2012/11/28

災害金融を再考する。


先日、大和証券で行われたカンファレンス『インパクト・インベストメントフォーラム』に参加してきました。副題は、国際協力で実現するあなたと世界の絆 〜地球規模の課題に対する社会貢献の在り方とは〜。

国際協力機構(JICA)が第2回JICA債券を発行するに当たり、投資家に向けて社会貢献の意義を発信することで資金提供の理解を促すことを目的としたプログラムでした。参加者の大多数が70代以上の方々だったと記憶しています。後半では、東日本大震災を初め、世界規模での災害と金融の在り方について議論が行われました。

登壇者は、田中明彦氏(JICA理事長)、小寺清氏(JICA理事)、向殿政男氏(明示大学教授:安全学)、長友紀枝氏(認定NPO法人 難民を助ける会 理事長)。モデレーターはショーン・マクアードル川上氏(経営コンサルタント)。以下、議論内容に独自の補足を加えた忘備録を残しておきます。



●社会貢献ファンドの意義

政策論として、JICAから途上国への融資には「マーケットの安定を促す」という意義があるとの主張がなされた。

例1:タイやマレーシア。長年の支援の結果、途上国から新興国に、貧困層から中間層へと成長しつつある。その結果、市場開拓が可能となる(BOP - Base of the Pyramid)。さらに、20-30年後には融資に対して巨額の返済を見込める。

なお、日本企業が海外進出を検討する際に、JICAが支援してきた国が投資先に選ばれやすい。これを選定効果と呼び、海外投資を導く役割が可視化されている。現地から日本企業への信頼を獲得しやすいことと、JICAが独自に対象国の市場情報を公開していることも理由の1つであろう。

例2:ブラジル。支援によってアマゾン南部の不毛な土地を、世界第二位の穀物生産地に変えた。その結果、干ばつで北米での生産が大きく減少した時には、これまでは食糧価格が高騰していたが、今年はブラジルが第2供給者として控えいたために上値を抑えることができた。

日本は四代穀物のうち小麦・トウモロコシ・大豆をほぼ全て輸入に頼っているため、食糧価格が極端に上昇してしまうとマクロ経済に負の影響を与えてしまう(Y = C + I + G + EX - IM)。経済貢献としての意義はけして小さくない。

例3:フィリピン。JICAは政府と反政府勢力の仲介役を努めた。東南アジア主要国の1つであるマーケットが過度の政治リスクに晒されることを回避することに成功し、日本企業が活躍する土台を作ることができた。

ただ、いずれの例であっても、便益を享受するのは日本企業だけではない。他の外資企業のフリーライダー的な行動を想定し、途上国融資が相対的に損失であることを根拠とした批判の声も大きい。

したがって「その国の人に役立っているか」を追求した支援が「日本人の役に立っているか」という政治的課題に繋がり、なおかつ長期的にはペイできることを十分に検証した上で融資を行わなければならない。社会貢献ファンドの意義と課題は以上の通りである。



●Disaster Finance(災害金融)の課題

特に東日本大震災以降、経済と災害に関する議論が活性化している。しかし、現在の日本が復興するためにどのような措置が必要かというものが中心であり、もう1度災害が来たときに、以前よりも被害を抑えられるのか?より良い復興をスムーズに行えるのか?という点でやや疑問が残る。

後回しにされがちなテーマではあるが、災害金融の制度枠組みを分析することが必要であり、その前段階として課題を洗い出すことが重要な作業だと言えよう。


1:災害のグローバル化。タイの洪水で日本の電化製品販売が被害を受けたように、経済のグローバル化と連動する形で災害も国境を越える。同様に、災害対策も一国内で完結するものではない。

自国の災害→他国から円滑な支援を受けられるように国際的な信頼を獲得しておく必要がある。他国の災害→日本企業の業務に対するマイナス影響を最小化できるよう当該国への素早く適切な支援を実施する必要がある。


2:リスク分散化。脱原発の議論に見られるように、とかくリスクゼロを目指す論調が強くなりがちである。しかし、1つのリスクを抑えれば必ず他のリスクが大きくなる。例えば、ドイツでは自然エネルギー政策に集中投資しているが、利用電力の半分以上は輸入頼みである。

基本的にリスクはゼロワンではない。他国からの電力輸入が経済に与える影響・不安、他国での発電が自然・人体に与える影響、こういったリスクに振り替えているだけなら何ら解決になっていない。ここで求められているのは、リスク分散に基づいた最適なポートフォリオ選択と、何よりも人々の理解であろう。


3:社会的弱者。一般に、自然災害による被害は高齢者・障碍者の方が大きい傾向がある。東日本大震災で亡くなった方の70-80%は高齢者であり、また、障碍者は健常者に比べて人口当たりの死者比率が2倍以上。なお、被害には地域差があり、その要因解明が社会的弱者を災害から守る鍵になりそうだが、十分な研究は成されていない。


4:コーディネーターの重要性。同じ場所に同じような団体が集中する「支援の重複」を避けて、効率的な配分を行うことが3.11の課題の1つだった。情報・技術・金・人・時間といった資源を、包括的に管理して分野別に活用するのである。

現場の人材という意味では、法律学習の重要性を再認識する機会が多いようだ。緊急時にも関わらず、個人情報保護法があるために障碍者の情報を支援団体に提供できなかった事例が挙げられた。法律をどう利用し、どう変えるべきか、という視点が不可欠である。


5:選択的利他性。企業を対象とした経営学での研究によると、人間は「利他的に動く人」に対して利他的に動く傾向がある。そして、全員が利己的に動く組織に比べて、全員が全体利益を意識して行動する場合は約1.65-1.7倍の効率を得られる。

これを政府・世界レベルに拡大した取り組みが必要なのは自明だ。特に日本人は震災直後の協調的な振る舞いに国際的評価を受けているため、災害に対する姿勢・対処を発信するリーダー的役割が求められていると言えよう。


6:予防の評価。米国での試算によると1ドルの事前投資で、災害時に4-7ドルの費用軽減を実現できると言う。しかし、事業仕分けでスーパー堤防が切られたように、100年に1度のハザードに対して今あなたが投資できるか?と問われると迷いが生じるのである。

事後対処に比べて予防の価値は見えにくい。フィリピンの紛争も、予防に成功してしまったら「予防努力」は可視化されない。紛争が起きて初めてその価値に気付ける。自然システムを巡る環境経済学の典型的な議論と同じだ。森林の保水効果は失って初めて気付く。今回の震災も、復興には多くの人が関わっているが、防災は誰が何を担うのかさえ未定だ。

この問題を考えるには機会費用の概念が不可欠であり、予防行為に適切なインセンティブを設けるべきだ。JICAではまだ価格評価制度を確立できていないとのこと。なお、国際協力における災害予防は、ハザードマップや防災セミナー、耐震工事に関するKnowledgeの共有が例として挙げられる。

⇒参考?:地震保険研究No4『巨大災害リスクに関する研究』
http://www.nliro.or.jp/disclosure/q_kenkyu/No04_B.pdf



●予防評価に関する議論

アジア開発銀行では災害による被害額として538億ドルを推計している。これを1/4〜1/7で割った値が、必要な予防額と考えることもできる。すなわちアジア圏で80-140億ドルを出資できれば良い。あくまでもマクロな枠組みでの議論になるが、日本の公共投資の数%程度の金額であり、拠出は十分に現実的だと言える。

ただ、この被害額はあくまでも産業資本と産業連関に基づいたものに過ぎないという指摘がある。震災で亡くなった人、健康を損ねた人のような「人的資本」あるいは森林や海のような「環境資本」といった拡張会計の議論は無視されている。また、将来得るはずだった利益が消失したため、将来世代の負担・機会費用を換算する必要もある。

いずれにせよ、対災害用プール金を設ける意義は大きい。しかし、民間企業にとっては損害保険・引当金に相当する=負債・費用扱いとなるため「必要なのは分かるけど他の企業がやってくれたら嬉しい」という立場に帰結する。

こうした状況を改善するために政策金融ではいくつか施策を行っている。例えば、日本政策投資銀行は、独自の防災基準を満たす建物に対して貸出金利を低下させる仕組みを設けている。ただ、民間金融機関への圧迫が懸念されることもあり、手放しでは喜べないだろう。


※ODAの特殊性。グラント・エレメント(贈与の度合い)という指標を判断基準に用いており、25%以上でODAとして認められる。融資について、割引率10%+返済金額なしの条件化で現在割引価値に換算。融資条件が厳しいほど値は小さくなる。つまり、ODAは融資条件が緩いほどより良いという判断になる。



以上、カンファレンスで行われた議論をまとめました。

ソーシャル・ファイナンス(Social Finance)とでも言うべきでしょうか、この分野は実務上の必要性が大きいにも関わらず、まだまだ議論が不十分なようです。参考資料も豊富ではないと思うので、まぁマイナーな分野ではありますが、情報を共有しようと思った次第であります。

終わり。

2012/11/20

自己紹介的なことをまとめておく。

Starticle Inc.でCOO(副社長的なポジション)をやっています。WEBサービスの開発や事務周りを担当しています。国際プログラミングコンテスト受賞経験アリ。これまではJavaかPHPがメインでしたが、最近はRailsの手軽さにハマりつつあります。色々作りたい。

専攻は金融論。いま扱っている研究テーマは、WEB上での少額投資(Crowd Funding)において、損失を抑えて投資家保護を実現するための理論モデル構築と、そのシミュレーションです。個人的に気になっているけど時間がなくて手を出せないでいるのはポーカーなどのギャンブルに関するミクロ経済学的な分析です。

普段は相模湖にいますが、そろそろ東京の北東部に移住します。

2012/11/16

インタビュー:新興国の「個人向け金融」を訪ねて



東南アジアを初めとする新興国で、給与上昇によって中間層が増加していることを背景に、個人向け金融サービスが活発になっているようです。そこで、リアルな情報を得るために、現地の方々にお話を伺ってみました。



もくじ
・日本での報道
・インドネシア新聞社の方へインタビュー
・各新興国の方々の言葉







(c) .foto project





●日本での報道


日経新聞(2012.10.08)によると、



・SMBCコンシューマーファイナンスは中国での無担保ローンを展開。
(市場:中国全体での小口融資残高は2010年末より2.5倍)

・セディナはベトナムで自動車ローンを始める。
(市場:公共交通機関が少ないため、自動車への需要が大きい)

・JCBはベトナムやバングラデシュなどでクレジットカードを発行。
(市場:オセアニア+アジアだけでも2015年には10年比で1.5倍になると予想)

via『個人向け金融 新興国へ 中間層増え利用急増


と、東南アジアなどの新興国で個人向け金融サービスが増加しているようです。




とは言うものの、私が実際にアジアをぶらりと歩いた感じではあまり金融分野の発展を感じることはできなかったので、各国現地の事情に詳しい方々にお話を伺ってみました。





●インドネシア新聞社の方へインタビュー



『じゃかるた新聞』営業部 森裕介
http://www.jakartashimbun.com/


――アジアでの個人向け金融が盛り上がっていますが、インドネシアではどうでしょうか。

非常に増えていますね。特にインドネシアで最も話題なのが、二輪と四輪の販売台数の多さです。これはローンで買わせて伸ばしているという側面も強いです。

今年の5月までは少額の頭金で買えたのですが、事実上ないも同然の金額だったため、さすがにやりすぎということで頭金規制が6月に始まりました。


――返済トラブルが多発していたわけですね。

その通りです。10万円くらいのバイクを買うのに、頭金5千円と言えばイメージできるでしょうか。2-3ヶ月ほど乗り回した後、返済できないから没収される、といったケースが多発していました。

6月の規制はひとことで言えば金融セクターの健全性維持のためです。無審査に近いローンで、頭金がほとんどない状態でも、各社が競って貸し出していた。当然ですが、焦げ付くに決まっています。


――個人向け金融ではクレジットカードも成長市場ですね。

手前味噌ではありますが『じゃかるた新聞』の記事でも取り上げております。

「インドネシア・クレジットカード協会(AKKI)によると、今年1―8月の総取引額は前年同期比11%増の133 兆2100億ルピア(約1兆1千億円)を記録した。クレジットカード登録枚数は8月末時点で1500万枚に達し、 年間で1割増のペースで増加している。」

一人当たりGDPが3000ドルを超えると消費が加速すると言われています。まさにその加速が始まりつつある状態でしょうね。


――クレジットカードの手続きや利用法は日本人と似ているのでしょうか。

日本とは違い、カルフールやスーパーで顧客に作らせているのをよく見かけます。主なターゲットとしては月収3~5万円より上の中間層が使っているように思います。貯蓄をしない上に計画性のないインドネシア人マインドを考えると焦げ付き続出が懸念されます。


――何か政府は対策を行っていないのでしょうか。

もちろん、放置をしているわけではありません。今年3月にはカード保有に関する新規定を発出しました。

1:カード保有者の年齢制限を、現行十七歳以上から二十一歳以上に引き上げる。

2:クレジットカード取得の最低月収を三百万ルピアとする。

3:月収三百万ルピアから千万ルピアでクレジットカードを二枚持つことができる。

4:利用限度額を月収の約三倍までとする。

5:月三・五―三・七五%を基準に、クレジットカードの手数料金利の通常計算である複利の禁止。

といった規制です。

インドネシアを初めとして新興国では、経済成長と同時に多くの問題が健在化しています。政府が適切な規制を行うことで人々の生活がより良い方向に向かうことが重要です。






●各新興国の方々の言葉


ーー中国について

最初の予想では、所得が上昇していて金融サービスもバンバン使っているイメージでした。ところが現地の学生にfacebook経由で話を伺ったところ「若年層の給料はそこまで高くないよ」とのこと。おそらく競争社会を勝ち続けた一部のサラリーマンが中間層としての地位を得ているのではないでしょうか。


ーーベトナムについて

インフレの沈静化によって再び成長を始めたため、金融に限らず非常に多くの企業が乗り込んでいる模様です。現地在住、HRインスティチュートの川村泰裕さん曰く「クレジットカードが使える店は増えた印象」とのこと。


ーーバングラデシュについて


skypeでグラミン銀行のMaruf氏に話を伺ったところ、バングラは年6%の成長を続けており、2021年までにはMiddle Level Countryに到達することを目指しているとのこと。したがって、クレジットカードを初めとする個人向け金融サービスの需給ともに増加が見込まれている。

ただ、akanat(株)代表の田中秀喜さん曰く「クレジットカードの普及率はここ数年上がっているものの、使える場所はダッカほか主要都市部に限られている。まだ超一流企業の役員レベルぐらいまでが持っている印象。ボーダーは月に10万円貰っているかぐらいに思っています」とのこと。

また、

・カード会社はVisaが多い。
・一度撤退したアメックスがcity bank(※citiとは別)と提携して戻って来たのが約三年前。
・JICAのシニアオフィサーが月10万円くらい。
・ただ、携帯電話会社の新入社員が月10万いくという噂もある。
・カード決済は掛け商売=資金の回転率が落ちることから、やりたくない店が多いと予想される。

とのことです。

つまり、まずは限られたお店で役員級の方々が使う→カード所有者が増えていく→導入店舗が増えていく、という流れになるのではないでしょうか。





情報提供にご協力いただいた方々、誠にありがとうございました。

記事や統計から学べることが多いのと同じように、リアルな生活から読み取れることも沢山あるわけですね。私が放浪してた期間なんてたかがしれているのだな、と思い知らされました。ちょっと、これはアレですね、時間があれば3ヶ月くらい住み込みで現地を視察したい気分です。

それにしても新興国の経済は面白いっす。アジアでビジネスをやっている方々が、皆さん輝いていて羨ましいですね。機会があればアジア就職・起業に関するインタビュー記事なんかも載せたいかも。

終わり。

⇒関連:新興国在住の方々にお話を伺った。
http://togetter.com/li/407865

2012/11/15

Re2:「日本に寄付文化が根付かない」を金融資産市場から問う。

前回エントリーのコメントを送ってくれた @ysnb1 さんから補足情報として、某メルマガの内容を転載してくれました。

備忘録として、簡単な要約とそれに対する私の考えをまとめておきます。



●ここ最近で寄付が盛んになってきた。

・ウィキペディア。
・マラソンの藤原新選手(ニコニコ生放送でプロモーションを行い、わずか一週間で1000万円もの寄付を集めることに成功)
・ソーシャルファンディング系のサイト(特にテクニカル系のプロモーション「俺たちがあなたの未来を素晴らしいものにしてみせる」)
・個人のサイトやブログで寄付を募るのもよく見かけるようになってきている。
・今や寄付活動は「誰もが気軽にできるもの」に変化。


⇒Comment:寄付の金額や効果測定、過去との比較が論じられていないのでこの主張が正しいかは何とも言えないですが、一般の人々の目に留まる機会やツールは増えているのかもしれませんね。



●SNSの興隆、先進諸国の経済の行き詰まり

1:SNSの登場
→他人の個人情報に日常的に触れるように
→日々の共感
→共感し合う者同士が集うコミュニティが形成
→コミュニティの中心人物の魅力に注目が集まる
→その人物を通じて情報交換=支え合う機会が増加(国家:国民:税の関係に近い)
→自分がそのコミュニティを支えるのだという意識
→寄付に繋がる

2:先進諸国の経済の行き詰まり
→人々を素直にさせる(堂々と「金がない」と言える)
→「十分な資金がなければ良いものは生み出せない」が共通認識となる
→寄付の要求を発言する/聴く土壌が成立
→寄付行為に対して価値を感じる、可能性を感じさせる工夫が必要

つまり「自分の利益」=「コミュニティの利益」=「寄付する人の利益」の成立が条件。
そのためには

1.とにかく好きなことをする(共感を生む)
2.その活動を多くの人に伝える(共感を広める)


⇒Comment:論旨については、1つの解釈というか、仮説としては面白いんじゃないでしょうか。

⇒Comment:重要なポイントは、コミュニティの構成員に『共感』を広げることで寄付が集まるという点ですね。前々回のエントリーで私が「非金銭的対価/金銭的対価」でセグメント分けしましたが、この非金銭的対価で「興味を持つ20%」「中間の60%」に対するアプローチを論じました。まさにその部分を補強する考え方だと思います。



●ここで言う寄付とは

< Not >
・震災に対するものとは異なる。
・絶望の穴を埋めるための寄付とは異なる。
(善意に基づくセーフティネット?)

