったら先生に聞く感じで。



3:標準レベル

受験数学での標準問題というのは、簡単な問題ではないです。
かといって、理不尽な難易度でもないです。

解法パターンをしっかりと覚えれば確実に完答できる問題を指します。
逆に言えば、ここを落とすとアウトだと思っておいたほうがいいでしょう。
「いかにミスを抑えるか」のキチンレースになります。

オススメはこのあたり
1対1対応の演習/数学I―大学への数学 (1対1シリーズ)
文系数学の良問プラチカ―数学I・A・II・B (河合塾SERIES―入試精選問題集)
理系数学の良問プラチカ―数学I・A・II・B (河合塾SERIES―入試精選問題集)

各問題について

・問題文を読んだら、すぐに解法/アプローチ方法を思い浮かべる

<10秒経っても取っ掛かりが見つからなければ>
→解答を見る…(i)
→計算式の横に日本語で解答ステップをメモしながら解読。
→この時点で理解できなければ解説を読むor先生に聞く。

<回答の目処が立ったら>
→記述回答。
→計算で詰まったら自力で調べるor解説を読むor先生に聞く。その後、手で計算。
→解答アプローチが分からなくなったら(i)へ。

<復習の重要性>
→どんな手を使っても(解答を見ながらでも)まず理解する。
→1度、自力で白紙から回答を書き切る。
→すんなり出来た問題は◯、少し悩んだら△、全然駄目なら×をメモ。
→◯以外の問題についてのみ2週目、3週目と進めて全問◯にする。


なお、解説の字面を読むのが辛くなってくる頃合いだと思うので、
予備校の夏期講習を活用するのもアリかもしれません。
その際には復習を意識するのが重要です。
①解説を聞いて理解する → ②自分自身の手で1から解き直して定着させる:必須。

あるいはZ会も結構オススメです。自習できる人には最高だと思います。
2週間で3−4問ペースなので自力で解ける範囲内なのも良いです。
難関大学コース以上なら、1通りのパターン問題を網羅できるようになっています。

あと、他の受験校にもよるけど整数問題は対策しておいたほうがいいかもしれないです。
差が付きやすい分野なので得点できるようにしておくと結構心強い。


4:対策(穴空き問題)

慶應経済の前半やセンター試験では穴空き形式の問題が出題されます。
二次試験や私立入試で数学を使う人は、まず記述で満点を取れる状態にしておきます。
その上で、出題形式に慣れるように過去問を解くのがベストです。
なぜなら、計算過程を理解できなければ穴を埋められないからです。
そして、計算過程を理解する最も良い方法は、実際に記述することです。


5:キモいレベル

これでも解いてろよ。
http://server-test.net/math/php_q.php?name=tokyo&v1=1&v2=1998&v3=2&y1=1998&n1=7&y2=1998&n2=8&y3=1998&n3=9&y4=0000&n4=0


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◯国語

1:現代文

勉強しないで満点(記述なら9割)を取れる状態がベストなのですが、
全然問題が解けないという人は

入門編 現代文のトレーニング[改訂版]
現代文と格闘する (河合塾SERIES)
現代文読解力の開発講座 (駿台受験シリーズ)

あたりの、解説がしっかりとした問題集を1冊やりこなす必要があります。
例によってZ会の通信講座もオススメです。解説がしっかりしているので。

重要なのは、解き終えた後にしっかりと解説を熟読することです。
頭が疲れてもういいやー!となってしまいがちなところで踏ん張って下さい。
正しい回答プロセスを追うことで、読み方・解き方の「型」が見えてくるはずです。
必勝法は存在しません。丁寧に、地道に、正しく読めるようになりましょう。


漢字は受験までにきちんと漢検対策をやっておくか、
もしくは間違える度にきちんと覚えるしかないでしょうね。

重要語句については下記サイトに一通り目を通せば十分だと思います。
http://www.h3.dion.ne.jp/~urutora/gendaipeji.htm


2:古文

<背景知識>
受験勉強を始める前に代表的な作品の現代語訳を読んでおくと得点源にしやすい。
たまに初見殺し…といいますか、明らかに蹴落とすための問題があるので。
http://www.h3.dion.ne.jp/~urutora/kotenpeji.htm


<文法・理解>
受験のための勉強で必要なのは、まず文法。
何を言っているか全く理解できなくても文法だけで得点できたりする。
意図的にそういう問題を出すこともある。選択肢と文法から消去法で解かせたり。

このサイトを通読すれば十分。
http://contest.japias.jp/tqj2001/40555/gakutop.htsm
画面をスクロールさせるだけできちんと文章を読まない人間ならこちらの書籍で。
望月古典文法講義の実況中継


