2014/03/09

人生をピボットする話(2)迷ったら手が止まる問題

【前回のあらすじ】

人生を方向転換(ピボット)するに当たり、単に過去を否定するのではなく、過去の失敗から学び、 軸足を押さえることが重要だという話をしました。今回は、その散々な失敗の1つ「迷ったら手が止まる問題」について、考え、乗り越えたいと思います。




【迷ったら手が止まる問題(提起)】

簡単に言うと、作業中に「自分は本当にこれをやるべきなのだろうか」みたいな考えが生まれてしまって作業できなくなってしまう問題です。受験生が「この勉強法でいいのか」と不安になってついつい色々な勉強法ブログをネットサーフィンするような感じです。自分だけでも問題ですが、チームで何かをする場合、周囲の迷いも問題です。

ここでは3通りの側面があります。「作業の手が止まることが問題」、「(自分が)ビジョン自体を信じられないことが問題」、「(周囲が)ビジョンに全面納得しない=進展しないことが問題」という側面です。



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<作業の手が止まることが問題>

【解決策】

解決策は2通りで、「納得できるまで徹底的に悩むこと」と「焦燥を押し殺して目の前の課題をやり遂げること」です。あえて生産性の観点からのみ考えると、とにかくやり抜くことを意識すべきでしょう。

その上で、どうしても無理だと投げ出したくなったら、ハードルを下げる。数学の問題集を「1週間で100ページやり抜くぞ!」と意気込んで、それでも無理だったら、最初の10ページだけにすればいい。それも無理なら、1ページだけでもいい。

世界中の人々の生活を変えるようなアクションを起こしたいと思っても、誰も何も反応さえしてくれない。だったら、まずは身近な人の生活を素敵にできるよう試行錯誤してみればいい。それも無理なら、とにかく友だちを1日1回笑わせてみるとか。

【予防策】

予防策は「目的・行動を小さく落とし込むこと」です。上記の例のように、壮大な目標を達成できなかったとしても、小さなことなら成功確率が上がります。その小さな成功体験は、次の小さなステップを促進してくれます。

とても分かりやすい例が、制作活動です。15分の作曲は大変だけど、30秒だけ作るなら比較的簡単にできる。2時間の映画を個人撮影するのは難しいけど、1分のショートムービーなら気軽に作れる。プレイ時間50hオーバーの超大作RPGを作るには骨が折れそうだけど、お使いイベントだけなら何とかなる。そこに肉付けしたり改善したりしていって、少しずつ良いものを仕上げていけばいい。


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<(自分が)ビジョン自体を信じられないことが問題>

【解決策】

研究や事業やプロジェクトのビジョンであれば、そもそも何のために始めたのかという経緯を元にして判断することになります。

金儲けをしたくて仕事を始めたとして、もっと儲かるものが見つかったのであれば、そちらに変えればいいわけです。恋人に喜んでもらうために誕生日パーティーを企画したとして、その人が家族の病気を気にしているのであれば、パーティーなんか中止して、看病を手伝ってあげたほうが喜ぶわけです。

個人的なビジョン・価値観であれば、自分の願い・欲望・考えといったものと、まっすぐ向き合うしかない。人気者になりたいとか金が欲しいとかモテたいとか、あるいは栄光を得たいとか人助けをしたいとか誰かに必要とされたいとか、そういう感情を踏まえて、正確な判断ができるようになるはず。

【前提】

また、正義は常に多面的であること、一度に全てを補えないことを意識しておく必要があります。貧困国に医療サービスを届ける社会活動を行うとして、自国の医師を送り出すことは、自国の医療課題改善の観点から考えると悪手かもしれない。候補となった貧困国A・Bのうち、Aだけが採択された場合、Bにとっては不平等かもしれない。

当然ながら、そこには葛藤が生まれるだろうけれども、事業の目的とか、自分の願いとか、そういう観点から、世界を切り取らなければなりません。選ぶということであり、捨てるということでもある。ただ、一生捨てる必要はないわけです。今回は捨てるけど、次の機会があったら、ぜひそちらの正義につきたい。これはアリ。相手の恨みを買っていなければ。


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<(周囲が)ビジョンに全面納得しない=進展しないことが問題>

【解決策】

方向性は2通りで、「ビジョンベースで人を引き上げる」か「人ベースでビジョンを引き下げる」か。

人を引き上げる場合。人々の現状・理解状況と発起人の構想にギャップがある場合、もしくは該当コミュニティにおける最適な説得プロセスを踏まなかった場合(事前に上司の信頼を得ておくべきだった!)に、抵抗が生じます。そこで、知識や動機といった要素のうち、どこにギャップがあるのかを突き止め、解消しなくてはなりません。

ビジョンを引き下げる場合。携帯電話が開発された翌年にiPhoneを販売しても消費者は付いていけない、という状況を指します。大きな文脈での位置付けを無下にする必要はないですが、押し付けたり強調することを止めるべきです。まずは誰もが分かりやすいビジョン(どこでも電話できる!)を達成・定着した後に、より大きなビジョン(文書も送れる!写真も送れる!)へとステップアップしていくことが適切です。

【前提】

1人だけで何かが終止することは滅多にありません。そうなると「自分にとっていい」だけで話を進めると「本当にこれでいいのか?」と迷う瞬間が訪れます。そのとき、必要となるのは思索でも決断でもなく、人の言葉に耳を傾けることです。


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【迷ったら手が止まる問題(解決)】

・なるべく目標/期間/行動を小さく絞って設定 => とりあえずやり遂げる。
・自分の欲望を正確に把握 => 目的と合致するものを選択する。
・その期間/行動において、どの立場の正義を選んだのか意識しておく。
・周囲の言葉に耳を傾けて、人とビジョンを合致させる。

一言でまとめると「迷わないように立場を明確にする」ということ。作業の手が止まってしまうほどの、強い迷いが生じるようだったら、迷いが生じないようになるまで、しかるべき措置を取る(小さくする/方向を変える/候補を捨てる/周囲を動かす)ことが必要です。


つづく。

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