< But >
・自分のための努力→なぜか周りに応援される立場→寄付が集まる。
・自己中心的な活動がなぜだか他人の役に立ってしまう。
・希望の光を照らすための寄付
(可能性に対する投資?)


⇒Comment:どの側面に焦点を当てるか、という問題でしょうね。仮に震災復興であっても、被災地に新しい産業を生み出そうとしている若者たちのブログで寄付を募るのであれば後者です。震災が起きる…といった外部要因がなければ、非営利団体が意図的にファンドレイジング・キャンペーンを行うためには、この主張のように「希望の光を照らすための寄付」を集めるのがベターかと思われます。



まとめると、コミュニティと共感で寄付を増やしましょうという話でした。私が前々回に主張したのは、そういった手法だけではなくて、「寄付に興味のない20%が必然的に寄付してしまう仕組み」「金銭的対価を打ち出す寄付システム」に注目してみるのも重要ではないか、ということですね。

終わり。

2012/11/12

Re:「日本に寄付文化が根付かない」を金融資産市場から問う。

前回のエントリーに対するコメントを戴いたのでメモ代わりにまとめておきます。
@ysnb1さんの日本人と寄付 http://togetter.com/li/404771 より。


●前回の概要

話をまとめると「日本人寄付しないね。カナダ人寄付するね。カナダ人の方が所得高いけど、理由それだけ じゃないよね。日本人て、お金についてあんま考えず、とりあえず貯めるよね。結局、日本人は寄付する金がないか、寄付する事をあんま考えてないんだよ ね。」て事だと読んだ。(ysnb1)

→ comment:市場がないという話です。



●所得≠寄付

日本は、90年辺りを境に景気がガラッと変わってるから、そのせいで寄付をしないという可能性は指摘できるけど、きっと、寄付はその前と後であんまり変わっていないと思う。(ysnb1)

→ comment:そもそも日本で寄付を受ける主体(CSO)が活発になったのが阪神淡路大震災以降だからデータが取れないんですよね。



●寄付の歴史

考えてみたら、寄付って、昔はお坊さんにするものだったんだよね。その時は、農民は豊かではなかったはずだけど、それでも一定量の寄付があったはずだ。んじゃ、なんでその寄付文化が他に根付かなかったのかというと、それは、「村社会」だからな気がする。(ysnb1)

→ comment:なるほど。お坊さんというか、地域コミュニティの中心機関であるお寺に寄付することで公共事業が行われる相互扶助形式だったみたいです。



●寄付の仕組み

つまり、「寄付は、強制されてはいないけど、寄付しないとその村で生きるのに、色々と不都合あったんじゃね?」てこと。強制されてはいないけど、強制されているという状態。 じゃ、これを現代に置き換えるとどうなるか。キーが二つで、会社とムード。(ysnb1)

→ comment:ほうほう。アレですね、小学校のトイレでうんこできない…みたいなソフトパワーが働いているわけですね。



●会社というコミュニティ

今は、村社会ではなく会社社会。会社の為に、みんな命すら投げ出す。例えば、会社で、「我が社も社会貢献しないといけないから、自由参加で、給料から500円天引きしてそれを寄付に充てよう」だったら、割と参加する人はいると思う。(ysnb1)

→ comment:これはナイスだと思います。損保ジャパンがまさに同じことをやっていて、今年度は5800万円の寄付を集めているようです。



●寄付するムード

次にムード。大地震の後は、「何かしなきゃ」ムードがあった。地震を発生させるわけにはいかないけど、何らかの方法で、「私も寄付しなきゃ」ムードを作り出せれば、勝ち。正直、ご飯と女の子とパチンコの事しか考えていない人には、寄付の重要性とかもろもろは理解出来ないし、させる必要もない。(ysnb1)

→ comment:例えば介助犬の映画がヒットした年は、他の年に比べて何倍も寄付が集まるようです。ただ、ムードの低下と同時に翌年以降は例年通りとなってしまう+ムードに乗じた募金詐欺の多発という問題点も指摘されています。

→ comment:クラウドファウンディングのような枠組みの上で、キャンペーンとしてより多くの寄付を集める取り組みは必要だとは思います。なので、ムードを活かす枠組み・より多くの人に寄付してもらうハウツーを作るのは必須でしょうね。



●その他

1:あと、休眠口座はちきりんさんが指摘して割と有名だけど、他には、相続のアテがない遺産とか、そういうものを掠め取るのも大事だと思う。(ysnb1)

→ comment:休眠口座・遺産は寄付よりも財政に直結すると思います。そこを民間が好き勝手にやってしまうのはむしろ危険かなと。


2:でも日本て、金出す割に発言力がないよーな気がするけど、外交のコミュ力どうなってんの?(ysnb1)

→ comment:コミュ力というか内容の問題だと思いますが。自国の利益を獲得するための外交戦略・方針がブレている印象は受ける。あくまでも大手メディアの報道を軽く視聴する限りではね。


3:これは適当なアイデアだけど、東洋経済あたりが、「役員の寄付金額ランキング」とかやったら面白いかもね。(ysnb1)

→ comment:どうなんでしょうね。それで寄付が増えますかね。むしろ税制を変えることで役員が寄付した方がお得な仕組みにするほうが効果的じゃないかな。



●まとめ

・ハード面:寄付を選択する環境(≒市場)を整えるのは重要。
・ソフト面:選択せざるを得ない状況を作り出す→コミュニティ、ムード。

・コミュニティ:生活の中心となっている場所にシステムを導入する
(=会社で給料から500円を差し引く、など)

・ムード:寄付しなきゃ!と思わせる状況を作る/演出する
(=キャンペーンやイベントなど?)

正確には対応するわけではないのですが、キャンペーンやイベント=前回記事での前半部分「貢献意識」で、会社=前回記事での後半部分「市場を作る」に近いのかなと思います。

んで、前回エントリーで後半を強調したのは、この「会社で給料から500円を差し引くシステムを導入する」「役員が寄付したくなる仕組みを作る」といった部分がかなり強力な力を持つのではないか、と伝えたかったからです。


少し議論が整理されたかな。こうやって意見を出し合って話を収束させていくと、いい感じに落としどころへまとまっていく気がします。ディスカッションは好きです。

続く。

2012/11/07

「日本に寄付文化が根付かない」を金融資産市場から問う。

しばしば、日本には寄付文化が根付いていない、と指摘されます。その意見自体は間違っていないと思うのですが「だからダメだ」という非難だけで終わるのは非生産的だと思います。そこで、ひとつファイナンスの視点から考えてみました。


対象:
日本の寄付問題に関心のある方
ファイナンスの学習者

主張:
政府や金融によるソリューションを推進すべきではないか。

注意点:
私個人の見解であり、所属する組織・団体とは無関係です。
経済用語が多用されているため読みにくいかもしれません。



内容  1:寄付問題とは何か
 2:啓発について
 3:経済的インセンティブについて
 4:なぜカナダの募金が活発なのか
 5:まとめ






(c) .foto project





先日、某ベトナム料理屋でWWF(世界自然保護基金)ESD-J(「持続可能な開発のための教育の10年」推進会議)のインターン生たちと「日本の寄付文化」について議論しました。曰く、外国に比べて日本では寄付が活発ではない、とのこと。そこで少し考えたことをまとめてみました。





【1:寄付問題とは何か 】

そもそもの発端がこちら
>『会員が少ない ― 欧米から問われること』(WWFジャパン):環境goo
http://eco.goo.ne.jp/work/npo/vol08/02.html

要約すると
1:世界自然保護基金(WWF)では会員になることで定期的に寄付を行う
2:日本では2005年度末の時点で会員数が2万人(国内では大規模)
3:カナダでは会員数が5万人(人口は日本の1/4)
4:世界と比べて日本では寄付文化が未熟・市場が無い
とのこと。

そこで、日本に寄付文化を根付かせるにはどうしたらいいだろう?という話になったわけです。んでんで思考アプローチの手法としては2通りあるんじゃないかなーと思います。

1つは「文化を根付かせる」→「啓発しよう!」という王道手法。
2つは「なぜ個人は寄付しないのか?」→「経済的枠組みで考えよう!」という手法。





【2:啓発について】

まず、前者について。「皆が寄付するように啓発しよう!」ってことで、様々な団体が様々な取り組みをしていますよね。少しずつでもその量・質をアップグレードしていくことで、徐々に浸透していくはずです。

ここで、対象として「社会貢献に積極的な上位20%」「興味はなくもないけど積極的ではない60%」「全く興味ない下位20%」の人々を仮定してみます。上位群は自主的に調べているので、何らかの企画を打てば反応してくれる。この生命線をコンスタントに獲得するのが既存の取り組みの大事なところ。

当然ながら下位20%は何をやっても反応しない。というわけで、真ん中の60%をいかに巻き込むかが今後の課題ではないかなーと思っています。いわゆるチャリティーイベントがその代表例でしょうか。飲み会に参加するだけで参加費の一部が途上国に!みたいな。

ただ、理想としては下位20%が募金してもおかしくない仕組みを作ることですよね。例えば、空港に募金箱を置くことで、両替できない小さな外国貨幣を「持っていても仕方ないか」と募金する。邪魔な小銭を片付けられるので、むしろ効用プラスかもしれない。

こういう考え方に基づいた取り組みは、色々とアイデアは出てくるでしょうし、やりがいもありそうです。今後さらに盛り上がっていくんじゃないでしょうかね。手前味噌ですが私が台湾で先日行ったプレゼンテーションでも、この「積極的ではない人を募金に巻き込むビジネス」を提案させていただきました。絶対面白いと思うんですよね。







【3:経済的インセンティブについて】

次に、後者について。「なぜ個人は寄付しないのか?」を日本の経済から考えてみたいと思います。

前提として、満足感購買説(寄付を行う理由=「自分は社会貢献に関わっているんだ」という満足感を買っている)という考え方は置いておきます。これは啓発の議題に対応するからです。また、計測も困難です。

なので、もう1つの理由=「寄付控除や企業のイメージアップに繋がる」という点、つまり経済的なインセンティブの観点を考えてみたいと思います。(ここでは企業ではなく個人の話を念頭においているのでイメージアップ云々は当てはまりませんが)

※日本でも認定NPOへの寄付控除があるので、
知らなかった人はこの機に覚えておいて下さい。

寄付控除とは?:税金基礎知識
http://www.taxguide.jp/contribution/

寄付金控除を受けるには|寄付サイトGiveOne(ギブワン)
http://www.giveone.net/cp/pg/article/TaxPage.aspx

ここで私が言いたいのは、単なる善意だけではなく「経済的な性質を持つことでマーケットが生じている」という側面が事実としてある、ということです。んで、経済という側面から募金を考えると、「カナダが日本よりも寄付が活発」な理由が見えてきます。





【4:なぜカナダの募金が活発なのか】

①1人当たりGDPが、日本<カナダ

WWFの記事に合わせて、2005年の国民1人当たりGDP(購買力平価で換算)を見ると、日本 30.773ポイント に比べて、カナダ 34.091ポイント とやや高くなっています。

[PDF注意]国際比較で見る1世帯当たりの資産と負債
http://www.nli-research.co.jp/report/econo_report/2007/ke0706.pdf
※ちなみに最近だとこんな記事も。
→カナダの平均世帯収入がアメリカを上回る:シングルマザーMBA留学&起業 in バンクーバー
http://ameblo.jp/shinecanada/entry-11318236044.html

ただ、「決定的な差ではない」「購買力平価説に対する反論もある」「平均ではなく中央値を使うべき」「GDPではなく可処分所得を用いるべき」「単年度のデータだけでは立証できない」とツッコミどころ満載なんですよね。すぐにデータが見つからない+加工するの面倒なので勘弁してね。

いずれにせよ、GDP世界3位・人口がカナダの4倍(1億2000万人)の国家レベルだからと言って、必ずしも個人が募金しやすい状況かというとそうではないと思うんですよ。だから、外国と比較して嘆く、というのはどうなのかなーと思っています。

ついでに言うと、消費税はともかく、日本は多種多様で豊富な税金で所得を減らされるわけで。GDPの多くが企業の自己資本に行ってしまうわけで。資金循環が貯蓄→銀行→国債に集中して経済成長の見通しが悪いわけで。その一方で、政府のODAは大きいわけで。ホットな話題を挙げれば世界銀行への拠出額は2位なわけで(*IMF世銀総会の前週にこの文章を書きました)。むしろこれで会員2万人はすごいんじゃ…。

まぁ、それはカナダも同じか。物価は商品ごとに結構違うようですし、仕事環境も色々と違ったりするようです。本格的に分析するなら、どういう変数を選んで比較するのがベストなんでしょうね。

海外生活の現実 カナダの良いところ
http://kaigailife.blog94.fc2.com/?mode=m&no=16

海外生活の現実 日本とカナダ 会社員の違い
http://kaigailife.blog94.fc2.com/blog-entry-25.html

カナダの経済 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%8A%E3%83%80%E3%81%AE%E7%B5%8C%E6%B8%88



②日本=個人が金を貯蓄に回すシステム

自分である程度稼いでいる方で、資産や節税に関心のある方なら、さきほどの寄付控除に興味を持っていただけたと思います。ですが知らない方も多かったのではないでしょうか。そもそも資産についてあまり考えていないんじゃないかと思うのです。

コンビニで飲み物を買うようには募金できない理由がここにあります。つまり、財・サービスを獲得する手段としての「消費行動」(B/Sの変化)に対して、資産そのもの・お金そのものへの扱い(P/Lの変化)があまり意識されていないのではないか、ということです。「お金」について考える機会が少ないから、必然的に寄付というある種ファイナンス的な行為が疎遠なのかなと。

ちなみに、個人金融資産の内訳国際比較を見ると、日本は貯蓄56%でカナダは27%と倍近い差があるようです。また、日本だと1000万円を超えた分を現金・貯金以外に変える(他の資産に変えることで節税する)特徴があるので、ほとんどの人は貯蓄+保険/年金だと考えていいでしょう。

世界の個人金融資産の内訳比較
※日本とカナダでデータ年度違うからそこまで信用しない方がいいかも
http://rh-guide.com/data/kojin_sisan_hikakuworld.html
日本人の資産についてはこちら。
※読んだの2年前だからあやふやだけど確かこの本です。
交響する社会―「自律と調和」の政治経済学

つまり、日本人はそもそも「お金=生活費+趣味その他+将来のために貯蓄しておくもの」っていう考え方なのではないか!「寄付文化がない」という言葉はそこに帰結しうるのではないか!という意見です。社会貢献な方々は寄付しないと嘆いて、経済な方々は投資しないと嘆いてますし。貨幣貯蓄が全資産の50%を超えているの主要先進国で日本だけですからね。

原因を挙げるとすれば、20年前のバブル崩壊で株・土地に対してマイナスイメージが定着したこと、高利率での貯金→財政→公共事業という強力な仕組みがあったことではないでしょうか。あと、資産運用や投資信託が悪いイメージを持っていますよね。blogで資産運用というキーワードを使うと怪しさ満点ですからね。日本人はリスクを徹底的に回避してますね。セーフティネットがないと指摘されていますからね。

でも日本に限らず、リーマンショック以降は世界的に安全資産に逃避する傾向はあるんですよね。なので、最近のカナダのDonation事情に何か変化があるのか見てみたいところです。それとも文化・傾向を無視するくらいの税制が整っているのかな。





【5:まとめ 】

以上のように、経済構造から寄付問題を分析すると、

・個人の手元に寄付するだけのお金があるのか?問題
・個人がお金を購買以外に使う環境が整っているのか?問題

に大別されます。



だって、宝くじで3億円が当たって調子に乗ってるとしましょう。そんな時に、可愛い女の子が「募金して下さい!」って言ってきたらどうしますか。男なら札束を募金箱にぶち込みますよ、ええ。つまり、手元にお金があれば寄付するんです。

んでんで、宝くじはほとんどが税金で取られるという話を聞きますけど、仮に一部を寄付したほうが税金で取られる金額よりも低く抑えられるのであれば、9割以上の方は寄付を選びますよね。お金を寄付に回す環境(=市場や社会制度)が整っていれば、人々は選択できるんです。



では、どう解決したらいいか。

1:個人の手元に寄付するだけのお金があるのか?問題

=雇用・賃金問題。まさに世界共通の課題です。
=日本については投資活性化・成長戦略を進めるしかないのかなと思っております。

2:個人がお金を購買以外に使う環境が整っているのか?問題

=今後「ファイナンス×社会貢献」の取り組みが盛り上がっていきそうです。
=少なくとも「寄付」については市場が拡大していくんじゃないですかね。

酒造ファンドとか環境ファンドとか、被災地支援の基金とか色々ありますからね。まだまだニッチな分野もあるはずなので、むしろどんどん立ち上げる勢いでいたいですね。アイデア次第で色々と出来るのではないでしょうか。



後半やや説明が長くなりましたが、これを読んで

「社会貢献って大事!」
「私は自然が好きなだけです!お金の話はするな!」
「政府の役割とかwww 興w味wなwいwかwらw」

と言ってる方々に、政策とか金融という観点も実は大切なんだよー、ってことを少しでも感じていただければと思います。

続く。

2012/11/04

ゆずたそ流 "吉野ゼミ" 攻略ガイド・下

引き続き、独断と偏見に基づく吉野ゼミガイドです。


対象:
慶應義塾大学の1-2年生で入ゼミを考えてる方(主に経済学部)

紹介するゼミ:
吉野直行研究会(金融・計量経済・マクロ)
http://seminar.econ.keio.ac.jp/yoshino/indexnew.html



内容  ①どんなことを学んでいるか
 ②教授はどんな人か
 ③学生はどんな人たちか
 ④ゼミを決めるにあたって
 ⑤入ゼミ試験に向けて ← here!!



【⑤入ゼミ試験に向けて】

個別のゼミ説明会に参加したり先輩に聞かないと教えてくれない情報が何点かあります。んで、それを知っているかどうかが、合否に繋がるかもしれません。私はギリギリまで知らなかった…。

・変更される可能性があること
・独断と偏見に基づいた情報であること

この2点にご注意下さい。
試験概要や変更は公式ホームページできちんとチェックして下さいね!