<文法・定着>
次、理解しても定着していないと意味がないので文法の基礎演習。
ステップアップノート30古典文法基礎ドリル (河合塾シリーズ)
基礎から学べる入試古文文法―代々木ゼミ方式
基礎からのジャンプアップノート古典文法・演習ドリル
特に助動詞は完璧に全事項を叩き込まないと論外。
叩き込みが苦手な人はに『古文上達 基礎編 読解と演習45 文法理解から応用まで


<単語>
頻出単語は早いうちに目を通しておくとベスト。有名なのは『古文文法ゴロゴ』。
高校で配布された単語帳があるならそれで十分だと思います。
古文にそこまで時間を割きたくないだろうからスピード意識で。


<演習>
最後に問題演習。
古文の独学は人によっては難しいかもしれないので予備校は検討するといいかも。
問題集なら『古文上達 読解と演習56』か『古文 (河合塾SERIES―入試精選問題集)
特に前者は背景知識を補足してくれるので重宝します。



3:漢文

大学受験で最もウザい科目1、2位を争う漢文さんです。
国立を受けるならセンターで、併願で早稲田を受験するなら古漢融合で出題されます。

とりあえず句形の習得は必須。
漢文句形ドリルと演習 (河合塾SERIES―ステップアップノート10)
基礎からのジャンプアップノート漢文句法・演習ドリル
三羽の漢文基本ポイントはこれだけ!―大学受験漢文 (東進ブックス―名人の授業)

あとは問題を解きながら適宜、解説を通して吸収していくのがベストだと思います。

あ、こいつ、テキトーに書いてやがるな、と思ったそこのアナタ。
漢文にステ振りするなら絶対に英語の長文を読んだ方がいいですよ。
どう考えても割に合わない。



4:小論文

受験勉強として捉えるには異質な科目なので、順を追って説明します。

最初に「どのように採点されるか」を説明します。得点を取ることが目的だからです。
次に「得点を取るために抑えておきたい技術・知識・考え方」をまとめます。
最後に「技術・知識・考え方」を習得するための勉強法を提示します。

まず、どのように採点されるか、という点です。
誤解されやすいのは、突飛なアイデアや感動的な文章力を要求するわけではありません。天才的な発想で素晴らしい文章を書ける人間が、毎年何千人もいるわけがありません。
また、1人1人の内容に大きな差異があるとも到底思えません。

あくまでも試験なので、客観的に評価可能な部分で採点されます。
具体的には「文章全体の論理展開」と「個々の文(文法・語彙など)」です。
これらが不十分なものが落とされる、と考えるのが妥当でしょう。

では、どのような技術・知識・考え方を抑えれば良いでしょうか。
前提として記述用紙の使い方などは知っておく必要があります。
その上で「論理展開」については、論理的に話を組み立てる技術が要求されます。
頭が良い悪いではなく、技術(考え方)として習得しているかどうかなのです。
同時に、内容を構成する時事知識や自分なりの意見を言語化する技術も必要です。
また、「個々の文」については、日本語の運用能力(国語力)が必須です。

したがって、これらを習得するために必要な勉強は下記の通りになります。

・前提知識
→参考書を読む。(『出口小論文講義の実況中継』『田村のやさしく語る小論文』が高評価)
→もしくは下記2つのWebサイトも参照。
http://shouronbun.com/index.html http://manabi.benesse.ne.jp/gakushu/essay/

・論理的に話を組み立てる技術
→上記の参考書やサイトを参考にして書き方を意識する。
→とにかく書いて添削してもらう。これに尽きる。

・自分なりの意見を言語化
→普段から「なぜ」を3回くらい繰り返す。
(e.g. 国歌斉唱の強制に賛成→なぜそう思う?→学校は社会性を学ぶ場だから)
→普段から「反論の反論」を考えておく。
(e.g. その考え方だと学校教育は自由を奪うことになる→規律の中での自由)

・時事知識
→政経や現社を勉強する人はその知識で十分。
→普段からニュースを見えている人はその知識で十分。
→ニュースを見ない人は「ニュースを見ろ」と言ってもどうせ見ないだろうから、
 小論文の問題を解きながら、必要に応じてグーグル検索で知識を補充する作戦で。
 添削者との意見交換を通して足りない知識を教えてもらうのも良いでしょう。

