2014/03/18

人生をピボットする話(3)リソース分散する問題

【前回のあらすじ】

人生を方向転換(ピボット)するに当たり、単に過去を否定するのではなく、過去の失敗から学び、 軸足を押さえることが重要だという話をしました。今回は、その散々な失敗の1つ「リソース分散する問題」について、考え、乗り越えたいと思います。




【リソース分散する問題(提起)】

そのまんまですが、参与するプロジェクトの数が多くなると、全ての仕事を担うことが困難となります。結果、24時間365日を1つのことに費やしている人間と比較して、圧倒的に成果の質が低くなります。それどころか大半の場合、質以前に、成果を出す段階にまで辿り着けないことも少なくありません。

ここでは、時間や体力などの「個人が保有している資源」をW、参与する「n個のプロジェクト」をそれぞれP1〜Pn、各プロジェクトにおいて「処理すべき業務m個」をそれぞれP1-1からP1-mとおきます。なお、はじめから認識している業務のほかに、事前準備や関連知識の学習など、追加的に発生する業務(潜在的な業務)もm個の中に含まれます。

また、プロジェクトに振り分けるリソースをa*W、私生活に用いるリソースを(1-a)*Wとおく(ただし0<a<1)。 さらに、業務処理に費やすリソースをΔW=C(Pn-m)という費用関数で表現する。

以上のもとで、リソース分散問題(成果さえ出せないケース)は、W≦ΣΣC(Pn-m)において発生することが分かる。簡単にまとめると、自分の体力を超えた業務量には対処できないよ、ということです。


【リソース分散する問題(解決)】

この単純な数式モデルから解決策を模索するのであれば、アプローチは以下のいずれかになる。

・時間や体力などのリソース(W)を増やす。
・作業効率(C)を改善する。
・1プロジェクトあたりの作業量(Pn-m)を減らす。
・参与するプロジェクト(Pn)を減らす。

体力問題については、以前の記事(思考実験:疲労に対する根本的な解決策を考える )で分析しているので、そちらを参照。一方、体力に比べて時間は多過ぎてもやる気を削ぐことになる。いずれにせよ、リソースを広げることを意識した上で、与えられた状況での最善策を考えることが有効と言える。

作業効率については、当然ながら常に工夫する姿勢が要求される。しかし、効率化ツールや設計には、より大きな初期投資(学習コストや導入コストなど)を要求することも多い。状況によって手段や効果が変わるため、必ずしもキーポイントとはならない。日々の工夫や学習を通して、1%ずつ向上させていくたぐいのものだと私は解釈しています。

重要なのは、「段取り(=必要なことを必要な順番で処理する行動設計)」であり、それはつまり、作業の絞り込みが重要なポイントになります。必要でないことはやらない、今やるべきでないことはやらない、という姿勢が重要です。とはいえ、一見して必要に思えないことでも、やってみることで活路が開ける場面も多々あります。

したがって、最終的には、参与するプロジェクト自体を絞り込むことが重要となります。仮に数多くのプロジェクトに参与する場合は、複数人で業務を分割し、1人当たりの負担を最小化するよう勤めるべきです。ただ、チームを誘導するコーディネーターに負担が集中しがちな点に注意です。自主的に活動できる優秀なチームか、コーディネーターを明確にしたチーム設計でなければ、企画は頓挫します。

中長期的には以上の通りですが、短期的には「1度に1つのことに集中する」のがベストです。Pn-m=1(業務は1つだけ)、Pn=P1(プロジェクトも1つだけ)であれば、多少の効率の悪さ(C)や、体力の弱さ(W)は問題にならないでしょう。そうなると、いかに小さなステップに分解するか、という視点も重要です。


 【結論】

・現状のリソースの範囲内で考える
・効率よりも段取りでの取捨選択が重要
・リソース拡大 / 効率改善は日常で意識すること

・コーディネーターを明確にしてチームを組む or 自主的に動けるチームを組む
・参与プロジェクトの数、1人当たり/1プロジェクト当たりの作業量をなるべく減らす
・短期的には「1度に1つのことに集中する」ように徹底


一言でまとめると「段取り=捨てること」と「目先の集中」を意識すべし、ということ。なるべく小さく目標を設定して少しずつ処理していくという意味では、前回エントリーの話に通じるものがある。

あれもこれも…となってしまいがちなので、基本的に「No」もしくは「とりあえず◯◯だけやってみてから考えましょう」と言って、アサインされるプロジェクト・業務をなるべく小さく押さえるように意識すべし。小さすぎるくらいでいいと思います。そうしないと、世の中に広がる色々なものが面白くて、あっちもこっちも楽しくて何もできなくなってしまうのです。

それこそ1日〜2日で解決しそうなレベルまで落とし込むのです。それでも、いざ実行したら細部を修正するのに結局1週間を費やしてしまう、なんてことは十分あり得ます。最初から1週間のつもりで設計すると1ヶ月に、1ヶ月のつもりだと1年に…となってしまいがちです。だから、まずは小さく意識しておくのです。千里の道もまずは一歩から始まるわけです。



つづく。

0 件のコメント:

コメントを投稿