[試験内容] マクロ・ミクロ・統計・英語(すべて記述)
[注意事項] 志望理由書がきちんと読まれることはない。多分ね。
[持ち込み] 自由。事実上、持ち込んだものを読む時間はない。確認程度に。
[評価方法] マクロでA〜D、ミクロでA〜D、統計+英語でA〜Dの評価が付く。

[合否判定]

・1つでもDがあれば足切り。
・公式見解ではないが、どれか1つでB以上を取れないと足切りの説あり。
・足切りされなかった人が多ければ面接or追加試験。

→面接:学力試験の回答を見ながら質疑応答。ミスをカバーするチャンス。
→追試:マクロかミクロの問題が即席で黒板に書かれる。過去問と同じノリ。

[難易度]

慶應経済ではトップだけど、対策すれば受かる。
努力と結果が比例するという意味では簡単かも。

[推奨テキスト]

試験攻略新経済学入門塾 1 マクロ編 (1)
試験攻略 新・経済学入門塾〈2〉ミクロ編
試験攻略 新・経済学入門塾〈3〉上級マクロ編
試験攻略 新・経済学入門塾〈4〉上級ミクロ編

合格者の多くがこのテキストを使っています。
分かりやすい言葉で基礎を理解できる仕様です。

[対策]

①テキストを通読。とりあえず理解する。

②必要に応じて学習・確認しておく。
マクロ:AD・AS分析、ミクロ:コブダグラス関数、ラグランジュ乗数法は必須。
→オススメは『弱点克服 大学生のミクロ経済学

③統計学で穴があれば埋めておく。
→オススメは『統計学基礎講義

④過去問をひたすら解く(HP上に20年分アップされている

→調べながらでも、きちんと自力で解答を導出する。
→良問が多いので解きながら理論を使いこなせるようになる。
→問題集を解くよりも効率的に理論練習・試験対策を行える。

→20年分もあるので惜しまず使うべし。
→近年の傾向があるので新しいものから解いた方が良い。


※問題のパターンは限られているので要領の良い人ならすぐにコツを掴めるはず。私は3年分解いた段階で読めたので後はその3年分を色々な角度から検討してた→実際に出て来た問題もほぼ予想通りのところですた。


まぁ、これはあくまでも私のやり方です。周りの人を見ると、ほぼ全員が20年分を解いているし、さらに3周したという人もいる。それだけやれば99%受かりますわ。基本的に「過去問を解けば解いただけ受かる確率が上がる」とは思います。なるべく早いうちから、なるべく多く、なるべく濃く、過去問に触れたもの勝ちですね。





こんな感じっすー!
あくまでも私個人の独断と偏見に基づいた情報ですのでご注意下さい。


「何から始めたらいいか分からない」という方は、とりあえず…

①上記の教科書を見てみてはいかがでしょうか。標準的なテキストなので、一通り読んでおいて損はないはずです。マクロ・ミクロの単位が不安な方、授業の聞き漏れがある方は通読必須です。

オープンゼミ、説明会に参加してみてはいかがでしょうか。先輩10人に話を聞けば10通りの答えが返ってくると思います。モチベーションや雰囲気を掴む意味でも参加しておいて損はないはずです。

③情報収集してみてはいかがでしょうか。吉野研究会ホームページや公式twitterアカウント(@yoshinozemi2013)ではゼミ試験を受ける1、2年生向けに最新情報を提供しています。ぜひチェックしてみて下さい。

他にも何か相談したいこと・聞きたいことがあれば気軽にコメント欄かtwitter(@yuzutas0)で声をお掛け下さい。私で答えられることなら答えますし、他のゼミ生に投げかけることもできます。可能な限り力になりますので!



途中で書いたけど、吉野ゼミの人は「やることをしっかりやってる」ところがあって、その姿勢に少なからず学ばせてもらってます。なのでまぁ、普段なかなか同期・先輩に恩返しできていない気もするので、後輩になるかもしれない方向けに情報を発信してみました。

少しでもお役に立てれば幸いです。
おわり。

ゆずたそ流 "吉野ゼミ" 攻略ガイド・中

前回に引き続き、独断と偏見に基づく吉野ゼミガイドです。


対象:
慶應義塾大学の1-2年生で入ゼミを考えてる方(主に経済学部)

紹介するゼミ:
吉野直行研究会(金融・計量経済・マクロ)
http://seminar.econ.keio.ac.jp/yoshino/indexnew.html



内容  ①どんなことを学んでいるか
 ②教授はどんな人か ← here!!
 ③学生はどんな人たちか ← here!!
 ④ゼミを決めるにあたって ← here!!
 ⑤入ゼミ試験に向けて





合宿にて photo by ありさ





【2:教授はどんな人か】

んーと、お茶目です。めちゃくちゃ頭が良いですね。有識者の方々同士で繋がっていることもあり、色々と貴重な情報を提供してもらえます。

経歴→
http://www.rieti.go.jp/users/yoshino-naoyuki/index.html
http://k-ris.keio.ac.jp/Profiles/0030/0006235/profile.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%89%E9%87%8E%E7%9B%B4%E8%A1%8C

英訳(例文が…)→
http://ejje.weblio.jp/content/%E5%90%89%E9%87%8E%E7%9B%B4%E8%A1%8C

放送大学での授業:社会と銀行(’10)→
http://www.ouj.ac.jp/kamoku/detail/1837320/



あまり個人的なイメージで語っても仕方ないので本人の言葉が載った記事を読むのが良いのではないでしょうか。時々テレビや新聞に出ていたりするのでチェックしてみてください。

MANABI.st:英語仕事人に聞く
http://manabi.st/n/yoshino.php

第5回日経STOCKリーグ記念講演「これからの資産管理~日本と海外の違いから~」
http://manabow.com/sl/result/5/ceremony/lecture.html

このままでは日本はIMF管理下に - 三万人のための総合情報誌『選択』
http://www.sentaku.co.jp/interview/post-1552.php

大和総研 / 内需主導に向け、中国は為替レートの制限緩和と需要拡大策が必要
http://www.dir.co.jp/souken/research/dialogue/15_20120706_1.html

社債市場整備で日本経済の衰退を阻止|FNホールディング
http://www.fng-net.co.jp/itv/2010/100628.html

日本国債への投資余力「まだある」 | Reuters
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-38663420090622

地域金融の未来図 地域応援のファンドを
http://www.qbiz.jp/article/3592/1/

切り売り超えた発想の転換を:日経ヴェリタスセレクト
http://s.nikkei.com/Si6Mvb


授業中にお喋りをするひとや遅刻する学生をdisります。下の3割の学生はどうしようもない奴らだ…みたいな感じで。たまにトンでもないことを言い出したりします。年金問題は老人が全員死ねば解決するとかw(注:もちろん本心から願っているわけではなく、財政システムが人口構造に依存していると解説するために極端な例を出しただけです)。ただ、学生からの声として「このひとの授業を真剣に参加すれば相当実力が付く、ためになる」という点で、ほぼ一致している感じですね。

個人的には、夏合宿の食事中に「状況が変わっていくから経済は面白い」という話を聞いて、好奇心というか知的欲求みたいな面でシンパシーを感じました。どんな形であれ「経済」に少しでも魅力を感じているなら、どこかで合うと思いますよ。

最初の授業での教授のお話をまとめたものがこちら。
→教授の言葉 "学生が注意すべきポイント3つ"
http://yuzutas0.blogspot.jp/2012/04/3.html





【③学生はどんな人たちか】

<生活面>

優しい。マジで優しい。コミュ障の私を誕生日パーティーに誘ってくれるくらい優しい。サークルに呼んでくれるくらい優しい。つまらんギャグでも笑ってくれるくらい優しい。

<勉強面>

代表・副代表を初めとして勉強熱心な方は多い。メーリスで勉強の機会・情報が流れてくれば、誰かしらそれを活かして学びのチャンスを掴んでいる気がする。

例えば、23期代表は他の学生より1年早くERE(経済学検定)や公務員試験を受けて結果を出してる。彼が面接に受かったのは50%くらい私のアドバイスだと思ってるけど←

<その他>

あと、やっぱり「やるべき努力を怠らない」人が多いイメージ。野球部が3年間毎日素振りをするような、そういう力強さがある。この点についてはめちゃくちゃ尊敬してます。

ただ、イケイケで議論をするような空気ではない。色んな学生が集まっていて、それぞれが良いものを持っている割に、積極的に表に出す機会は少ないと思います。金子勝ゼミの友人が毎週ディスカッションをしている話を聞くと少し羨ましい気持ちになることも。





【④ゼミを決めるにあたって】

自分で考えて自分で決めるのが一番良いと思います。「こうやって決めた方がいいよ」みたいな意見は先輩だろうが他人の意見なので。

とりあえず吉野ゼミの特徴というか、空気はこれまでの文章で掴めたはず。まとめると「頑張ろうと思えばいくらでも頑張れて学びに繋がる」「そこまで頑張るつもりがなくても、周りに影響されて、やるべきことを最低限しっかりとこなせば気付いたときには力がついている」環境ということですね。良い環境だと思いますよ。


ちなみに私がゼミを決めるに当たって用いた基準は以下の通り。

・入試を通して総復習ができる(せっかくのテストなので勉強に利用しようかと)
・面接がない方がベター(ゼミ員面接で友達がいたらネタで叩き落されそうw)
・成績が見られない方がベター(叩き落とされるw)

・定量的な視点を獲得できる(日吉時代に定性面だけの議論に限界を感じた)
・これまで好きではなかった分野=金融を学べる(好きな分野は自分で勝手に勉強する)
・スキルとして専門性を身につけられる(計量分析やファイナンスは実務に応用できる)
・経済理論をツールとして使えるようになる(経済学部を卒業するからには…!)
・なるべく多くの分野に応用できる切り口だとベター(社会問題を分析→解決したい)

あと、仮に落ちても吉野ゼミの対策をしておけば、他の試験には十分対応できるのも魅力でした。少なくとも学力試験であれば全ての範囲をカバーするわけなので、あとは面接なりレポートを対策すればいいかなと。

まぁ、いくつか項目を分けて、得点を付けていって最終的に吉野ゼミに決めた感じです。逆に基準から棄却したのは以下の通り。

・ゼミの雰囲気はどうでも良かった(毎年入る人が違う→判断基準としては不安定)
・特定の分野にはこだわらない(物事は繋がっているから興味分野にどこかで繋がる)
・オープンゼミも行かなかった(どこに行っても魅力的に感じるはず→参考にならない)

こんな感じです。何を選ぶかよりも、選んだ先でどうするかの方が重要だと私は考えているので、ゼミ選択の段階では心がまったく動きませんでした。なので、完全にロジックを固めて合理的に行動を選択しましたね。

結局は1人1人の考え方次第です。自分なりに色々と考えて結論を出せばいいんじゃないでしょうか。



続く。
次はゼミ試験についてです。

ゆずたそ流 "吉野ゼミ" 攻略ガイド・上

論文が一区切りついた記念に、ゼミをPRしておこうと思います。
というわけで以下、独断と偏見に基づく吉野ゼミガイドです。

対象:
慶應義塾大学の1-2年生で入ゼミを考えてる方(主に経済学部)

紹介するゼミ:
吉野直行研究会(金融・計量経済・マクロ)
http://seminar.econ.keio.ac.jp/yoshino/indexnew.html



内容  ①どんなことを学んでいるか ← here!!
 ②教授はどんな人か
 ③学生はどんな人たちか
 ④ゼミを決めるにあたって
 ⑤入ゼミ試験に向けて



【1:どんなことを学んでいるか】

●経済指標

いわゆる株価とか為替を分析します。ニュースから経済の動きが分かるようになるので、世の中を見る力を養いたいという方には勉強になるはずです。

例えば、本日11月1日は国内の株価が上がりました。しかし、4-9月期の業績発表では「予想していたよりヤバいっすわ!」という会社が多い。なぜ業績が悪いのに株が上がっているのでしょうか。


答えの1つは、中国経済が回復しているからです(他にも要因はあります)。1日に中国製造業PMIという指標が発表され、経済が改善されつつあることが分かりました。なぜ中国経済の回復によって日本の株価が上がるかと言うと、

①中国と取引している輸出企業の業績がこれから改善していくから
②中国に工場がある企業の業績がこれから改善していくから
③中国への投資が増えて、相対的に日本への投資が減るので、日本円が円高から円安方向に向かうから(円安だと輸出産業の業績が良くなる)

しばしば「中国の経済が熱い!」と言われますが、その一方で、一人っ子政策による少子高齢化問題、地方と都市部の格差、人民元の為替レートといった政治・社会問題も多々あり、経済の失速として現れていたのです。


こういった指標・ニュースから社会を読み解く、というのを、担当を交代しつつ毎週やっています。1つ1つの発表は聴く方も話す方も作業ゲーなんですけど、これをコツコツ続けると自然と力がついていくとか。

というわけで少し前からひっそりと自分でも続けてます→
経済日記 (id:yuzutas0 / @yuzutas0) http://d.hatena.ne.jp/yuzutas0/



●輪読

教科書を輪読します。経済指標や論文に必要な知識を吸収するために、海外の分厚い教科書を、毎週読みます。意外と分量あります。んで、その週の担当者が内容をレジュメにまとめて解説します。

主に「計量経済学」「国際マクロ経済学」「金融論」あたりがメイン。ただし、ミクロ経済学の応用や企業・個人のファイナンス理論も使うので他の授業や自習で補っておいたほうがいいかもしれません。

ちなみに私はこの輪読が一番嫌いです。日本語でポイントだけ解説した参考書で手早く学ぶほうが効率的だと思ってるからです。基礎知識を付けて議論を重ねる→分厚いテキスト、の順序が一番吸収率が良いと思うんですけどね。まぁ、英語に触れる・経済学に触れる絶対量を増やしたい学徒には最高に向いていると思います。やればやるだけ実力が身に付くのは間違いないので。



●サブゼミ

まず、3年前期は計量分析を学生たちだけで勉強します。論文を書くに当たってデータの裏付けが必要となるので、その扱いに慣れるためですね。教授はかなり数字にこだわるので、定量的な視点を獲得したい人にも向いていると思います。

定量的な視点って何ぞや、という方。日本の未来について考えてみて下さい。少子化ですよね、高齢化ですよね、人口は減っていきますよね、税(収入)は下がっていきますよね、社会保障費(出費)は上がっていきますよね、労働者が減るのでGDPも上がる見込みは弱いですよね、となると借金(国債)が増えていきますよね。これ、どうします?

そこで色んなアイデアは出てくると思うんですよ。色んな切り口から問題点も指摘できるでしょう。でも、きちんとした回答に至るにはどこかで「数字」が必要なんですよね。人口はどれくらい変わるのか。税収入は?社会保障費は?国債残高は?GDPは?そういうのを考えるのが定量的な視点です。机上の空論を避けるために数字に基づいた議論をしなければいけないわけです。

私が「数字」の重要性を意識したきっかけは募金です。街頭募金ってあるじゃないですか。あれ、社会に良いイメージありますよね。でも、もし10人のボランティアスタッフが駅前で3時間、募金を集めて11,900円集めたらどうでしょう。これ、その時間にバイトして10人×3h×¥800=24,000円稼いだ方が良いんじゃないか…という考え方もできると思うんですよ。

もちろん、この考え方には異論反論の余地はありますが、その場合でもやっぱりどこかで数字に落とし込まなければいけないはずです。分野を問わず、何か問題を解決したいとき・しっかりと考えたいとには「数字」が必要になってきます。金融は、常に数字を意識しなければならない分野なので、定量的な視点を習得するには恰好の素材と言えるでしょう。



●論文

3年生なら三田論、4年生なら卒業論文、修士なら修論ですかね。それぞれゴールを持った上で、パートに分かれます。それで論文を書くわけなのですが、授業中に時々、教授から課題が投げかけられます。

経済指標・ニュースや輪読の最中に、教授が「いま現実社会でこういう問題があって、この人たちが頭を抱えている」と問題を提起します。そして「どうしたらいいか」と意見を募ることもあれば、「この分析をやってほしい」と投げかけます。


例えば、投資信託がなかなか売れない、という問題。消費者がお金を預けて、運用会社が成功すればその分、預けた人が儲かる仕組みです。消費者はリスク最小・リターン最高にしたい。運用会社は運用に失敗すれば損をする。その一方で、消費者に金融商品を売り込む中間業者は投資の成功失敗に関係なく手数料を獲得する、という構造になっています。

するとどうなるか。中間業者は投資の結果でダメージを受けないので質の悪い商品を売る可能性が出てくる(少なくとも消費者はそう思ってしまう)。では、どこをどう変えたら解決するか?

答えを考えるには、この3人の登場人物(消費者、運用会社、中間業者)それぞれが効用最大化となる行動を取る構造をミクロ経済学のモデルに落とし込みます。その上で、数式をどう変化させたら上手く回るのかを考えなければいけません。


こういう分析を唐突に投げかけられます。世の中の問題は山積みなので、次々に課題が提示されます。やればやるだけ勉強になるので、せっかくの大学生活なのだからしっかりと学習したい!という方には最高の環境ではないでしょうか〜。




大体こんな感じのことをやっております。

金融をテーマにして、常に「現実で何が起きているのか」「その原因は何なのか」「どうやって対処すれば良いのか」を考えさせられる研究会なのです。問題を分析・解決できる人間になる訓練が詰まっていますね。

他にも、経済学検定試験(ERE)や政策提言コンテスト(ISFJ)に参加して、チーム対抗戦みたいなことをやったり。教授が主催する国際会議にお邪魔させていただいたり。飲み会、バーベキュー、カラオケ、ソフトボール大会、テニス、レンタカーで遠出、誕生日パーティー、動物園などリア充っぽいことも。

ここに挙げたのは一例に過ぎません。どこのゼミにも言えることだと思いますが、自分たちの工夫次第でいくらでも面白いことができます。


続く。

2012/10/27

良い文章を書くために心掛けること。


じゃかるた新聞で働く友人に、良い文章を書くためのアドバイスをいただきました。とりあえずはブログに活用することを想定した内容ですが、色々と応用が効きそうです。


●1:ネタを集める。

「これってなんかおかしくないか?」「これってこういうことじゃないかな」みたいなぼんやり浮かんでる事を、手探りで文章にしていく。ネタだけはメモしておいて、あとでふくらます。


●2:書いてから修正する。

文章をとりあえず最後まで書いてみる⇒順番入れ替え、付け足し、削る。こんなプロセスでひたすら書いてみる。削る作業が一番大事。テーマから少しずれるけどこの表現や意見は使いたい、みたいなとこは思い切って削る。


ポイントは「①話題をストック」→「②とにかく書く」→「③修正(順番入替・追記・削る)」で、蛇足は徹底排除!