・日本語の運用能力
→いまさら改めて勉強するのも難しいと思うので、添削を通して矯正する。


結局は添削が重要だということになります。
その際、志望校(志望学部)の過去問を教材として利用するのが最適です。
大学・学部ごとに出題傾向が大きく異なるからです。

では誰に添削してもらうか?
考えられるのは

①学校や塾・予備校の先生、チューターに無料でやってもらう
②有料の通信添削を活用する
③SNSやブログを通して志望校の在学生と知り合ってお願いする

くらいでしょうか。
今後はインターネットを活用した支援も増えると思います。

twitterかコメント欄で希望があれば、私も無償で添削を行うつもりです。
社会科学系の話題であれば、大抵は対応できると思います。
ハンドルネーム・捨てアドで結構ですので、ぜひお気軽に声をお掛け下さい。


※課題文読解・要約について
「小論文」とは名ばかりの読解・要約問題が出題されることもあります。
この場合は国立大学の現代文(記述回答)の対策がそのまま通用します。


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◯追記

国立大学への対策が有効だということを要所要所で書いています。
私立を受験するのだから、そこまで必要ないと思う方もいるかもしれません。

そこで参考までに私のクラスの友人たち(n≒30)の情報を伝えます。
彼らの半分は東大or京大or一橋大or東工大の滑り止めで受験しています。
次に多いのが、内部から進学してきたグループです。
1〜2年浪人した後に第一志望で合格した人たちは少数派になります。
現役かつ第一志望で入学して来た学生は最も少ない部類です。

もし慶應に合格したいのであれば、競争相手は国立大の受験生ということです。
彼らは同じ時間で5教科7科目+二次5科目をトップレベルまで上げるわけですよ。
3教科くらいなら完璧にマスターするつもりでいたほうが良いのではないでしょうか。

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以上、かなり長くなりました。
最後までお読みいただきありがとうございます。

釣りっぽいタイトルにしましたが、世間一般で難関校と呼ばれる大学の志望者に限らず、
自分の進路と向き合って悩む方々の参考になればと思います。

おわり。

2013/05/26

CF読書録01『ふるさと投資ファンド』を読んで③

引き続き、ふるさと投資ファンド―意欲のある中小企業が資金を得る仕組み (慶應義塾大学経済学部 現代金融論講座のレビュー。主にミュージックセキュリティ―ズ社の事例。


4−1:マイクロ投資スキーム
→音楽、酒蔵、途上国支援、農林業、スポーツ、被災地支援
→主要投資家は ①30-40代男性(57%)②会社員(34%)③東京都(22%)
 =インターネット利用層 × 資金的余裕?
→主な投資動機は、仕組みに共感したから(86%)や事業を応援したいから(72%)
→第二種金融商品取扱業者として調査、ファンド組成、営業者と個人を仲介+運用。
(e.g. 純米酒ファンドでのケースを用いて出資から償還の流れを例示)

※マイクロ投資、マイクロファイナンス(マイクロクレジット)、ベンチャーキャピタル、プライベートエクイティ・ファンド、クラウドファンディングの違いを参考資料として提示している。ただ、日本の現状に即した区分けをしているため、今後エクイティ型のクラウドファンディングが参入するであろうことなどを考えると改良の余地あり?

4−2:活用事例
→音楽ファンド「HIPHOP LEGEND - 6」:平均利回りは+10.75%
→純米酒ファンド「奥播磨ファンド」:償還結果は+7.27%
→タオルファンド「風で織るタオルファンド」:償還結果は+4.18%
→林業ファンド「西粟倉村共有の森ファンド2009」:2019年償還予定

※社会的意義についてそれぞれ文化・環境に与える好ましいインパクトを解説していた。経済学でマクロ面を分析する場合は外部性を組み込んだモデルの構築が良いかも。ミクロ面であれば、投資家の意思決定に与える影響(非利潤動機)に関連すると推測される。

4−3:セキュリテ被災地応援ファンド
→1口10,000円=出資金5,000円(要返済)+寄付金5,000円(返済不要)
→鮮魚店、商店、食品会社:主に加工設備(機械・工場)の購入

※これらの活動は素晴らしいし、ぜひ応援したいが、今の私の興味分野ではないのだなと改めて。「災害金融を再考する」でも書いたけど、むしろ重要なのは復興面ではなく予防面への金融環境の整備だと思っている。私が被災当事者ではないから言えるのかもしれないけれど、こういうことを言うと不快に思う人がいるかもしれないけれど、もし今後、私が何らかの災害を被ると仮定すると、現時点においては、大切な人を失ってからのリカバリーに力を入れるよりも、大切な人を失わないための予防システムに力を入れたい。


5−1:マイクロファイナンス貧困削減投資ファンド
→債券投資:マイクロファイナンス機関(MIF)への貸付を行う投資ビークル(MIV)
→市場として機関数・顧客数は右上がり、MIVの資産成長率は19%
→流入金額のうち90%が大手機関150に、10%が中小機関9850に偏在