当たり前の内容かもしれませんが、基本こそ奥義。これを徹底的に継続することで文章が洗練されていくはずです。多くの人が重要だと思ってるポイントだからこそ語り尽くされて、真新しさを感じないんでしょうね。

たまに意識はしていても、徹底し続ける…というのがなかなか難しいわけです。だからこそ、継続し続けた一部の人が「素晴らしい文章を書く」と評価されるのでしょう。



「良い文章を書くために知っておきたい10のテクニック」的な記事を読んで「へー!」と思っても、情報過多で活用できないんですよね。なるべくシンプルに。ポイントを明確に絞って、あとはひたすら実践あるのみです。

終わり。

2012/10/26

石原都知事、辞任表明。

MSN産経ニュースより引用。

> 東京都の石原慎太郎知事は25日、都庁で記者会見し、知事を辞職して新党を結成、国政に復帰する考えを示した。


この1問1問が80歳とは思えないほど力強かったので石原語録をメモしておこうと思います。




●中央政府

「日本の心臓部である東京の問題は日本全体の問題になる。国の妨害にあって苦しい思いをして参りました。これからやろうとしていることは、都知事として14年間やってきたことの延長です。」

「毛沢東が書いた方法論『矛盾論』、目の前にあるやっかいな問題ということだが、矛盾を解決するためには、目の前の背後にあるもっと大きな問題を解決しなければならないと言っている。まさにその通りだ。」

「中央官僚に発想力がないことが欠点だ。ないからこそ自分で責任を持って判断し、解決しようとしない。尖閣の問題でも全て官僚は自分の手で解決しようとしない。こうした通弊を変えなくてはならない。」



●会計制度と財政再建

「また、国の会計方式は単式簿記だが、なぜ複式簿記にしない。なぜかほとんどの自治体も入れていない。外部監査を入れればいい。そういうことをどうして役人がやらない。バランスシートがない。財務諸表がない。健全な財政ができるわけない。」

「東京は複式簿記で合理化し、財政再建をした。何で同じことを国がやらない。会計方法を世界並みに変えたらいい。ちゃんとしたバランスシートもない先進国は日本だけだ。」

「国は会計制度もやり直して、外部監査を入れたらいいじゃないですか。公認会計仕入れて、やらしたらいい。性根を据えて、地方の役人と戦っていかないといけない、そうでないと窒息死すると、辞任を決心しました。」



●日本の多様な問題

「それから、たとえば文部科学省。ゆとり教育はどうなったか。たちまち学力が落ちた。私立は全く(文科省の)いうことを聞かなかった。自分の犯した過ちを文科省が取り消しましたか。」

「厚生労働省。子供が減って、都会で幼稚園作ろうと思ったら(東京の地価では)べらぼうな値段になる。(民間が)もてあましてる資産もあるから、そこで子供を遊ばせようと動いたら、猛反対を食った。一切、役人は現場を見ない。こういう行政が続いている。」

「私が代議士のころから、横田の基地の問題がある。アメリカ軍に占領される形でもある。何で活用できないんですか。(官僚は)『国防総省だけは刺激しないで』という。タブーってのはいろいろあるんでしょうな」
「(こうした問題は)国民全体のためになることだ。国民や市民を、国は全然無視。私はこれは限界に来たなと。私はいい年ではありますけども、中央集権を削除しないと受け入れられない。」



【石原知事会見詳報】 - MSN産経ニュース

(1)辞任を表明「新党を作って、仲間を作ってやろうと思って」 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121025/stt12102515210009-n1.htm

(2)発想なき中央官僚の独善 会計制度を世界並みに
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121025/stt12102515530016-n1.htm

(3)教育、子育て、会計制度…石原知事、持論を展開「国民へ最後のご奉公をしよう」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121025/stt12102516260017-n1.htm

(4)「猪瀬さんで十分」 後継者に副知事を“指名”
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121025/stt12102516430018-n1.htm

(5)新党での役職は「代表」 連携相手は明言せず
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121025/stt12102517090020-n1.htm



勉強不足なもので、1つ1つの発言内容については色々調べて検討しないと何とも言えないのですが、エネルギー溢れる言葉だなぁと感心しました。自分が80歳になったときに同じように言える人間でいたいと思いました。

おわり。

2012/09/07

24時間テレビが制作費40億円・募金額2億円だという話。


真偽の検証すらしていないですが、なかなか興味深い話だなぁと思いました。
そもそも私はテレビ自体を近所のラーメン屋でしか見ないのですが。




●ガジェット通信

日テレ24時間テレビの募金額は2億4309万1607円と大幅に下回る ちなみに制作費は40億円?
http://getnews.jp/archives/137204

日本テレビ24時間テレビの番組終了時の募金額は2億8240万4461円 海外番組のようにノーギャラで製作できないのは何故?
http://getnews.jp/archives/245603

●2chまとめ

「24時間テレビ」終了のお知らせ 募金額(中間発表)は、2億8,000万円
http://alfalfalfa.com/archives/5869890.html

外国人も驚く日本テレビの糞チャリティ番組である24時間テレビ 海外ではノーギャラなのに日本では2億円以上のギャラが芸能人達にばらまかれる現実
http://hamusoku.com/archives/7410823.html





これらの情報がすべて事実だったと仮定して考えたいと思います。つまり番組の制作費が40億円で、集まった募金額が2億円強という仮定です。まぁ、もし募金額>制作費ならそこまで面白い話題でもないので。

おそらく多くの方が「その制作費を募金に回せばいいじゃないか」と思うのではないでしょうか。当然ですよね。2億円より40億円を募金に回したほうがソーシャルグッドな感じがします。ただ、この2億とか40億って具体的にはどれくらいの額なのでしょうか。

飢餓の問題を例に挙げてみます。一般に、20円の募金で開発途上国の給食1食分になる…と言われているので、1人の人間が1年間の食事を得るのに必要な金額は20円×3食×365日=21,900円です。よって


2億円 ⇒ 200,000,000 / 21,900 = 9,132.42…

40億円 ⇒ 4,000,000,000 / 21,900 = 182,648.40…


つまり、2億円の募金とは「9千人を飢餓から救える金額」で、40億円の番組制作費とは「18万人を飢餓から救える金額」ということになります。もちろんこの計算では実務費用などは無視していますが、何となくのイメージは掴めたでしょうか。

ちなみに、途上国では5歳未満で亡くなる子供が年間で1100万人(約3秒に1人死亡)だそうです。24時間テレビが放送しているうちに、24時間のうちに2万8千人が亡くなっているんですね。24h=24×60×60=86,400秒を3で割ると28,800になるので。

以上をまとめると

・世界のどこかで3万人の子供たちが亡くなっている24時間のうちに、
・40億円を費やしたテレビ番組が流れて(本当なら18万人を救える金額)
・その番組に感動した国民が2億円の募金をした(9千人を救える金額)

ということになります。何とも飯がまずくなる話。皮肉が効きすぎているというか。





これを要点だけまとめてtwitterで呟いたところ友人からこんな言葉が。

「福祉団体に寄付するらしい募金に協力してしまった」

あー、うん。
なんか申し訳ない気分。

もし上記の文章を読んで「日本テレビは40億円を全て募金に回すべきだ!」と本気で思った方がいたら、ぜひ一度きちんと生産的に考えてもらいたいです。この手の議論はマジメに受け止めすぎるとあまり良くないんですよね…ということを説明したいと思います。

命題「2億円より40億円を募金する方が社会にとってプラス⇒日本テレビは制作費を募金に回すべき」はかなり穴だらけの主張です。



1:寄付以外の価値。

まず「この番組の意義は寄付を集めるだけではない」という反論。番組のコンテンツを通して社会的課題を伝えることはそれ自体でかなりの意義を持つように思います。テレビというメディアの影響力が大きいからです。世帯視聴率1%で16万世帯ほどだそうです。

はたして今の日本に、16万の家庭にメッセージを届けられるNPOってあるのでしょうか。「積極的にこの人の言葉を聞きたい!」と思う人が使うツール:twitterを参照すると、人気の社会起業家でもフォロワーは数万人くらいですよね。テレビで視聴率20%なら320万世帯ですからね。

もちろん、コンテンツに対する批判(例「いかにもお涙頂戴で萎える」「障碍者に対する画一的な価値観を植え付けている」)は必要でしょうし、「16万世帯に本当にメッセージが届いているのかよ」とか「視聴率って統計学的にあまり当てにならないよね」とか色々とつっこめる。あと、社会認知の度合いは数字で表しにくいので、効果測定が難しいんですよね。そもそも本当に認知が必要なのかとか。検討する余地は大きいですが。

ただ、こういった社会認知に対する貢献を無視して金額ベースだけで議論するのはフェアではない、ということは言えるはずです。金額ベースで切り出したのはお前だろって話なんですけど。いわゆる人気ブロガーとかアルファツイッタラーとか記者とかエセ学者とか、誰もがこうした情報編集をやっていますよね。いちいち踊らされないで公平に考えたいところです。てなわけで「反論1:この番組の意義は寄付を集めるだけではない」でした。



2:ゼロか、2億か。

次に「24時間テレビがなければ2億円の募金さえなかった」という反論。先ほど挙げた友人は、この番組を機に福祉団体のために募金したわけです。もしこの番組がなければ2億円が募金として扱われることもなく、普段の消費活動に使われてしまったのではないでしょうか。

40億円もまた同じように、他の番組の制作費などに使われるはずです。たまたまチャリティー番組:24時間テレビとして可視化されたに過ぎません。このお金は24時間テレビがあってもなくても福祉団体に直接渡ることはないのです。そう考えると、2億円の募金が生じただけでも有意義だと思いませんかね。一度のチャリティーイベントで2億円集めるNPOが日本にあるでしょうか。まぁ、40億円支出するNPOもないだろうけど。

いやいや、その40億円を募金に回せばいいじゃないか!という意見もあるのですが、営利企業である日本テレビが事業を行うための予算を無条件で募金するというのも変な話だと思います。しかも40億円。節子それもう財団法人の役割や。株式会社日本テレビ放送網という企業が、自分たちの強みを活かして、ソーシャルグッドなテレビ番組を作り、結果として2億円の募金が生じた。そう考えると良い話になる…かもしれない。

まぁ、この意見にも異論反論山ほど出てきます。ただ、少なくとも「寄付してしまった」と後悔する女性に、正当性を提供することはできるでしょう。つまり「24時間テレビがなければ2億円の募金さえなかった」「困っている人を1人でも救えるのであれば、あなたの募金には意義がある」…これは事実です。効率的かどうかは別にして、2億円が募金になったという意味で、正当性はあるはずです。



3:経世救民だってばよ。

最後に「経済活動=社会貢献」という反論。そのまんまです。制作費40億円は、テレビ制作を通して俳優・スタッフ・関係者に行き渡ります。例えば、下請け会社の社員がボーナスを貰ったとしましょう。いつもは昼食を400円以下に抑えるよう工夫している彼も、今日は機嫌が良い。少し贅沢をしてスターバックスで読書。はい、ここでストップ!

ご存知の方も多いでしょうがスタバのコーヒー豆はフェアトレードです。途上国の労働者が不当に搾取されないように価格調整していおり、コーヒーを頼むことが国際協力に繋がる仕組みなのです。ちなみにスタバと提携を組んでフェアトレードシステムを構築したのはConservation Internationalという国際NGOで、私の勤め先です。(←この機会にCIを覚えてね!今日初めて広報担当っぽいことした!w)

このように、あちこちに社会貢献の芽があるのです。そうでなくとも、所得/貧困や労働問題が先進国の主要課題となっている現代社会においては、経済を活性化させる取り組み自体がソーシャルグッドと言えるかもしれません。大きな仕事が入って、少し財布に余裕ができて、奥さんや子供にご馳走を振る舞って、美味しいものを食べて、みんな笑顔になって、おなかを膨らませたまま布団に入って、川の字に寝て…ささやかですが、大切な人の幸せな生活を守れるのは、やっぱり仕事があるからなんです。

経済学を学ぶ立場からしてみると「経済活動=社会貢献」という図式が成り立つんですよね。人間が幸せになるために資源を分配する。その最も代表的なツールが企業による経済活動なのです。この考え方はNPOやNGOの方々はあまり好まない(立場上肯定できないことが多い)のですが、ある程度の妥当性を有しているかと。

ただ、チャリティー番組と銘打っていいのか?という点はやや疑問。チャリティーライブやチャリティーイベントで出演料を取る音楽家やパフォーマーってあまり聞かないですよね。調べたところ「チャリティー」はまだ曖昧な言葉のようですが、それでも一般で言うチャリティー番組の感覚からすると、出演料を取る経済活動は好まれないのかも。「チャリティーではないけど募金を集めますよ番組」ならOKでしょうか。





●議論のまとめ。

以上3点、とりあえずの反論を挙げてみました。40億円の制作費を募金に回せばいいじゃん!という言葉は、「テレビならではの社会認知効果などを考えておらず、番組がなければ2億円さえ募金されなかったことを比較考慮できず、そして経済波及効果は蚊帳の外だと私は考えています」という意思表明になってしまうのかもしれません。

とは言え、これらの指摘もつっこみどころだらけです。つまるところ、ものは言いよう。それぞれの論点について自分はどう考えるのか、が重要なのだと思います。24時間テレビに賛同する人も、反対する人も、私は否定することが出来ません。色々な考え方ができるからです。「何が正しいか」は解釈次第で変わってしまうので、自分の思ったように / 好きなように行動すればいいと思います。



●最後に…。

福祉団体に届けばいいな。困ってる人の役に立てたらいいな。善意で募金をした友人も、その友人に募金の機会を与えた24時間テレビも、完全に否定することは出来ません。

ただ、私は「社会にとってより良い仕組みを作るにはどうしたらいいか」ということを考える立場の人間なので、そういう人間であり続けたいので、なんとか制作費2億円・募金40億円にシフトできないものかと頭を巡らせているのであります。

うーん。難しいね。
ぜひ皆様のご意見を伺いたいところです。



2012/07/31

流されるだけじゃいかんよな、って話。

昔はあれこれと熱く語る感じだったのですが、どうも考え方が変わって「言うだけなら誰でもできるよな」と思うように。そのうち大して意見表明をしない人間になっていました。

ところが先日の滋賀県のいじめ問題をめぐる言説を見ていて「いじめたやつらにも責任があるけど、見てみぬふりをしているやつが俺は一番気に食わない」という言葉に衝撃を受けました。

なぜかというと、私もそう思うから。だけど「思っていても言わない」「意見を表明している人々を支持しない」「それどころか冷ややかな目で見ている」…そういう自分自身を顧みて、いじめを見てみぬふりする人々と同じなんじゃないのか?と思うようになりました。

叫べばいいかというと、そうではないけれど、いつの間にか自分も洪水に流されてしまっているんだなぁとショックだったのです。行動が伴っていようがいまいが、説得力があろうがあるまいが、誰かが何を叫んだ時に、一緒にバカやれる自分でいたいなーなんて思ったり。

「(いじめを止めるよう)言ってもムダだから」
「(理想を実現しようと)語ってもムダだから」

って同じじゃね?

現実分かってる俺かっこいいー!ってか。
いやいや、超ださいじゃん。

ケンカ弱くても、力がなくても、内心びびっても、そこで一言を伝えられるかどうか、ってすごい大事なことなんじゃないかな。

まぁそういうわけで、もう少し僕もバカになってみようと思います。 思考力?…小さくまとまるための思考力なら放棄しろよ、とか。 問題が多い?…お前の頭脳は何のためにあるんだよ、とか。 それくらいの生き甲斐で行ったほうが楽しそうだなと。

100人が右と言っても、左が正しいと思ったなら迷わず左を選べる自分でいたいわけです。独立した心がある人間だからね。そんだけ。

2012/06/28

歩く黒歴史。

こんにちは。歩く黒歴史です。
まぁ色々と言いたいことはあるのですが、とりあえず聞いてくれ。


まず、1点目。


ゆずたそ流GD必勝法という記事を少し前に書いたんですけど、あれはダメだ。致命的な欠陥があることを思い知らされました。(そもそも上から目線すぎて失礼。他の人間に勝手に自分を規定されたらむかつくよね。)

その必勝法では、基本的に「解決すべき課題は何か」「チームメンバーがどうしたら満足するか」の2点を観察して「どういう段取りで進めるか」を考え、ファシリテーターとして振る舞うのがポイントでした。

ところがこのやり方には2点の前提がありまして

・制限時間が30分以上であること
・議論に使う紙やマーカーが用意されていること

ここ!
この状況が前提であることを意識できていなかった。

そして、仮に制限時間が5分とか10分だった場合は、あるいは口頭での議論だった場合は、はっきり言ってこのやり方では良くないっすよね。チームを思い通りに動かすのに、5-10分で相手の性質を掴むっていうのはちょっと難しい。一流のセールスマンならできるのかな。

で、相手の特徴を利用できないってことは、議題そのものに対する論理だけで戦うしかないわけですよ。ここで問題があって、私は普段「紙に構造・流れを書き出す」ことで論理を示すんですよ。前提が相手と共有できていれば口頭でも大丈夫なケースが多いけど、紙がベスト。その方がお互いに分かりやすいしね。

でも紙なかったらダメじゃん。自分の得意なスタイルに慣れすぎた結果、前提条件が崩されると「頭では分かっているのにそれを上手く伝えられない」みたいな状況になる。段取りを示せない論理なんて、ルーの入っていないカレーライスと同じですよ。それライスじゃん!みたいな感じ。

(ここで譲歩っ!)

確かにさ、自分の得意なスタイルに持ち込むってのは大事なことだと思う。例えば、普段から大きめの紙とマジックペンを持ち歩いておくとか。そういうスタイルで戦うことが許されない舞台だとしたら、そのステージは自分に向いていないことの証拠なのでしょう。ならば、そのステージでの戦いが得意な人にパスするのもアリだと思う。そのための社会ですしね。色々な人が社会を構成してるのだから、比較優位を活用してあげればいいんですよ。

(からの反論っ!)

でもさ、その考え方には2つ問題があるんですよ。1つ目は20代前半で得意なスタイルを固定するという判断はリスク大きいよねってこと。2つ目はそもそもグループディスカッションという枠を超えて、自分の中で「30分以上の猶予がある戦い方」をしているんじゃないかってこと。

「時間を費やすこと」と「成果物の質が上がること」にはかなり強い相関があると、私は考えています。経験則的に。だから、30分以上の時間を掛けて行動すること、を意識して何らかの準備・段取りを行うことは大事だと思っています。ここまではいい。

「じゃあお前、いまから10分で、一体どんな価値を生み出すの?」

って自問自答したときに、24時間365日いつでも10秒以内に回答できるかって考えると、できない気がする。そこまで極端な問いではなくてもさ、今から10分で、目の前の何かに対して本気になれるか、結果を出せるか、って意識することはすごく重要だ。飲み会で場を盛り上げるでも、授業の課題をやるでも何でも同じだと思います。

つまり、限られた短い時間を最大限活かすつもりで生きているのかってこと。具体的には「今から10分で何かを得る、何かを生み出す」ことができるのかってこと。

少々極端な話をしているけどね。でも私は、死ぬまでに知りたいことは山ほどあるし(色々知るほどなぜか知りたいことが増えていく謎)、死ぬまでにやりたいことも山ほどあるし(色々知ったらそりゃやりたくもなりますわ)、とにかくね、墓場までの特急列車を楽しむには、体感時間を圧縮するしかないと思うんです。限られた時間を充実させるしかないと思うんです。



そして2点目。


あー、なんというかですね、twitter辞めようかなー、的な。順を追って話す。同世代の人々の話と、SNS(コミュニケーション)的な話がミックスした感じで行きます。


同世代の話。同い年で、スタンフォードの会員をやってるやつとか、数千万円稼いで家族の借金を返したやつとか、世界銀行や国連主催の企画でモデレーター・プレゼンテーターをやってるやつとか、まぁ頑張ってる人たちがいるわけですよ。そういう人と話してて「やっぱこいつ面白い」「一緒にいたい」って思うんだよね。でも同じくらい「負けたくないな」って、やっぱり思うんだよね。勝ち負けじゃないんだけどさ。

んでも、そういう人たちを見ていて気付いたんだけど、あんまりSNSとかblogとかやってなかったりするんですよ。リア充すぎるというか、インターネットがなくても繋がれるからなんだろうな。


じゃあお前どうなの?って自問自答したときに、うむむ…となってしまうのです。大学入学〜2年目(今から2〜3年前)くらいのときは学生向けイベントとかやってたけれど、もっとピンポイントに社会を狙うべきだなと考えてからはそこまでSNSにこだわる必要もなくなった気がするのです。

仮にSNSを利用した戦略を打つのであれば、既存のユーザーや新しく作るアカウントで十分戦えるくらいの、そういう策を打てる頭脳でなきゃ意味がない。くらいの気持ちで自分を高めないとダメなんじゃないかと。

それでもSNSとかblogとかで、誰かに言葉が届いてくれたら嬉しいな、なんて思ったりもしたが、このブログのアクセスの半分以上は検索エンジンから来ているし、おかげさまでフォロワーも200人くらい減ったし、改めて読み返すと「なんかワクワクしないんだよなー」とか「言葉がせこい」とか自分で思ってしまったり。


なんていうのかな。斜に構えることは悪くないけど、それだけだとつまらなくねーっすか、って話。なんかさ、もういいじゃん。言葉で伝えるからこそ大事なことがあるのと同じくらい、言葉で伝えてはいけないものもあるんだよ、きっと。言葉でどうこう言う段階はとっくに終わってると自分では思っているので。

例えばさ、自分の家でファイナンスの勉強して、たまに思ったことをツイートするよりもさ、ひたすら毎日の経済指標をブログに記録して、とことん時間を金融学習に投入するみたいな。そういうポートフォリオを組む方がいいんじゃないかな。もっとのめり込むべきだと思うんですよ。


SNSは、気になるわ。でもこれダメだよ。「尊敬する人とも気軽に繋がれる」って言っても、SNSを使わなきゃその人と気軽に繋がれないようじゃ、その時点でダメ。本当になんでこんな糞野郎と繋がってくれているのか分からない素敵な方ばかりで申し訳ない気分。そんなものがなくても、メールひとつあれば、一緒に挑戦していけるような、そういうコミュニケーションを意識した方がいいんじゃないかと。

出会うべき人とはいつか出会うって、普通に考えれば当たり前だよな。同じところを目指しているのなら、多少のルートは違っても途中で会うに決まってるんですよ。ってのが次の話の前振りね。



んでもって3点目


国連会議でも世銀でも話が挙がったのですが「経済システムちょっとこれ変えたいよね」っていうトピック。あまり規模が大きいとイメージしにくいと思うのですが、例えばGDPだけじゃなくて地球環境も組み込んだようなモデルをなんとか作れないかなってこと。

で、実際そういうモデルは色々と議論されてはいますよね。そこでですね、お世話になっているNGOには大量の資料があるということで、1つばかし自分でもモデルを作ってみたいなーなんて思ったんですよ。ちょうど今はリオ+20という国際環境会議が熱い時期ですが、そういうところで取り上げられたばかりの考え方を利用して、「自分で推計したらこんな感じになりましたー」みたいな論文を書くのはアリだと思うんです。

そこで問題がありまして。現時点で私の足りない知識を総動員して考えられるのはDSGE(動学的確率的一般均衡 Dynamic Stochastic General Equilibrium)モデルを習得する必要があるな、と。でもこれを学ぶための前段階でちょっと身につけなければいけない知識がいくつかあるんですよ。

で、ですね。大学に入ってからの私の勉強はかなり偏っていたのです。例えば、ミクロ経済学を使って社会問題を分析するモデル構築技術はあるけど、理論の証明がきちんとできないとか。受験生みたいに体系立ててオールオッケーみたいな勉強はしてないなーと。だから知識習得がちょっと大変なんですよね。何と言うか、自分の器を広げる機会を自ら放棄してきた報いが来ているなぁと。


これさ、さっきの10分集中の話の逆バージョンですよね。つまり、30分以上の段取りとか戦略をきちんとできていないってこと。本当はもっと広げて挑戦すべきだったのに、要領良くやろうとしてピンポイントでしか狙っていない。それを極めているならまだいいよ。その特定の分野の知識だけで論文がこれに載りました、その研究で実際にこういう問題を解決しました、みたいなさ。いや、できてねーじゃん、っていう感じ。

もっとさ、対象と向き合うことを大切にしたいというか、さっき挙げたようなスタンフォードな人々はさ、そういう部分が出来ていて、悔しいけれどそれが自分にできていない部分だと思うのですよ。信念とか熱意と言い換えるのが一般的かもしれない。彼らと同じ舞台で戦うためには、下手なこだわりとかSNSやって当たり前みたいな習慣とか、そういうものを捨ててでも目の前のことに全力投球する必要があるんじゃないかと。

何が言いたいかというと、投資です。時間とか体力とか精神とかお金とか。挑戦するものに対する投資を妥協するなってこと。マッキンゼーの人から「色んなことを知りたいという好奇心で動いている」「クライアントや事業を知ることが好き」という話を伺って、なるほどと思ったのですが、そういうことだと思うんです。惚れ込んで貢げって感じで投資すればいいと思うんです。



結論


ここしばらく無難な感じで振る舞ってきたつもりかもしれないが、それはそれでちょっと黒歴史ですわ。さらに感情・自戒まみれで誰得か分からないこのエントリーなんてもっと黒歴史になるはず。liverdoor blogやmixi日記がこんな感じだったのですけどね。

んで、これまでのエッセンスをまとめると、恐ろしいほど当たり前な結論が導出できる。

・10分で成果を出す習慣を付ける
・挑戦対象への投資を妥協しない

つまり

・時間あたりの密度を上げる
・絶対的な時間を増やす

こんだけ。いやー、あれだ。論理で組むべきところの論理が甘くて、論理で組むべきでないところを論理立てることに気を使っている状態だと思う。これ明らかに資源配分を間違っていますねー。

歩く黒歴史って、少しでも前に進んでるなら十分だろ。もうさ、余計なことなんて忘れた方がマシですよ。というわけで、楽しいと思ったこととか、頑張りたいと思ったことをひたすらやるし、そのためにポートフォリオを組み直そうと思うのです。


よし!どんどん黒歴史で行こう!
10分単位で黒歴史を製造してtry&errorで行こう!
スピード上げて、サイクル速度上げよう!

というわけで、少し行動パターンを変えていくよ。
今後もよろしくお願いします。


2012/06/18

ユーザーがコンテンツを投稿する6つのインセンティブ


最近のWEBサービスの特徴として「ユーザーがコンテンツを投稿する」「ユーザー同士がコミュニケーションを取る」というのは明らかなトレンドです。

そこで、しばしば「ユーザー獲得のためにこういう点に気をつけようね」みたいな記事を見かけるのですが、一度 供給者側の都合を奇麗さっぱりと忘れて、ユーザー視点でサービスを考えてみたらどうなるのだろうか、と分析してみました。

投稿型のWEBサイトで利用者がコンテンツを投稿する際のインセンティブは大別して以下の6つに分けられると思います。



1:習慣化




例えばtwitterやblogで毎日の英語学習やランニングの記録をつける使い方。自分が頑張っていること、頑張りたいことの目標を達成するために、WEB上で宣言・報告を継続することで習慣化を図ろうとする投稿動機です。




2:記録




例えばyoutubeやpixivで自分の作品を、あるいはブクログで読んだ本を記録しておく使い方。後で見返すのにも便利だったり、クリエイターにとってはポートフォリオ的な活用法も図ることができそうです。こういった投稿動機はあり得るはずです。



3:アピール




例えば、クックパッドで料理を記録する、instgramでカフェの飲み物を撮る…これらの動機のひとつは女子力アピールなのではないかと。他にも、ブクログでちょっと難しそうな専門書を挙げて「これ読んでる俺かっこいい」みたいな使い方です。



4:コミュニケーション




例えば、facebookに合宿の写真を挙げるのは、単にメールやUSBより便利だからではなく「◯◯の顔おかしいよ!」みたいなやり取りを楽しむためですよね。レスポンスが楽しみで投稿するという意味では、ニコニコ動画や2chでのやり取りなんかも典型例です。



5:お金




例えば、naverまとめはキュレーション機能が魅力ですが、見るだけでなく自分で作りたくなる誘因のひとつに、稼げたらラッキー!という下心があるでしょう。あるいは「意外と稼げた」「友人が稼いでいると聞いた」ことからハマったり。オークションサイトやアフィリエイトなんかもここですね。



6:デザイン+体験




例えば、pinterestならすぐに自分オリジナルの画像集ページが作れる、Flipboardでお洒落なRSS購読ができる。あるいは、Whytelistで自分だけのブランドを開店できる、trippieceでお手軽に素敵なツアーが作れる。

これまでネット・雑誌・テレビで受益者として一方的に憧れるだけだったものを自ら作れる。そういうゲーム性、創作体験。たとえ実際にはテンプレートに従って自動生成されるだけであっても、憧れているものに似たデザインの成果物を、お手軽に完成させる体感は、思わず一度は投稿したくさせる魔力があるのではないでしょうか。



こんな感じです。


ままいい感じにまとまったので、某所でのプレゼンテーション内容を転載しました。他にもこういうのが誘因になりうるんじゃないか、みたいなご意見があればぜひ伺いたいです。

もっと各項目を掘り下げて分析することもできそうですが、あまりダラダラと長引かせるテーマでもないと思うので軽めで抑えました。何らかのヒントになればと思います。

2012/06/14

ソーシャルなイベントに行こうよ!


お誘いを受けたのでイベントに行こうと思います。というわけで今回の内容は、2つ告知+ちょっとした雑記ね。1つ目はボン会議、2つ目は世界銀行についてです。


気候変動に関するボン会議 報告会 ~2012年の国際交渉が開幕~

http://oxfam.jp/2012/06/post_486.html

ひとつめがこれ。ざっくり解説する。

地球温暖化を解決するためにCO2などの排出を削減したいね!ってことで「たくさん削減したら削減できていないところからお金をもらう」という取り決めをしたのが京都議定書です。

でも、そんな決まりを延々とやるのは色々と不安なので、とりあえず期限を決めておきました。ところが期限が迫ってきても、なかなか次のルールがまとまりません。そこで「2015年までには当たらしい枠組みを決めよう!」ってことで皆頑張っています。

ボン会議はこういった気候変動・エネルギーに関する2012年初の世界会議だったのです。つまり、世界規模での環境経済システムが今後どうなっていくのかを考える恰好の材料なんです。

こんな感じ。環境経済学は専攻ではないけれど、21世紀の経済システムを考えるときに重要なファクターだってことは間違いないので、政策の現場がどうなっているのかを知ることは意義あるものだと思ってます。

環境問題に興味がある人とか、社会がどうなっていくのか考えたい人とか、マーケットや政策の勉強をしてる人あたりは、ボランティア活動をやったりニュース記事を読むのもいいけど、たまにはこういう場所で直接話を聞いてみてはいかがでしょうか。

【日時】6月14日(木) 19:00-21:00

【参加費】一般1000円(共催団体の会員500円)

ギリギリの告知になってしまったけど、もし興味があればリンク先( http://oxfam.jp/2012/06/post_486.html )に書いてあるメールか電話で申し込めば多分行けるでしょう。

ちなみに、この3人目の登壇者の方が所属しているConservation Internationalという環境NGOで現在働かせていただいております。そのうちWEB周りを本格的に扱うことになるのと、あとブログも担当するかもなので、もし良かったらホームページやブログを見てね。

http://www.conservation.org/global/japan/Pages/partnerlanding.aspx
http://ci-japan.blogspot.jp/


世界銀行ユースプログラム「健全な開発のためのユースの役割」

http://go.worldbank.org/GJ65I9J850

ふたつめがこれ。ざっくり解説する。

第二次世界大戦くらいのときにですね、ブレトン・ウッズというところで偉い人たちが話してました。「お金の問題って大事だよね。戦争や紛争でお金がなくて、これから発展しようとしてる途上国を助けるために世界銀行を作ろう。金融や財政の問題に対処するためにIMFを作ろう」ってことでできたのが世銀なのです。

今回ご講演なさるタマール・アティンク人間開発総局副総裁は、トルコ→ハーバード・院→ケネディ行政院→GATT(関税と貿易に関する一般協定)&国連貿易開発会議(UNCTAD)勤務→世銀入行→…という経歴。各地域でエコノミストとして活躍しているようですね。

具体的な内容ですが「途上国における保健、教育、社会的保護分野における現状、課題、今後の展望について紹介し、意見交換を行います」とのこと。登壇者が経済家なので(どこかで聞いたことがあるような)社会問題って大変だね!トークに終止せず、勉強になる情報・視点を得られるのではないかと思っています。

こんな感じ。金融の勉強をゴリゴリやってるだけだと面白くないので、こういう機会は積極的に活用したいですね。経済システムは人間が人間のために作ってるものなんだから、社会の実態を知るのは大前提だと思うんすよ。

もちろん途上国の問題に興味がある人や、国際機関で働きたいって人、英語での講演を聞きたいって人(日英同時通訳付きだが)は日程が合うなら行くべきだと思います。

【日時】2012年6月20日(水)午後4時30分~午後6時
【参加費】無料

詳しくはリンク先( http://go.worldbank.org/GJ65I9J850 )をご参照下さい。



国際協力系のイベント情報について

ちなむと、国際協力系のイベントやアルバイトを探している人はJANICさん( http://www.janic.org/ )かJICA運営のサイト( http://partner.jica.go.jp/ )あたりを参考にしてはいかがでしょうか。

また、ついでにアピールしておくと、学生向けの国際協力メーリス( http://enq-maker.com/0owhtEJ )というものがありまして。2年くらい前に友人と2人で立ち上げた情報共有プラットフォームです。途中から運営担当が変わってこのURLで登録できるかは怪しいですが…。もし登録できなかったら facebook(Sho Yokoyama)かtwitter(@yuzutas0)にメッセージ戴ければ対応します。良かったら登録してね。

まぁ、こんな感じです。こういうしっかりしたイベントはそれなりに質が高いと思っていますし、参加するのはプラスだと思っています。なので、もしこのエントリーを読んで少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。

んでもって、ぜひ実際に参加してほしいです。そして、思ったこととか考えたことを私にも共有していただけたらと思います。


ここから雑記…

果てしなくどうでもいいことを書いていく。ハンパなく疲れているので、ちょっとテンションがおかしいかもしれない。あと世界一周してる友人のブログとか読んでて「人をわくわくさせる文章が書きたいな」とか一瞬思ったかもしれない。だけどその気持ちは反映されていないかもしれない。


最近思ったこと

ジェダイbotがかっこよすぎる

断言口調で簡潔に正論を言うところがいいね。マスターって響きも廚二心をくすぐる。あと全然関係ないけど、剣道部の休憩時間にダース・モール VS クワイ・ガンを再現してたのを思いだした。懐かしいなぁ。


②ジャンプ作家が経済学の参考書を書いたら勉強が楽しくなるのでは?