5−2:ミュージックセキュリティーズ社の事例
→日本個人が1口3万円融資、現地MIFに貸付、3年で返還+経営業績に応じて毎年分配
→特徴①:カンボジアとベトナムで中小規模のMIFに直接投資
→特徴②:個人からの小口投資、購入理由トップは仕組みに共感したから(71%)
→特徴③:人材育成、案件発掘、ファンド企画、レポート作成、広報は専門NPOに依存
→実績は、平均利回りが+5%くらい。計算式は省略。

※「顔の見える投資」として ①スタッフや顧客を写真付きで紹介 ②スタディーツアーで交流の場を設ける ③借り手を表彰するコンペを開催(受賞者を日本へ招く)といった工夫。一方で為替リスクを投資家が負っている。利潤動機だけで見ると投資家にとって魅力的とは言えないけど、定期預金+年金・保険だけで資産運用を行っている大多数の人にとっては、興味を持ちやすい+利回りも少しはあるので、魅力的な案件な気がする。


6−1、2、4:その他・補足
→クラブ財としての性質(e.g. 日本酒文化を出資者のみが共同消費)
→個人が適切な投資対象を見出すための取引コスト⇔「顔の見える投資」
→日本における個人の「リスク回避」的な意思決定⇔「志ある投資」
→投資家=消費者になりやすい:収益の現物支給
→他の金融商品との損益通算を可能にする(法的整備or個々の商品)

6−3:大企業投資との比較etc...
・経済面での課題
→多様性(特に新興企業の審査は既存の金融機関では困難)
→情報収集(財務諸表などのデータが量・質ともに不十分)
→小規模性(融資額に対して審査・調査費用が過大)

・法律面での課題

・政府系金融機関
→中小企業への資金供給を補完する役割
→近年は量的補完から質的補完へシフト(民間金融では負えないリスクの負担)
→ただし、国民の財産を運用=安全性重視という基本姿勢と矛盾

・経営/技術の支援
→中小企業技術革新制度、ビジネスインキュベーターなど

・情報収集インフラの整備
→公共財、クラブ財の性質が該当
→逆選択(優良企業が相対的に低評価となる状況)を回避する必要
→審査費用の低下による投資拡大=資金配分の増加=GDP、社会厚生の増加


以上。完全にメモになってしまった。読んだ人でなければ理解できないですよねぇ。
もう少しレビューっぽく書くべきだったか。ただ、ある程度は論点を網羅できたはず。
なので、今後同じ論点が出てきたときには省略可能になると思われます。
したがって、もう少し分かりやすい書き方ができるようになる…はず。

2013/05/25

CF読書録01『ふるさと投資ファンド』を読んで②

引き続き、ふるさと投資ファンド―意欲のある中小企業が資金を得る仕組み (慶應義塾大学経済学部 現代金融論講座のレビュー。


2−1:日本の金融システム

・銀行預金、公債および財政投融資に傾倒
→BIS規制や財政難によって現状のシステムでは不十分=市場部門による補完が必要
→国内個人資産(1400兆円)× 国内資金循環 の活性化が不可欠
→地域金融機関を活用したまちづくり資金の地産地消に期待

2−2:不動産・インフラ

・不動産は2300兆円ストック > 証券化されているのは33兆円のみ
→証券化による資金供給 ⇒ 3-4割に改築の必要性(e.g. 耐震基準、都市の機能更新)
→地方の収益不動産に期待 ⇔ リーマンショックによる回避
→公共インフラ(空港、道路、学校、病院)への民間資金活用:レベニュー債

※別のエントリーできちんと書くつもりだが、空港に複数の個人が少額ずつ投資する(いわばクラウドファンディング)の事例は地方でいくつか見られる。

2−3:ふるさと投資

・ふるさと投資(地域活性化小口投資)
→間接金融部門、市場部門の外側に新たな資金媒介経路を作る
特徴①:金融機関のバランスシートを経由せず「リスク許容度特性」「個人の志」に依存
特徴②:匿名組合出資の形態=投資先事業者の経営の自立性に配慮
特徴③:個人が投資を通じて消費者(ファン)に転化しやすい=潜在顧客の獲得

※リスク許容度特性とは、元本保証・有期性を有する銀行と違って保守運用・短期にとらわれない性質を意味する。「個人の志」とかそういう曖昧な言葉はやめてほしいんですけど、要は金銭リターンの大小にとらわれず、事業への共感度合いが投資決定の要因として機能することです。

※③はクラウドファンディングで重要なポイントの1つ。最近話題のゲームやアニメはまさにこれですよね。この商品が出るなら買いたい、という人たちが資金を持ち寄って、一定以上の金額になれば生産を行う形式のサービスは多々あります。グルーポンのような共同購入と、昔ながらの受注生産とが組合わさった形。