A「な…に…!?」
B「貴様ら人間の購買行動は価格の影響を受ける…しかしそこには2種類の作用が働いているのだ!!」
A「まさか…お前っ!?」(敵が一瞬で後ろに回る)
B「そう。俺のスルツキー分解は、代替効果と所得効果を分けるっ(ドン!!)」
A「 計 算 通 り 」
B「……!?」(恐怖で毛が抜け落ちる)
A「(じりじり)」(間合いを詰める)
B「バカな…計算できるわけがっ…はっ!?まさか!?」
A「そう、これが俺の能力。連鎖律 -- Chain Rule -- !!」
煽り分「次週!ついに明らかになる生産関数の正体!」


③他人に気を使わせたら男として失格だ

ちょっと2〜3週間くらいどっかの女王様と一緒に暮らしたほうがいいんじゃないかと思えてきた。奉仕能力MAXまで鍛えた方がいい。ホスピタリティというか、え?お前なんなの?周りの人にきちんとValueを提供できてる?って自問したらできていないどころか迷惑かけているんだよこれが。


④TOEICの有用性

海外のNGOとプロジェクトの交渉経験がある人間(つまり私)に英語関係の仕事を頼むよりも、TOEICスコアが高くて確実に安定した英語力が保証されている人のほうが仕事を頼みやすい。ということを理解した。客観的に考えてこれは当たり前やで。シグナリングの問題で、スコア200と900を比べたら一般に後者のほうが英語力が高いのだから。というわけで私もTOEIC受けようと思う。


⑤ラングリッチが思ってた以上に神がかってた

体験授業をちょっと受けただけだけど、教材が体系立てられているし、私のskyoeトラブルに対する講師のフォローもいい感じだった。あとフィリピン行ったときにも褒められたんだけど、受験英語漬けの私は発音や言葉の選び方が丁寧(ニュースキャスターみたい)らしい。逆にスラングとか分からん。むしろこれって武器になるんじゃないでしょうかね。「日本人の英語って奇麗だよね!」的な。


⑥カラオケで歌える最も得意な曲が

実は「もののけ姫」なんだよね。


⑦女性の胸っていいよね!と言われたら

これまでは同意しかねていたけど最近はその気持ちも分かるようになってきました。心境の変化にはいくつか理由があります。ひとつは脚の露出が増えてナマ脚の希少価値が下がったため、相対的に胸の価値が上昇したこと。ふたつめは…おっと今日はここまでだ。


⑧井上陽水!!!おれだあああああ!!!結婚してくれええええ!!!

夏の匂いが切ない季節になってきましたね。近所の田んぼに水が引かれて、蛙がちょっぴりうるさいです。あと自転車で走っていると、ちょうど顔面の高さを飛んでる虫の集団がいて割とうざいです。でも、小学生が田んぼの脇道を歩いているのを見ると、なんだか少年時代を思い出してちょっぴり切なくなるのです。


⑨筋肉痛と視力低下

朝のランニングと素振りのメニューを変えたら、初日から筋肉痛になってしまった。正直歩くだけで辛いレベル。あと作業が溜まりまくって3−4日くらい徹夜を続けてたら視力が急激に落ちました。キャンパスで手を振られても、声かけてもらうまで全然気付かないレベルなので、なんかもし無視する形になっていたら申し訳ないなぁと。


⑩慶應大学「キャンパスで新聞も読めます!」

当日の新聞は、朝9:00ではまだ置いていないことを確認した。マーケットの記録をこつこつ取ろうと思うのだが、日経新聞に5,000×12=¥60,000支払うのはちょっと抵抗があるんですよ。溜まるし。捨てるとき環境に悪いことしてる気分になるし。うーん、どうしようかな。


⑪2時〜5時の睡眠でぐっすり寝る方法

必勝パターンを見つけると完璧に体力・気力が回復することが分かった。運動は習慣付けるの前提で、寝る30分前にはPCとiPhoneは閉じる。寝る支度をきちんとする(寝落ちだと体力回復しない)。んで1日の反省なり、いま取り組んでいることの全体像を考えて、明日すべきことを書き出す。具体的に翌朝起きてからのことをイメージしつつ手帳に書き込む。そして布団に入る。

んでYoutubeで「疲れた時に聞く曲」を聞く。

ひたすら音楽に合わせるようにして心を泳がせる。疲れてるときほど心が浮きやすいと思う。10分やってダメだったら諦めて作業を継続。そのまま寝ないでor床で3時間くらい休んでから次の日を死ぬほど辛い状態で乗り切る。そして次の日の夜に寝る。

とりあえず現在の必勝パターンがこれ。一番効率良いと自分では思ってるけど、実際はどうなんだろう。理想は22:00-2:00の間に寝て成長ホルモンを分泌したほうが良さげなので、上手いことこうシフトしたいんですよね。


⑫素直になるのって大事だ

これは非常に実感しました。例えば、友人のほうが勉強ができるのであれば素直にすごいって言って、勉強を教えてもらったほうが効率的。量の違いか、質の違いか、要領の良さか、感覚的なものなのか、理由は分からないけど相手のほうが優れているのであれば、それを利用するのが一番費用対効果が高いかなと。意地を武器にする人には当てはまらない話だけど、意地を張るべきところと受け入れるべきところ…みたいな見極めも大事だと思うのです。


⑬走りながら考えるスタイル

これを最近は実践しております。思考と行動の両立って言葉はよく聞くけど、本気で意識しようと思うと結構難しい。現在の作業の位置づけとか、言動ひとつあたりの生産性とか。ついでに言うと、剣道のスタイルも柳生家の流派に近い戦い方に矯正しつつあります。相手を見て、機を見極めることに特化した感じね。

「頭は常にフル回転」っていうのを自然なものに落とし込みたい。立ち止まって考えるのも大事だけど、時間がもったいないと思ったときに、しっかり走れる足腰でいたいじゃないですか。


⑭若本規夫「じゅうううう〜よんばめだぁ〜〜〜」

友達と海を見ながらアイスを食べたい。んでもって、ちょっとからかったら相手が拗ねてしまうんだけど、お〜い〜!とか言って肩を掴んだら、やめてよ!って振り払われて、ちょっと気まずくなるんだけど、おもむろに立ち上がって海の方に向かって歩いていって、振り返ると相手がまぶしそうにこっちを見ていて、いましかない!と思って、勇気を振り絞って、◯◯が好きだー!とか叫んでみて、ちょっと自分の顔が火照るのが分かるんだけど、夕暮れの逆光で表情が見えていないってことに気付いて、ちょっと落ち着いて、相手のところに歩み寄って、「あたり」と書いてあるアイスの棒を差し出して、ほら!アイスを貰いにいこうぜ!とか言って、相手は少し笑ってから、うん!って言って、立ち上がって2人で手をつないで歩き出して、どこまでも続く道、君と僕もこの道と同じ感じ、いつまでも2人で歩いていこう、なんて言えるはずない…でも君が好き。

みたいなさ!
HYみたいなさ!



なんかね。
疲れてるとテンションおかしなことになるんですよね。

ここまで読んだ猛者がいたらページの先頭読んでみ?
ボン会議と世銀の話から始まっていまここだからね?

何が言いたいかと言うと、今日も私は元気ですってことだ。大事なことだね。だって70億人の全員が同じように元気にすることができたら、その方法を思いついたやつはノーベル平和賞を貰えると思いますよ。人類の究極目標でもあるし、歴史上誰も達成できなかったことなわけですよ。

もうね。自分で書いてて訳が分からないね。こういうときは「終わらせ方を演出しよう!絶対これが面白い!」とか考えて実行してもあんまり面白くないんだよね。つまりさ、そろそろ終わらせよう!うん、それがいい。

じゃあ、3秒数えたら、一緒に終わらせよう。

絶対な!
約束だよ?


1…


2…


3!!


おーいー、お前ブラウザ閉じろよーーー!

約束だって言ったじゃん!!


…うん。

なんか、アレだね。

本当にごめんなさい。


もうPC閉じてさ、
とりあえず梅酒でも飲むことにします。
本当に疲れてるときの発想はヤバいと思います。

では皆さん。
季節の変わり目なので身体にはお気をつけ下さい。
皆さんの元気な笑顔を見れる日を楽しみにしています。




P.S. これだけは言わせてほしい。

「CHINKOって書くと、なんかかっこ良くないですか?」

とか言ってた中学生時代に戻りたい。そういう、本気で下らな過ぎてどう反応したらいいか分からないレベルのことに熱中したい。

と思ったけど、このエントリーを読み直してまだまだ自分も頑張れると思った。エグイときの原動力は、正義感とか怒りとかじゃなくて「ぬおおー」て気持ちだと思う。意味なんてないんだと思う。だからこそ自分の気持ちを見つめて自由に行きたいね。

Thank you.






どうかな。
ちょっとそれっぽくまとまったかな。

2012/06/05

グループディスカッションで意識していることをまとめてみたよ。

やぁ。みんな元気かい。
おじいさんとおばあさんは元気だよ(・ω・)

※追記このエントリーの問題点を後日反省した内容がこちらになります→ http://yuzutas0.blogspot.jp/2012/06/blog-post_28.html






友人とGDの話をしていて「ゆずたそ流GD必勝法」みたいなものを確立していると自覚できたので、せっかくですからブログで共有してみようと思います。以前「GDで同じチームだった起業家志望の学生がマジヤバかったときの話」をまとめたこともあり、結構この辺りは参考になるんじゃないかなと。

一応それっぽいエピソード言った方がいいかな。2012年に入ってから企業主催の学生ビジコンみたいなのに2回出場して優勝・準優勝(賞金総額は内緒ね)と取ってきているので、まぁ今のところは成功率100%と言えるのではないでしょうか。んで、必勝法のコンセプトを一言でまとめると「オーガナイザー」として振る舞う、ってことになります。抽象的な言葉で説明してみても分かりにくいので具体例を考えてみましょう。



Aさん「よろしくお願いしま〜す」

Bさん「よろしくー!」

Cさん「よろしくお願いします!」

私「よろしくお願いします(・ω・)」



登場人物はAさん、Bさん、Cさんね。
ディスカッションが始まる前に名前とか所属とか色々お話は終わっている感じです。


司会「では◯◯に関して新規事業を考えて下さい!」


課題が出されたら、一度チームで改めて自己紹介。タイムスケジュールと手順を確認。んでもって議題の目標と前提を共有してから本格的に始めます。この辺りは「妹はVIPPER : 俺が13卒の就職率を1%上げるからとりあえず読め」を読むといいんじゃないでしょうか。


んでですね。これも経験則でしかないのですが、GDに参加する方々ってキャラクターといいますか、特徴が何パターンかあるんですよね。ちょっと見てみましょう。



Aさん「僕は学校を活用してもっと上手くコミュニティビジネスみたいなのを作れないかなと思うんですよ。というのもね、僕が小学生だったときに、みんな流行に合わせているというか、アイドルとかアニメとかゲームとかテレビとか、毎日チェックしていないと話についていけなかった。でももっと多様な繋がりがあってもいいと思うんだ。僕はそういう場を提供したいんだよ!」


はい、これが原体験に重きを置いて問題意識を持っているパターンです。割と教育系とか多いですね。あと場を作りたい人も多いですね。私なんかは小中学生の頃から地域活性系の活動に関わっていたり、フィールドワークの研究結果をサイエンスグランプリに提出したりと、色々とチャレンジしていたので、必然的にその過程でいろんなコミュニティの方々のお世話になったわけですよ。なので「いや自分から動けばいくらでも既存のものがあるだろ」と思ってしまうのですが、そこを議論しても仕方ないので「場って大事だよね!」とか言っておきます。とりあえずね。



Bさん「いやー、やっぱWEBサービスがいいんじゃないかな!あ、そういえば、こういうアプリ使ってるんだけど、めっちゃ便利だよ!俺さ、思うんだけど、FACEBOOKとかあるじゃないっすか。やっぱこうITって世界を変えると思うんだよね。せっかく大学に来たのに何かしないと意味ないと思うんだ。いまゆとり世代とかバカにされてるけどさ、見返してやろうぜ!」


はい、これがイケイケ系で話題に乗ってるパターンです。やっぱIT系が多いですかね。有名なアプリの話は改めて聞いても個人的に得るものはないのですが、話題のサービスに疎いメンバーに情報共有したり、今の時代の考え方みたいなものを再確認する意味ではこういう人がいると話が早いですね。ディスカッション中に事例として引用しやすくなります。



Cさん「わー、皆さんすごいですね。私なんか全然そういうの知らなくて。サークルでテニスをやってました。あっ、テニスって言っても、うちはチャラくないですよ!週3でマジメに練習してますからね!あんまり飲み会もしませんから。こういうのも初めてなので、今日のGDでは積極的に発言していきたいと思います!」


はい、これが結局あまり発言をしなくてメモ担当みたいな感じになるパターンです。女の子が多いかな。下手に経験を積んでいない分、ロジックでの説明が最もやりやすい相手でもあります。基本的にこの人が100%納得するプランができれば、結構いい感じになるはずなので、この人が納得していなそうだったら意見を引き出してあげるのが大事だと思います。



はい、こんな感じ。Aさん(教育)と、Bさん(IT)と、Cさん(メモ)ね。ちなみに私はなるべく当たり障りのない自己紹介を心掛けます。調布と田園調布は違うよーとか、最近は毎朝赤飯を食べてるんだーとか。どちらかというと他人の発言・自己紹介に対して質問をしていくポジションですね。

んで、本題。この3人と一緒にグループディスカッションをした結果、完成した新規事業プランはこんな感じになりました!(ジャジャ〜ン)…ずばり、同じ趣味の人々が繋がれるSNSサービスです。うん、このアイデアがいいかどうかは置いといてね。あくまでも例えだからね。なぜこのサービスになったかを見ていきましょう。



【Part 1: Aさん攻略編】



私「Aさんは小学校時代どんなだったんですか?」

Aさん「いやー、マンガがきっかけで囲碁が好きだったんだけど、クラブ活動でも囲碁なんてなくてさ。他の子とは話が合わなくて。」

私「あー!あのマンガ私も大好きでした!(なるほど。つまり…教育サービスを作りたいってのは本質ではなくて、Aさんの真のニーズは何かに打ち込んでいる小学生に居場所を与えることか。)」




【Part 2: Bさん攻略編】


私「ゆとり世代って表現もどうなんでしょうねー」

Bさん「ねー」

私「(反応が薄いな)そういえばstudynoteってサービス分かります?英語の勉強がなかなか続かないのであれ使おうと思ってるんですけど」

Bさん「あぁ!あれめちゃくちゃいいっすよ!俺もスカイプ英会話とTOEICの勉強やってるんですけど、あのサービス使って管理してます。すごいですよね、あの会社の社長って慶應生だったのにビジネスに専念するために自主退学したらしいですよ!」

私「ええええ!すっげー!(なるほど。つまり…ゆとり世代うんぬんってのはただの口上で、Bさんは話題になりそうなWEBサービスを作るのが真のニーズか)」



【Part 3: Cさん攻略編】


私「というわけでこういうサービスにしたらどうでしょう。同じ趣味の人で繋がる感じの!」

Aさん「いいね!小学生に居場所を与えるんだ!確かにネット上のコミュニティって発想はなかった!」

Bさん「おおお!このサービス絶対いいよ!マジこれ世界変えるって!」

私「一応これまでの流れを確認しておこうか。あれ、ごめんCさんメモ見せてもらっていい?」

Cさん「はい」

私「◯◯で◯◯だから◯◯ってことになるね。それにしてもCさんすごいなー、このメモめっちゃ見やすい!」

Aさん「ほんと字が上手いよね」

Bさん「これをもとにしてプレゼン作れそうじゃない?」

Aさん「この部分とこの部分そのまま使えるね」

Cさん「わわわ、いや、でも私そんな…字汚いですよ///」

私「(発言は少ないけどCさんがメモをとってくれたおかげで議論の立ち位置が整理されてるな。おそらくこの中で一番Cさんが全体像を把握できてるんじゃないかな。よし、プレゼンの導入部分orまとめはCさんに任せよう)」




こんな感じ。

お前、そんなさわやかじゃねーだろ!盛るな!何で上から目線なんだよ!みたいなツッコミは置いておいてね。あと【Part 1】とかは読みやすいようにつけただけだから実際にはそんな体系立ててやるわけじゃないですからね。

Aさんは教育サービスの話をしていたけど、本当のニーズというか、Aさんがこだわりたい部分というのは「自分の原体験(小学生時代に居場所がなかった)」であって、Bさんのこだわりは「WEBサービスを考えてみたい」ってことであって、Cさんのこだわりは「自分が議論に貢献している実感」なのだろうと話を聞きながら分析する。

大抵、本当のニーズは本人も気付いていない場合が多いけど、観察しているとなんとなくこうじゃないかなーというのは分かってくる。そんでもって全員のニーズが満たされるように議論を進めていく。結果、チームの雰囲気もよくなるし、議論が整理されることである程度の形のサービスを考えることはできる。



ただし何点か注意すべきポイントがあって、明らかに前提・目的から話が逸れたときは上手く誘導する必要がある。それと、抑えるべきところはきちんと抑えておく。例えば趣味SNSサービスであれば「本当にニーズはあるの?」「競合に勝てるの?」「小学生のネット利用の問題点をどう考える?」「どこで収益を上げる?」といった部分。ここら辺はきちんと考えなければいけない。もしそういうマイナス面を話せないメンバーだったら(空気が悪くなることもあるので)1人で問題点と対策を想定しておく。

んでプレゼンのときはAさんが理念を語り(このサービスは小学生に居場所を与える!)、Bさんが仕組みを語り(こうやって収益を上げる!)、Cさんが全体像を説明(つまりこういうサービスなんです)、んで私は適当に補完しつつ、質疑応答で無双する。質問内容やクリティカルポイントは99%想定可能なので(客観的に見てここは抑えとかないと実行できないよねって部分)予め準備できるし、上手いこと「むしろ◯◯することがこのサービスの特徴です」みたいな感じでアピールできる。



基本的に私のGDの王道パターンはこれですね。アイデアも熱い想いもありません。他力本願です。リーダーシップとか積極性って言葉から最もかけ離れた態度ですが、誰かがオーガナイズしないと1+1+1+1=4以上になるってことはまずあり得ないので。それに、互いに好き勝手言い合うようなリーダーシップや積極性なら、そんなものは捨てた方が全体最適だと思っています。あと、ぶっちゃけ私は疲れるの嫌いなんで、他のメンバーがアイデア出してくれたりプレゼンに熱意を込めてくれるとすっごい楽なんですよ。印象も良いしね。私は脳内でサービスの批判してればいいわけですし(あ、対策も考えますよ)。



まとめると


・メンバーのニーズ(Aさん、Bさん、Cさんが満足するためのポイントはどこか)を把握する。

・主催者のニーズ(課題の前提と目的)を把握する。

・全体最適になるように誘導する。①プラン内容と②議論の進め方の両方について。


こんだけ。

GDでいくら自分をアピールしたって自分のやりたいことができるわけじゃないですし、本当にやりたいことなら自分で勝手にやればいいじゃないですか…という考えのもとで斜に構えています。私が心から熱くなるのは、私が心からやりたいと思ったことをやるときだけです。



んで、例外パターンがいくつかあるのです。

その1:
積極的に発言する人がいないパターン

全員Cさんみたいなとき。このときは道化になるしかない。議論の流れは抑えつつ、アホな意見やアイデアをどんどん発言して周りから「こいつバカじゃねw」と思われるようにする。そうすると「こいつばっか発言してたら自分までダメになるわ」と思って頑張ってくれる。ある程度全員がしっかりと話せるようになったら、少しずつ自分の発言量を減らしていく。ちなみに経験則的には、このときのプランはあまり良い出来にならない。道化を保ちつつ冷静に分析・行動するのは、いまの自分にはキャパ越えなので、他にファシリテーターがいないと結果はダメダメですね。どっちにしろ最悪な結末になるのなら、気まずいままよりも盛り上げた方が楽しいんじゃないかなーと思ってます。


その2:
ロジックが通用しないパターン

これは無理ゲー。Aさんが「いや、それでも学校を使ってさ!」と言い続ける。いくら「WEBでも居場所が作れるよね」と言っても話が通じない。まぁ私がAさんのニーズを読み違えたことに起因するのでしょうが、「αの問題はβだけでなくγでも解決できるよね」と伝えても「はぁ!?なんでγなん!?」みたいな感じになると詰む。まぁAさんだけのときは皆でAさんに合わせればいいけど、Aさん・Bさん・Cさんで全然違う方向にすっとんでる(課題から逸れまくる)ときは手の打ちようがない。他のチームの女の子とおしゃべりして時間を潰すか、A・B・Cをロジックレイプして1人で無双するかどっちかですね。


その3:
優秀な人ばかりのパターン

全員が段取り上手、アイデアも出していく、良い意味で妥協する。このときは特にやることもないんで、ぼーっとしてる。抑えるべきポイントが抑えられていないときとか議論が前提・目標から逸れているときだけコメントして空気をブレイクする(優秀な人は空気を壊しても持ち直すのが上手いから遠慮しなくて済む)。あと類似サービスや競合、市場調査などの統計データをググっておいてプレゼン作成タイムですぐに出せるようにしておく。批判&対策、質疑応答についても他の方々は忙しくて手が回らなそうなので代わりにやっておく。つまり、iPhoneいじるか思索の海に漂うか。まさにニートタイム。あーでも、何だかんだで結構アイデア出したりもするかな。しないか。



基本的に、下手にでしゃばるより任せておいて、フォロー・サポートに徹するスタンスですね。なぜなら頭や心を使うのは面倒くさいし、パワーバランスを壊すメリットは特にないから。もともと知り合いならともかく、初めて一緒に何かをやる人たちとグループで行動するのに、いきなり「これが自分のスタイル」と押し出すのはちょっと無理。もし、オーガナイザー・ファシリテーターが他にいなかったらそのグループはカオスになること間違いなしですわ。

なので、基本業務は段取りと誘導くらいですかね。全体像を理解しているポジションに収まった流れで、プレゼン構成を決めるのも大抵は私が担う気がします。あと質疑応答ね。



これが「ゆずたそ流GD必勝法」です。

悪く言えば他力本願、良く言えば全体を見渡すオーガナイザーみたいな。うん。まぁこんな感じなので、もしこれから私と一緒にグループディスカッションを行う方がいましたら「あーはいはい、こいつね」って感じで汲み取ってくれると嬉しいです。

まぁ1人1人やり方もあると思うんですけど、巷で言われているようなGDハウツーなんかに捕われないで、しっかりと課題やチームメイトに向き合う姿勢が大事なんじゃないかなーっていうことを少しでも感じ取っていただけたらと思います。



そんだけだ。
夜にこれを読んでるやつは今すぐ歯を磨いて寝ろ。お肌が荒れるぞ。


2012/05/26

5月病をぬけだす方法を全力で考えてみた。



冗談抜きにやべーよこれ、って人のためのエントリー。
つまり私個人の私個人による私個人のための記事。





前提確認ーー5月病とは何か


まず、前提の確認から。
5月病とは何ぞやってところを再度確認しましょう。
主に以下のような症状だと思われます。


①4月に環境が変わる。そこで頑張ってみる。
(e.g. 毎朝9時の授業に出席)

②ゴールデンウィークでその習慣が断絶してしまう。
(e.g. 10時まで寝よう)

③連休明けに4月ほどの調子が出ない。
(e.g. 9時に起きた…遅刻…)

④あとは負の連鎖。
(e.g. もう授業出るの面倒臭い…)





目標設定ーー何を解決するか


具体的に5月病の何が問題かというと

「空白の時間が増えて生産性が下がる」
「焦りで精神的ストレスが溜まる」

この2点だと思うのです。


精神面の問題はあくまでも付随的なものなので、
軌道に乗れば自然と改善されるはずです。
ただ、サンクコストはきっぱり忘れることだけ意識した方がいいです。

「やりたかったけどできないこと(平積みになった本とか)」
「やっちまったな〜という失敗(GW旅行で寝坊してしまったとか)」

こういったことを引きずると
いつまでたっても精神面は改善されません。


逆に言えば、うまく埋没費用(サンクコスト)を処理できれば、精神面はそこまで大きな問題ではないのです。
したがってこのエントリーで解決すべきポイントは「空白の時間を減らすこと」ということになります。





要因分析ーー空白の時間とは何か


そもそも空白の時間はどのように生じているのでしょうか。
大別すると

・睡眠による空白
(睡眠時間が長い、起床が遅い)

・集中力の欠如
(なぜかやる気が出ない)

この2種類の性質が要因なのだと思います。
それぞれに適切な対処法が違うはずなので、個々に見ていきましょう。





睡眠問題


まず、睡眠に関する話から。
「寝る」ことから派生して考えられる問題は以下の通り。

・導入:そもそも寝付けない
・時間:長時間寝すぎてしまう
・効果:眠りの質が悪い
・出口:寝覚めが良くない


あと「7:00に起きたいけどダラダラ起きて結局6:00に寝る」みたいなケース。twitterのTLを見ると結構こういうのが多いみたいですが。これできちんと起きるのは難しいですよね。

なので、起床時間から逆算しないと手の打ちようがないですよね。
また、最小でも3時間睡眠を仮定して話を進めます。
てなわけで、まずは翌朝の起床時間を具体的に設定することから始めましょう。


⇒起床時間の設定

いきなり早く起きるよりも毎日少しずつ早めていくのがいいようです。

朝型人間になるには一日20分ずつ目覚まし時計を早めるといい!?
http://www.lifehacker.jp/2012/02/120208-morning-person.html


では、先ほど挙げた4つの問題の解決策を考えましょう。
「そもそも寝付けない」「長時間寝すぎてしまう」「眠りの質が悪い」「寝覚めが良くない」といった問題です。

んで、解決策を調べてきたので引用します。
ところが2-3つの問題にまたがっているものが多い。
なので一気に列挙します。

「自分の問題点を解決するのに役立つ解決策はどれだろうか」と考えながら参考にしていただければと思います。ちなみにこのページが結構便利でした。

ビジネスマン必見!睡眠時間を管理して劇的に短縮させる13のコツ - NAVER まとめ
http://matome.naver.jp/odai/2133183165348711301


⇒睡眠問題への対応策

>ベース
・運動して疲労する(30分程度?)
・少食や野菜を心掛ける
・15分以上の仮眠はだめ
・呑みや残業を回避する

>寝る前
・お風呂に入ってリラックスする
・音楽を聴いてリラックスする
・胃に食事をいれない
・体を暖める飲み物を接種する
・カフェインやアルコールを取らない
・激しい運動はしない
・仕事はしない
・テレビを見ない(ケータイやPCも?)
・考え事やto doは書き出しておく

>寝る時
・起きる時間を決める
・起きてからやることを決める
・光と音を遮断する
・余計なことは考えない

>起きる時
・すぐ電気をつけて布団から出る
・深呼吸する
・水をたくさん飲む
・太陽光にあたる
・運動する


※目覚まし時計は隙を生じぬ数段構え。
(2個セット、30分ごとにセット、逆算して早めに起きれるようにする)

※「二度寝してもいいからとにかく水を飲みに行け」と自己暗示。
水を飲んだ時点で目が覚める。
そこで太陽光→外に出る→運動→深呼吸がおそらく最強コンボ。


※参考。これらのサイトからポイントを抜き出しました。
細かい説明が必要な方は頑張って探して下さい。

短時間でもクリティカルな睡眠をとる条件5つ
http://lifehacknote.net/kokorotosintai/suimin/

3時間睡眠を実現する方法
http://jp.messaliberty.com/2007/03/31/

よく眠るために覚えておきたい17のTips
http://www.popxpop.com/archives/2007/03/17tips.html

3時間熟睡法 眠りのリズムを身につける!(大石健一)の要点まとめ
http://bukupe.com/summary/3976

4時間半熟睡法(遠藤 拓郎)の要点まとめ
http://bukupe.com/summary/366

超夜更かしだった僕が朝型人間になるために実行した大切なこと10
http://www.ttcbn.net/no_second_life/archives/21761

超ダメ人間だった僕がデキる人になるために実行した大切なこと10
http://blog.livedoor.jp/tkfire85/archives/55515630.html

寝起きが悪いやつ、最強の目覚し法教えてやる
http://chaos2ch.com/archives/3287791.html

マジで朝起きるのが楽になりまくる方法が分かったから教えてやる
http://blog.livedoor.jp/kinisoku/archives/3289323.html


⇒起きてからすること。
これを予め決めておくといいらしい。
個人的にはこのサイトが参考になると思います。

ほぼ浮浪者だった僕が成功者と呼ばれるようになるまでに実行した大切なこと10
http://d.hatena.ne.jp/the-world-is-yours/20120412/p2

・ストレッチ
・シャワー
・ランニング
・紅茶を飲む
・タスク確認
・新聞に目を通す
・RSS処理
・ブログ執筆
・Evernote整理
・メールチェック
・本を1冊速読
・筋トレ
・朝食を作る

うん、これは毎日ルーティーンでこなせたら素敵だと思います。
一般人がいきなりこれやるのはムリだから、1つか2つかマネするのがいいのかな。





集中力問題


次に「やる気が出ない」「集中できない」という問題。
これには

・マイナスを削減:時間浪費を抑える
・プラスを後押し:やる気・集中力を高める

という2つの側面から対応策を考えてみましょう。



⇒時間浪費を抑える方法

これはおそらく受験勉強での方法と同じだと思われます。
つまり、ゲーム・コミック・ケータイ・PCといった娯楽に利用制限を設ければいい。

少なくともこの記事を読んでいる(書いている)ということは、ケータイ・スマホ・タブレット・PCのいずれかに時間を費やしている可能性が非常に高い。特に依存性が高いのは、SNSか動画サイトかソーシャルゲームあたりじゃないかな。あるいは本来のリサーチ目的から逸れたネットサーフィンか2chまとめとか。

これを制限すればいいんですよ。だけど生活必需品だからコミックのように放棄・封印するわけにはいかない。ならば1日1回夕食後〜風呂の間しかtwitterを開いてはいけない、とかね。



⇒やる気・集中力を高める方法

まず、モチベーションを高める方法。
これは意識高い方々が色々なハウツーを掲げていますよね。
「自分だけの1冊」を読むとか、講演会に行くとか、頑張ってる他の人を見るとか。

でもそういった方法って長期的なものをイメージしているんですよ。
1年間の資格勉強で、毎週日曜にその本を読んでやる気維持しましょう!みたいな。もちろんそういうのをトリガーにして5月病を解決できたら素敵です。

が、ここで考えるべきなのはもう少し短期の問題。
いまから1時間以内に作業や勉強に取りかかれるようなモチベーション上昇法です。



んで、結論を言うと、そんな方法はない。
頑張ってる友人の話を聞けばやる気は出るかもしれないです。
でも出ないかもしれないです。

同様に集中力を高める方法も、ない。
多くの場合「集中力を高めるハウツー」というのはもともと集中力がない人に向けた内容が多い気がします。
しかし、5月病に困っている人というのは「持ち前の集中力を活かせない」ことが問題なのであって、明らかに話がズレている。



じゃあどうするんだよって話なんですが、結論はこれ。

毎日15分を意識して能力を上げる方法 - NAVER まとめ
http://matome.naver.jp/odai/2133706050176108801

「とにかく毎日15分やる」クセをつける
http://www.hanashikata.com/125katukotu001.html



たいてい人は最初のうちは、「毎日30分やろう、いや、1時間やろう!」と欲張ります。心掛けはいいが、なかなか続きません。
そこでとにかく毎日15分やってみてください。どんなに忙しくても、15分くらいはとれます。毎日15分を日課にクセにするのです。

これらは習慣化の記事ですがポイントが分かるので引用しました。
要は、とにかく15分でいいからやってみろ!ということです。


「モチベーションや集中力」→「1時間の行動」

ではなく

「15分の行動」→「モチベーションや集中力」
→「さらに行動」→…


という正のスパイラルにしたほうが効率良いよ、というお話。
なんだかんだでやっていくうちに面白くなってくるものです。

だとしたら初動のハードルを低めにして、いますぐ15分だけやってみる、というのが最適解かなと。もちろんやるべきことを明確にイメージした上でね。15分という短い時間だと「ここまでやろう」と目標が細分化・具体化される点もプラスですね。



15分集中にさえ起爆剤が必要な方は、
場所か人の力を借りるしかないです。

カフェに行って勉強するとか。
友人と一緒に課題をやるとか。
尊敬する人の言葉を聞くとか。

モチベーションの話にもどってしまうけど、
短期的であればこういう方法しかないですよね。

まぁ、ここは蛇足かな。とにかくどんどん動きましょう。できるだけ一番面倒くさいことをやりましょう。家でゴロゴロするのが快適だという人はムリヤリでも外出しましょう。スマホでゲームをいじってしまう人は今すぐにでもアプリを消しましょう。理由や言い訳は関係ないです。その甘えが人生を縛ってしまうのであれば今すぐ脱出しましょう。





結論ーー5月病をのりこえる方法

⇒整えるべき環境

・眠りを改善する
(起床の時間から逆算)
(翌朝やることを決めておく)
(眠るための準備をしておく)

・時間の浪費を抑える
(特にケータイとPC利用制限)


⇒身につけるべき姿勢

・とにかく15分だけやってみる
(やる気と集中力は後からついてくる)

・起爆剤は<場所>か<人>
・一番面倒くさいことをやる



こんな感じ。まとめすぎたかな。
とりあえずアレです、自分なりの問題点と解決策を洗い出す参考になればと思います。

少しずつでも生活を改善していきましょう。
一緒に頑張りましょう!

ではノシ

2012/05/24

[書評]『あなたの中のリーダーへ』


またもや英治出版の新刊モニターに当選。
前回に引き続き、ふたたびamazonレビューに投稿しました。

ところがamazonレビューって1000字前後に抑えろと。
文字カウントしたところ2000字だったので泣く泣くカット。
というわけでLongバージョンをこちらに掲載しておきます。

以下『あなたの中のリーダーへ』のレビュー。
相変わらず厳しめで☆3つの評価にしたけど、まぁ面白いよ。
やっぱエピソードが魅力的だからかね。





現状を打破するために必要なこと

英治出版様の新刊モニターとしてレビューを書かせていただきます。
客観性に配慮するため、この書籍の良い点・悪い点ともに挙げていくので、参考にしていただければと思います。



【内容について】

元世界銀行南アジア地域副総裁である著者が
「日本のリーダーから本気がうかがえない」
との問題意識を持って連載していたコラムのまとめとなっている。



著者が世銀で行った組織改革は主に以下の3点。

①女性が活躍できる環境整備

制度としては公平だったが、事実上明らかに昇進・給与面で不当な状況だったのを改善。面白いのが日本の企業のように「職員の何%を女性にする」といった優先権を与えるのではなく、あくまでも男女フェアな状態で改善した点だ。単なる制度変更では意味がないと主張している。

②家族単位での労働環境整備

ワークライフバランスを考えるにあたって「その職員1人の仕事/私生活」という区分けではなく「その職員+家族の生活/仕事」というフレームワークで労働環境を変えたとのこと。家族の負担が減ることでストレスがなくなり、笑顔の絶えない職場になったと説く。

③現地の目線を大切にする姿勢

本来は貧困をなくす仕事、つまり貧しい人々のための仕事でなければいけない。しかし世銀職員は裕福な生活をしてきた者ばかりで現地のニーズを考えない状況になってしまっていた。そこでホームステイのプログラムを導入することで大きくシフトすることができたと言う。



こうした取り組みは、縦割り行政のなかで非常に大きな抵抗にあったとのことだ。笑われ続けて悔しい思いをしながらも、自ら実践し、常に説き続け、適切な説得材料を集めて、応援者を獲得していった。

例えば、金融を扱う以上は見逃せない「リスク」がある。しかし多くの場合「どうせ起きないだろう」と甘い考えで見逃してしまう。それを回避するために著者は「どんな小さなリスクでも見つけたら祝おう」と言って、自腹で宴会を主催。やがて「問題点をみつけると褒められる」というリスク対処の強い文化が形成されるようになった。リーマンショックも1-2年前には予測・対策できていたようだ。

こういった話題は日本の企業・政府(リスク問題ならホットなのは原発か)にも当てはまる。いかに現状を変えるか、を考えるヒントとなるような話題が提供されている。



主に挙げられているのは世銀改革の他に、

・ブータン(国王が数十年かけて国民全員の話を聞いたこと、民主化、国民総幸福の指標)
・山形県庄内地方(庄内の人々の歴史、東北公益文科大学のビジョン)
・バージン諸島(雨水や電気の節約と人間らしい生活スタイル、無根拠な世論に流されない独自の産業発展の歴史)
・『日本でいちばん大切にしたい会社』(人間の幸せを最優先するビジネス・労働のスタイル)