・ふるさと投資の課題
→①上:認知度の向上
→①下:他の金融商品と比較した税制面等におけるイコールフッティングの確保
→②投資家保護の為に規制環境整備(情報開示フォーマット、悪質業者排除、苦情受付)
→③投資家の利便性向上( ITスキルの低い人への配慮、地域投資での税制優遇)
→④事業者サイドのメリット向上
→⑤地域金融機関を含む優良な新規業者参入の促進

・インフラファイナンス
→酒造ファンドは原料(酒米) 向けが主流⇔被災地では酒蔵への投資が必要
→「事業投資」+「施設/不動産への出資」という複合スキームの検討

※本書の図「金融システムの将来像」が参考になるかも。レベニュー債、カバードボンド、ノンリコースローン、PFI、メザニン資金あたりの詳細と枠組み内での機能はまだきちんと理解していないので後で個別に調べる。


3−1:復興まちづくり(東日本大震災後の石巻のケース)

・ 政府による金融面の対応
→産業復興機構:二重債務問題を回避するために債券を買い取り
→東日本大震災事業者再生支援機構:政府保証付き資金借入を補助
→中小企業再生支援協議会:(省略)
→復興特区支援利子補給制度:指定金融機関から対象事業への貸付にかかる利子を補給
→危機対応融資:日本政策金融公庫から中堅大企業向けに支援

・民間による金融面の対応:復興ファンド
→分類:①助成型、②投資型、③融資型
→支援対象:⑴生活基盤系、⑵事業系、⑶ソーシャルビジネス系
→支援分野:ソーシャル・コミュニティビジネス型、新産業創出ベンチャー型、まちづくり型、事業再生型など

※この分け方どうなんでしょう。具体例が少ないのでちょっと…

・ミュージックセキュリティーズ社:セキュリテ被災地応援ファンド
→機能:助成と投資のハイブリッド(1本あたり700万〜1億円のエクイティ)
→スピード:発災後2ヶ月足らずで募集開始。現在23,000人が計10億を34本に投資。

※後述。この会社の事例はかなり興味深い。

・石巻復興まちづくりプロジェクト
→課題:①津波対策、②「働く場」の創出、③住まい+コミュニティの維持
→商店&小売業の回帰や新規立地を速やかに勧めたい
→小口、小規模でもスピードが要求される資金調達=ふるさと投資の活用が効果的

※割愛したけど、「歴史的な街並み・美しい景観を目指す、まちのデザインコード」や「地方における豊かなライフスタイルのブランド化」みたいなことが語られていた。言っていることは分かるし、共感する人も多いのだろうけど、美徳の押しつけというか「市民の暮らし」ってもっと泥臭いものじゃない?と思ってしまったりもする。価値観や立場によって大きく意見が変わるテーマだと思うので、正直、震災について扱うのはなるべく避けたい。答えが千差万別すぎる。

3−2:國酒プロジェクト

・日本酒や焼酎(國酒)=日本らしさの結晶
→国内:消費量が縮小、酒蔵の数が減少
→海外:人口増加、途上国の経済成長、日本食ブームで市場として可能性大
→政府、各自治体による市場開拓の支援(地域発グローバルマーケティング)

→資金調達支援策として、ふるさと投資ファンドの活用は有益
→ミュージックセキュリティーズ社の先行事例
⇔個人投資:酒類業者が情報公開(=顔の見える投資)も有用

※私の理解不足だとしたら失礼なことを言うようだけど、これは100%民間でやるべきことではないのでしょうか。文化保護の観点(酒蔵など)で見たら税金を投入すべき、という議論は分かるのだけど、その際にも、コストベネフィット分析を行った上で政策を定めるべきだと思うのですが。いや、だって、これが認められてしまったら、同じ理屈で、グローバル化に対応できていない、あらゆる国内産業が…。


思った以上に長くなった。次が多分ラスト。
前回エントリーを読んで思ったけど完全にメモになってしまっているね。
もう少し私の知識が付いたら分かりやすいまとめ記事を書きたいものです。

2013/05/20

CF読書録01『ふるさと投資ファンド』を読んで①

研究テーマをクラウドファンディングで確定しました。せっかくなので進捗や記録をブログに掲載していきたいと思います。意見・批判・助言など大歓迎です。ぜひメッセージ下さい。とりあえず本日は第一弾。教授から戴いた参考書籍を通読したのでメモ。

読んだ本はこちら。

ふるさと投資ファンド―意欲のある中小企業が資金を得る仕組み (慶應義塾大学経済学部 現代金融論講座)ふるさと投資ファンド―意欲のある中小企業が資金を得る仕組み (慶應義塾大学経済学部 現代金融論講座)
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以下、内容の順序に従って要約とコメントを残しておく。


1−1:社会背景

・日本は海外に比べて現金保有率が高い
→個人資産の運用が不十分(所得が賃金のみに依存)
→投資を必要とする産業に資金が流れない

・日本を含めたアジア地域では、銀行+政策金融が主な金融の担い手
→ベンチャーキャピタルなどリスク資産への資金供給者が少ない

・日本は高齢化によって財政負担の増加が懸念される
→財政出動による産業への資金提供は期待すべきでない

・BIS規制によって銀行は安全資産に傾倒せざるを得ない
→中小+ベンチャーなどのリスクある企業に対する資金の担い手には成り得ない


1−2:ふるさと投資ファンド


・主な特徴は、借り手の顔が見えること
・寄付と組み合わせて利用されるケースも多い

・公的資金の部分的な注力も活用できる
→e.g. 資金比率が政府補助金:民間投資=40:60で、
   民間にのみ配当を支払う場合、収益率は(100/60)に水増しされる
→結果として ①信用力増加 ②配当率増加 ③民間チェックによる事業効率化 に期待
→最適資本比率は ①民間収益率=国債利回り ②外部経済効果に応じた費用 のいずれか
→e.g. ②は、太陽光パネル設置事業による温室効果ガス削減効果などが該当

※この視点にやや疑問。政府(政策決定者)の立場や、金融資産+経済に関する社会的背景を読んだ後だと素晴らしい意見のように見えるが、家計のニーズと乖離しているような気もする。ポジショントークな印象。財政学・行政学・政治学・公共経済学・公共選択論あたりで分析すれば、政策決定による弊害(特定の事業が優先されることによる『政府の失敗』)が生じる懸念についても考えることはできそう。

・既存の投資信託の問題点
→銀行などの仲介会社は手数料の高い金融商品(≠高品質)を優先的に売りたがる
→最低限の固定手数料+配当連動の手数料、というモデルを模索すべき
→不透明性の最小化+仲介会社の目利きが重要。顔が見える金融を最大限に活用

※「マネオ」というソーシャルレンディングサービスでは、配当連動型の収益構造を提供しているため、この問題を解決しているらしい。裏付けを取っていないので、後日きちんと調べてから扱う。


1−3:資金供給者としての必要性

・アジアの借り手は困難に直面
→マイクロクレジットは高金利+ベンチャーキャピタルは絶対数が少ない。
→ 代替手段としてのふるさと投資ファンド。

※ベンチャーキャピタルの代替手段として考えるのであれば、なぜ日本ではベンチャーキャピタルが一般的ではないか、どのような問題があるのか、といった部分を調べておく必要はあるかもしれない。

・発展系としてインフラ投資信託の可能性(道路などのインフラ整備に資金を集める)
→長期資金の貸し手として、年金基金+個人年金+生命保険が期待される。

※個人年金を活用するという意味ではナイス。年金や生命保険が長期債券を中心に扱っていることを考えると、重要な視点だと思う。だけど私はそもそも現状の年金システムに対して批判的な意見を持っているので、やはりポジショントークさを感じてしまう。現状の財政システムを補完する活用方法=財政システムが変化すれば最適な活用法も変わる、わけなので、あまりこの部分を扱いたいとは思わないかなぁ。現時点では感情論だけど。

・質の担保が不十分だと日本人の投資嫌いが加速して事態は悪化。
→規制すべきは、①粗悪な事業対象への融資 ②投資家に損失を押し付ける事業者。
→優良企業の表彰も重要。複数の業者が自主的に監査委員会を設立すべき?

※ここも私の実感と違う。後述するが、ふるさと投資ファンドへの投資動機は、利潤動機と非利潤動機(=志ある投資)の2つに大別できる。特に後者の果たす役割が大きいと言う。実際、ReadyForやCampfireといったクラウドファンディングサービスを見ても、寄付に近い感情がメインだと読み取れる。だとすると、利潤動機を前提としたこれらの規制は(もちろん重要ではあるだろうけど)最重要論点ではないような気もする。正直ここは分からない。というか、どのような切り口から見るかで変わるのだろうけどさ。


軽くまとめるつもりだったけど、思った以上に長くなった。とりあえず1章終わり。
このペースだと参考文献を読破するのに到底間に合わないから少し巻きでいくかも。

マジメに「学生のうちにしかできないこと」を考えてみた。

就職活動を終えた友人が言った。
「残りの1年、学生のうちにしかできないことをやりたい」

じゃあ、一体それって何だ?
今からやろうとしていることは、ひょっとして卒業してからでもできるんじゃないか?
…というわけで表題。


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まず、
・大学生にしかできないこと
・今しかできないこと
この2つは明らかに違う

専門家の助言を受けて研究するのは大学生にしかできないけど、別に今じゃなくても就職してからお金を貯めて院に行けばできる。反対に、サークルの友人たちと一緒に1ヶ月のアメリカ横断旅行は大学生という立場じゃなくてもできる(家庭の事情で退学したメンバーを誘うことはできる!)けど、きっと今しかできない。


この2つはどちらが大事か、と聞かれると何とも言えない。会社を辞めて院に行く人が多いとは到底言えないからだ。だから単なるカテゴライズと割り切る。


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前者「大学生にしかできないこと」は、
・大学のリソースを活用する
・大学生という立場を利用する
という2つの区別ができる。

大学のリソースとは、授業システム、図書館や論文、高価な解析ソフト、指導教員の存在などを挙げることができる。簡単にまとめると「学びたい人が学べる環境」だ。社会人となった先輩方が口を揃えて言うように「もっと勉強しておけば良かった」と後悔するのを防ぐことができる。

大学生の立場とは、①「勉強のためにお話を聞きたいです」と言えば大抵の人が対応してくれる点、②長期間の休暇を活用できる点、③大学生限定のサービスを受けることができる点 ④学生同士の繋がりを活用できる点、などを挙げることができる。

①の場合、今のうちに会っておきたい人がいれば、勉強の名目で会うことができる(容易になる)。就職先でやりたい仕事があるのならこれはチャンスだ。例えば、出版社に勤めるとして、普通に考えたら斜陽産業だと言われている。しかし学生のうちにebookや電子コンテンツを扱うことに特化したIT分野のOBに話を伺えば、将来に活かせるかもしれない。なお、卒業後は勉強会・セミナーで代替することになると予想される。

②の場合、自動車免許の取得や中長期の海外滞在が例として挙げられる。親知らずの治療もできれば時間のあるうちに行うことが推奨される。一般的な日本企業だと、長期休暇を取得するのが難しいため、就労後にこれらを扱うのは容易ではない。実際には職場と相談しつつ長期休暇+有給で時間を作ることになるだろう。休職・転職を想定できるのであれば問題ないが、一般的とは言いがたい。

③の場合、国際交流や研修プログラム、コンペ、イベント事が当てはまる。学生以外は参加できないサービスは多々ある。もちろん社会人向けの代替サービスは少なからずあり、また企業によっては社内制度が充実しているだろう。ただ、それでも「知識・経験の乏しい学生向けに噛み砕かれたサービス」「多様な人材が混ざりやすい機会」という意味では、副次的な効果に乖離が見られるとしても不思議はない。あと学生団体とか。

④の場合、自分自身が学生であることによって、他の学生を巻き込むイベントやサービスを始めやすい利点がある。これは非常に大きい。現在、日本の代表的な資産家の中には、「大学在学中に学生向けの事業を行っていた」→「その事業を会社として法人化した」→「より一般向けのサービスにして大ヒットさせた」という実業家が少なからずリストアップされている。ジャパニーズドリームの可能性を捨てる意思決定は適当だろうか。


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後者「今しかできないこと」は、時間が経つに連れて状況が変化する場合に当てはまる。例えば、証券会社に勤務予定の学生が、服務規程で禁止される前に株で儲けておく、というのも当てはまるだろう。しかし、この例は、会社を辞めた後には株を再開できる、という意味で可逆的だ。そこで確実に不可逆と言えるケースを考えたい。

時間の経過によって変わるもの

(1)他者との関係性: 例えば、同じサークルのメンバーで会える機会は少ない。 再会には情報共有コスト、調整コスト、所帯を持つことによる行動制約、就労による行動制約が付きまとう。誰かが病気や怪我で亡くなった場合、現世では二度と会えない。そうなると親孝行も当てはまる。あと、恋人探しも学生のうちにやるべしとの意見が多い。

(2)肉体・精神・知的能力: 例えば、貧乏旅行を楽しめる体力・精神力は、年齢を重ねる毎に失われることが多い。若いうちはアジアやアフリカをバックパックして、老後にヨーロッパの町並みを巡りたい、という意見はしばしば耳にする。

(3)社会・経済・技術: 例えば、今はスマートフォンアプリの作成、販売が流行している。求人数が裏付けている通りだ。しかし20年後も同じ状況かと言われると、おそらく違うはずだ。アプリ開発に興味を持つ人が、今すぐに始めないのであれば、それは「老後に取っておく」のではなく「諦めた」ということになる。


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以上を踏まえると、学生にしかできないこと+今しかできないこと=学生のうちにしかできないこと、が見えてくる。一方で、今じゃなくても構わないこと、を後回しにすべきか、という問題(そもそもの前提への懐疑)は相変わらず残ることになる。

というのも自分の命がまさに不可逆だからだ。いつ死ぬか分からないので、重要なのは、明日死んでも「満足した人生だった」と言えるかどうか、という点ではないだろうか。したがって、やりたいときにやりたいことをやっておくのがベストだと個人的には考えている。

その上で、時間的非整合性の問題(= 後悔:やっておけば良かった − 満足:学生のうちにやっておいて良かった)を最小化できるように上記のポイントを踏まえて学生生活を設計すのが望ましいと思う。おわり。


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2013/05/06

なぜ債券の価格と利回りは反対方向に動くか。

某カフェにて「国債の値段が上がると利子率は下がる」と繰返し呟いて覚えている学生さんたちがいました。1人が「でも何で逆になるの?」と問いかけました。他の人は「さぁ?」と首を傾げました。

確かに、『分かりやすい経済の本』といったタイトルの書籍や、普段のニュースに目を通すと「債券価格と利回りは反対方向に動きますよ」と断定しているものの、その理由まで説明しているものは多くありません。きちんとしたファイナンスの教科書を読めば一発で分かるのですが、そこまで本気で勉強したくねーよ!という人が大多数だと思います。

そこで、本日は、数式をなるべく使わず、直感的に理解できるよう説明します。分かりやすさ重視なので厳密な説明ではありません。時点間の割引なども(本来は一番重要な部分ですが)完全無視で話を進めます。



まず、そもそも債券とは何ぞや、という点について。あえてざっくり言ってしまうと、借金の証書です。国や地方自治体、または企業が借金をするときに「何日までに何円を返します」と約束します。このとき、例えば「10年後に100万円を返す」とか「10年間に渡って半年ごとに5万円ずつ返す」とか、そういった約束を行います。

このとき、貸すお金は100万円以下です。なぜなら、100万円を貸して10年間待ったのに、返ってくるのが同じ100万円だと明らかに損だからです。その10年間で他のビジネスに回せばもっと稼げるし、借金が返済されないリスクだってあるからです。なので基本的には、例えば80万円を貸すと、10年後には100万円で返ってくる、といった形になります。

実際にどうやって借金をするのかというと、「10年後に100万円で返しますよ」と記入された債券(国公債・社債)を発行して売りつけます。これが欲しい人は50万円なり60万円なりを提示して買い取るわけです。

さて、一度買い取った債券ですが、バカ正直に10年間を保持し続ける必要はありません(もちろん持ち続ける作戦もあります)。例えば、40万円で買ったあと、他に欲しい人がいれば60万円で売りつけることだってできるわけです。そして最終的に「借金を返済する日」にその証書である債券を保有している人に対して、掲載されている金額が支給(返済)される、ということになります。

では、もしあなたが債券を買うのであれば、買い取り価格は安い方がいいですか?それとも高い方がいいですか?



10年後に貰える金額(100万円)は変化しません。額面に記載されている通りです。ですが、あなたが誰かからその債券を買い取るときの価格は変化します。つまり、60万円で買い取るよりも40万円で買い取る方がお得ということになります。

もっと分かりやすく言うなら、宝くじをイメージして下さい。ある貧乏人が100万円の当たりくじを手に入れました。現金と引き換えできるのは1週間後です。しかし、貧乏人は今すぐお金が必要です。そこであなたに対して交渉しました。100万円の当たりくじをあげるから、代わりに今すぐ現金を欲しい、と。このとき、あなたは40万円を手渡すのと60万円を手渡すのとどちらがお得でしょうか。当然、40万円の方がお得です。

なぜなら、

(収入)100万円 ー (費用)60万円 = (利益)40万円
(収入)100万円 ー (費用)40万円 = (利益)60万円

となり、
費用が少ない方が利益が大きくなるからです。

これと同じで、10年後に100万円を貰える債券についても、債券価格が40万円のときの方が、60万円のときよりも利益が大きくなります。この「どれだけ利益が大きくなるか」を示す割合を「債券の利回り」として計算するのです。実際にはもう少しきちんとした計算式を使いますが…。



さて、もうお分かりでしょう!

債券は将来貰えるお金(額面価値)が一定なので、買い取るときの「価格が小さい」ほうが、相対的にお得=「利回りが大きい」ことになるのです。当然、逆も同じように、買い取るときの「価格が大きい」ほうが、相対的に損=「利回りが小さい」ことになります。

その結果、債券価格と利回りは反対方向に動く、と言われているのです。
結構分かりやすく説明したつもりなのですがいかがでしょうか。