といったテーマがある。
これらの話題を通じて繰り返し主張されているのが

「人間として幸せでいるためにどうしたらいいか」
「生活をしっかり見つめて考えること」

「単に仕組みを変えるのではなく意識を変えなければならない」
「論理がどうこうではなく未来の姿を全身で感じること」

こうした著者の姿勢である。
その姿勢でまっすぐ日本を見ると新しい発見があるかもしれない。


日本が抱える最も大きな問題の1つとして「税収の減少」「社会保障の増加」がある。しかし、高齢者が増えることがなぜ問題なのか。知識が活かせる、高齢者が活躍できる、そんな社会になったら素敵ではないか。「実際の人間の生活」から財政問題をとらえると年金構造とはまったく違った日本社会の問題点が浮かび上がってくるようだ。

この書籍は体験談やメッセージに留まらず
多くのヒントを投げかけてくれるものである。



【良かった点】

・すぐ読める
明確な構成で編集されているわけではなく、連載コラムの形式になっている。
そのため電車や隙間時間にパラパラと読むことができる。

・体験談が興味深い
世銀改革というエピソードは一般の人では味わえない貴重な体験談。
それでいて企業や行政に勤める多くの人が参考になるヒントがちりばめられている。
読み物としても、現状打破のきっかけとしても面白いのではないか。

・オルタナティブな視点
経済成長や財政問題といった「大事だけど目的と手段が入れ替わっている」議論に待ったを投げかける。
本当に大事なものは何か、考えるべき本質は何か、新しい視座を与えてくれる。



【悪かった点】

・文章が不自然
新聞の記事のような書き方なので、本として読むときにやや不自然。類書に比べて読みにくい。
コラム連載時の問題なのでしょうが、同じフレーズが何度か使い回されていて「編集していないのか」と思ってしまったり。
背景説明が不十分でやや飛躍がある。行間を読める人じゃないと「ん?」となってしまうかも。

・パーツだけで本体が見えにくい
まさにコラム。テーマやタイトルが一貫して構成されていないので、通して読むのには向かないかも。
1冊の本として「こういうものです」と言い切れるようなものではない。




【個人的な結論】

誤解を恐れずに言うと「田舎に帰ってじーちゃんから ありがたいお話を聞いた」感覚に近いです。
あれこれと話題が飛んだり、ときどき「んん?」と顔をしかめたくなったり。
だけど話が終わってみると「良い話だったな」「思う所があった」と口から出てくる。
そんな感じの本です。



とまぁこんな感じです。


最近専門書ばかり読んでいたからか、どうしても「この書籍のこの部分はこういう役割を持つ」みたいなお堅い読み方をしてしまうので、連載コラムのスタイルにはちょっと抵抗がありましたが。

そこら辺の偏見も入っているレビューなので、適度に参考にしつつ、興味があったら手にとってみてはいかがでしょうか。少なくとも「組織改革」「世界銀行」あたりのキーワードにビビッと来る人にはかなりオススメです。


あと財政の話は関心しました。私自身、経済学はツールだと言っておきながら、財政再建に関連した勉強をしていると「いや少子高齢化が問題の原因でしょ」と、自己批判を経ることなしに断定してしまっていた。だけど少子高齢化は単なる現象でしかなくて、それが財政負担という形で可視化されるけれども「実際の人々の生活にどう悪影響を与えるか(ここが問題のポイント)」をきちんと吟味しないでいた気がします。

まぁ、だからといって財政はどうでもいいという安易な帰結に移るわけがないのですが。ここはまた別の議論ですね、はい。言いたかったのは「私にはこういう気付きがありました」ってこと。


コラムならではというか、事例が極端だからというか、そういう意味でも非常に「気付き」のある内容だったと思います。具体的な目的を持って読むというよりは、読み終わってから価値に気付ける…そんな本ですね。

おしまい。

2012/05/08

シンプルって本当に大事なことですか?

simple&cleanってどうなんでしょうかって話。
アンチテーゼ大好き。

twitterを眺めていたらこんなツイートが目に入った。

「本当に頭が良い人は説明が分かりやすい」は「俺が分かるように話して欲しい」が悔しくて言えない裏返しの言葉だと自覚してますか。あなたは人の頭の良さ を格付けできる頭をしてません。また、難しい物事を簡単に説明されて理解できたと思った場合、何を意図的に省略されたか考えたことがありますか。 via @Neos21

なるほどーと思ってすぐさまRT。シンプルに考えること、伝えることの重要性は強調されているのに比べて、そのマイナス面…つまり、シンプルにすることによって失われてしまうものの重要性って注目されていないですよね。



シンプルとは削るということ

読書を例に挙げると分かりやすいと思います。
例えば「分かりやすく解説している新書」と「大学の講義で指摘テキストとされている厚い本」なんかがまさにシンプル/複雑をよく表しているんじゃないでしょうか。

具体例として『経済古典は役に立つ』と『入門経済思想史 世俗の思想家たち』の組み合わせや、『落ちこぼれでもわかるマクロ経済学の本』と『マンキュー マクロ経済学』の組み合わせを挙げてみます。

これまでどんな経済学者たちがいて、どんな社会背景のもとで、どんなことに問題意識を持って、そしてどんな解決策(理論)を考えたのか…「人」に焦点を当てて経済学の歴史を概観するのが『経済古典は役に立つ』や『入門経済思想史 世俗の思想家たち』 です。分量・レベルを考えると前者のほうが圧倒的に読みやすいのですが、後者で説明されている魅力的なエピソード(マルクスとエンゲルスがどういう想いで 『資本論』を書き、世間からどんな反応があったか?など)が前者ではあまり紹介されていません。先に後者を読んだ私としては、後から前者を読んでちょっと 物足りなかったというか、友人の講義ノートを書き写すだけのような無味乾燥な印象を受けました。竹中先生ならではの視点や、日本の現状を当てはめて考える という意味では非常に面白かったですが、経済思想史の知識を仕入れるという意味では復習以上の成果は挙げられなかったかなぁというのが正直なところです。

また、マクロ経済学の学習参考書として利用した『落ちこぼれでもわかるマクロ経済学の本』と『マンキュー マクロ経済学』は前者→後者の順番で読んで大正解でした。もともと高校時代に政治経済をマスターしていた人はいきなり本格的なテキストを使っても大丈夫だと思うのですが、私は理系だったため、そういう状態ではなかったんです。前者は非常に分かりやすい。そもそも経済学ってなんやねん、という話から始まってマクロ経済学 という科目(学問分野でさえないレベル)のイメージを掴むにはピッタリだと思います。しかし、例えば家計の消費行動を説明する消費関数C=C0+cY (生活必需品のように所得に関係なくC0の消費を行う+所得Yが増えるほど消費量cYが増えますよという式)は経済学の授業で誰でも習うと思うのですが、 このC0とかcってどうやって決まるの?どういう人間のどういう根拠に基づいたどういう行動を意味しているの?といった「なんでそうなるの?」部分は放棄 されているわけです。だからこそ分かりやすいのですが、しかし理屈が分からないから記憶しにくい。応用できない。そういうときに「なぜなに?」部分にも言 及して概説してくれる後者を読むと非常に良く理解できるわけです。

このように、シンプルであることは、前提知識や読 解力・思考力が不足しているときには大きな助けになります。専門知識を習得するときに、これまでこういった「分かりやすさ」がないがしろにされてきたこと は問題だと言えるでしょう。何より、社会で関わる人間のほとんどがバックグラウンドも知的水準も異なるわけですから、互いに「相手に分かりやすい伝え方」 を心掛けることはマナーの1つだと断言していいでしょう。一方で、いざ深い話をしようとしたときに、いざきちんと理解しようとしたときに、シンプルな情報 だけでは明らかに不十分だと思うのです。

そもそもシンプルという基準自体が移り変わっていきますよね。小学生のころ は新書さえ読むのに苦戦したはずですが、いまこのエントリーを読んで内容を理解できている人であれば新書を読むことに困難はないはずです。シンプル/複雑 の基準自体が自分の知的能力によって推移していく。となると、世の中で「シンプルを徹底せよ」という風潮のもとでテレビ番組・書籍・ブログ記事etc… 様々な情報が形成されていると思うのですが、あえて「シンプル慣れした人が一歩上を見るための情報」がもっと増えてもいいのではないかと思います。



伝えたいことってそんなにシンプルか?

そこでまた自問自答なのですが「自分が伝えたいことって本当にそんなシンプルなことなのか?」と思ってしまったわけです。有名ブロガーやアルファツイッタラ ―の方々って、良くも悪くも「◯◯の人」というシンプルなキャラ作り・メッセージの発信に成功しているケースが多いです。ゆるふわお洒落だったり、ノマド ライフを楽しんでいたり、バックパッカーだったり。マーケティングとしてはそれで正解だと思うのですが、本当に人間ってそんなシンプルになれるものなんで しょうか。

例えば私であれば、どんな勉強をしているか?と言われると現在のメインはファイナンスです。ですが、それ も地域や途上国問題を考えるツールの1つとしての位置づけですし、大学に入って最初に書いた論文はアダルトチルドレンという発達教育学・心理学・社会学的 なテーマを扱ったものでした。結局、様々なバックグランドがあった上でのファイナンスなので「とりあえず日系金融機関から内定取りたいな〜」っていう人と は根本的に話が合わないのです(ケンカ的な意味ではなく実感・共感できないという意味ですよ!念のため)。

当たり前のことなのですが、人間も「人生=情報の羅列/個々のエピソード=個々の情報」という意味では、書籍に書かれた情報と同じで、本来であればそこまでシンプ ルにできないものだと思うのです。とはいえ、もちろん簡潔に自分を紹介する能力が重要なのは間違いないです。ただ、シンプルであることは必ずしも至上命題 ではない、もっと複雑で多様なものに対して寛容であってもいいのではないかと思います。

伊坂幸太郎の「人生は要約できねぇんだよ」(『モダン・タイムズ』)という言葉がまさにこういったことを表してるかなと。

何が言いたいかというと、要約したらはみ出てしまうような、そういった物事の価値も肯定したいねって話です。人生で言えば、ムダに過ごしたと思った時間も、 実は大切な時間かもしれないということです。会話や文章で言えば、本当に重要なことはまとめの文章だけを読んでも理解できないんじゃないかということで す。もしも仮に、就活とか入社とか入学とかで「自分のキャラクター」に縛られてしまうのであれば、シンプル化・レッテル化を促すカテゴライズが息苦しいの であれば、余計なことを考えずにありのままの自分を肯定してあげてもいいんじゃないでしょうか。

「◯◯ちゃんってこういうキャラだったんだ」と言われたら「あなたはいつから他人をカテゴライズするほど偉くなったんですか」と言い返せばいい。心の中でねw



余談ですが(そしてこの余談が長いのですが)出版甲子園というイベントにむかし応募したときの資料を見つけたので、これを掲示しておこうと思います。まさに「シンプルでは伝えきれないこと」を伝えたかったんだな自分は、と思ったので。若干、中2臭いのは仕様です。



◆タイトル

国境を越えた教室


◆企画概要

ジャンル:エッセイ
企画概要:

私が昨年小学校で行った特別授業を本にしたいと思います。日本の小学校と、バングラデシュという途上国の子供たちとを、テレビ電話で繋ぐという授業を行いました。

そ して、チャレンジする中で多くの困難や悩みに直面しました。関係者様との折衷、メンバーとの企画運営、その授業が本当に誰かの役に立つのか、といった点に ついてです。すべての課題を上手く解決できたわけではありませんが、子供たちの笑顔や仲間の存在によって、授業を無事に成功させることができました。

このエピソードを通して「挑戦し、困難や悩みと正面から向き合うこと」の大切さを伝えたいと思います。


◆企画の背景

終身雇用が崩壊し、キャリアの多様化が進むと言われている現代において、多くの若者が「(仕事に限らず)どのような生き方をするか」について悩んでいると思います。

で すが、何も知らないまま、自分で自分の限界を決めてしまうことが多いように感じます。例えば「途上国の問題に興味がある」けど「自分は女性だし、治安・健 康面で不安のある地域で働くのは抵抗がある」という人は「日本でも国際協力に関わる方法はある」「地上国でも安全な場所はある」といったことを知りませ ん。たまに途上国で活躍する人のエピソードを読み、あこがれるだけで終わってしまいます。

普通の学生が、小さなきっかけで、ちょっと特別なことを体験した。億万長者のサクセスストーリーではありませんし、途上国の問題を解決できたわけでもありません。「等身大の学生の、等身大の挑戦」です。だからこそ、多くの若者が生き方を考えるヒントになると思っています。


◆自己アピール

この特別授業は、わずかではありますが、東京都の教育委員会から予算を降ろしてもらえたものです。バングラデシュ側では、ノーベル平和賞を受賞したグラミン銀行という機関の協力を得ました。

私自身は、特別な能力やコネクションを持っていない普通の学生でした。大学1年次に「世の中には面白いものがたくさんある」と感じて、積極的にイベントや旅行に出掛けた結果、偶然「教育関係のネットワーク」「バングラデシュのNGO」関係者の方々と知り合いました。

大学2年の春に、教育関係者の方から誘われたバーベキューにて「出張授業を大学生がやると面白いかもしれない」という先方の軽い言葉がきっかけで今回の授業も実現しました。グラミン銀行の協力を得たのも、ダメもとでメールしたのが始まりでした。

海外経験も少なく、英語のメール1つ送るのにも試行錯誤でしたが、「困難や悩みと向き合う覚悟」と「挑戦する気持ち」さえあれば、誰にでも可能性は広がっていることを自分自身の経歴で証明できると思っています。


◆ターゲットと読者メリット・企画のねらい

大 学生活をどう送ろうかと悩んでいる高校生~大学1、2年生に対しては、ひとつの参考例となると思っています。また、キャリアについて考えている大学3、4 年生や若手社会人の方には、少し特別な体験をした学生がどんな経緯でそこに至ったのかを考える参考にすると思っています。

具体例としての参考以外にも、いま現在何かに取り組んでいる人が「(自分より年下の/自分と同じくらいの)大学生も困難を乗り越えてきた」ことを実感し、困難と向き合うモチベーション向上のために読むことも考えられます。

他にも、教育や途上国問題、IT技術の関係者にとっては、ひとつの実験例として読むことができますし、「テレビ電話で世界が繋がる」「子供たちの笑顔を見たい」といった原点回帰の要素も提供できると考えています。


◆類書との差別化

類書:
社会起業家やボランティア団体のエピソード本

この本のオリジナリティ:
純粋に「社会問題を解決する」わけではない、という点です。
何かに挑戦する時「それが誰かのためになる」と目に見えて分かることのほうが少ない。その意味で、より一般読者に近い視点からエピソードを提供できると思っています。


◆構成案

①好奇心だけで動いた1年
大学1年の時の、教育関係者やグラミン銀行の方々と知り合うまでの経緯をまとめます。当時はひたすら世界の広さに憧れて様々な人々と出会っていました。

②大抜擢のバーベキュー
多摩川でバーベキューをしている最中に、小学校の特別授業をやってみないかと誘われて、軽いノリで思いついた企画案を提示したことから始まりました。

③チーム結成!
提携しようとしたNGOとの話が破産になり、精神的にも追い詰められた状況でしたが、グラミン銀行の方々の活発な言葉や、メンバーが集まったことから道が開けました。

④本当にこれでいいのか…?
刻一刻と迫る授業日。メンバー達と共に準備を進める中、素直に楽しめない自分自身に戸惑うようになりました。教育や途上国の課題と直接対峙することになり、妥協しながら企画を進めている状況だったのです。

⑤国境を越えた笑顔
ついに授業当日を迎え、ハプニングの連続もなんとか乗り越えていきます。しかし未だ自分なりの答えを見出せない私の目に、子供たちの笑顔が映ります。

⑥その瞬間を探して…
授業を終えて、本当に自分が求めていたものがなんだったのかを理解しました。課題点や失敗だらけですが、自分にとっては大きな一歩でした。


◆見本原稿

(重要なシーンの文章を実際に書いてみて下さい)

笑顔が、国境を越えた。

それは特別な光景ではなかった。
たまにSkypeで海外の友人と話していた私にとって、それは特別な光景ではなかった。

そのはずなのに、体中の震えが、止まらなかった。

画面の向こうで手を降るバングラデシュの子供たち。
画面の向こうへ手を降る日本の子供たち。
向こうからは、赤い丸と緑の国旗。
こちらからは、赤い丸と白の国旗。

遠く離れたふたつの国の子供たちが、本当なら出会うこともなかったはずの子供たちが、
言葉も通じないはずの子供たちが、笑顔を共有化した瞬間だった。

単にテレビ電話が珍しいから、海外の人の存在が珍しいから、子供たちがはしゃいでいる。
それだけかもしれない。
たった半日の授業で本当の異文化理解なんてできるわけがない。ちょっと触れてみただけ。
それだけかもしれない。
10年後には何も覚えていないことだってありうる。数ある娯楽の小さな1つに過ぎない。それだけかもしれない。
農村部の貧困問題が解決されたわけでもない。村の外の世界を少し覗いてみただけ。
それだけかもしれない。
これは私達の自己満足でしかなくて、誰かのためになんかならないのかもしれない。
ずっと抱えていた悩みが、頭の中を一斉に駆け巡る。

だけど、頑張って良かった。
子供たちが、遠く離れた場所で、同じ時を共有した。
その瞬間に出会えて良かった。

悩んでいる自分に向かって、もう1人の自分が心の中でそう言った。
何も解決できてはいないけれど、この素敵な瞬間に出会えたことが、素直に嬉しかった。

これまでずっと悩んで来た。
大学に入っていろんな人がいると知った。いろんな問題があると知った。
誰かのために何かをしてみたかった。
生まれて初めて、途上国に行った。バングラデシュの子供たちと話した。
いろんな問題を直接見て「世界平和」という言葉の重さを理解した。

しかし「世界平和」がどんな状態なのか想像できなかった。
何を目指しているのか、その先にどんな世界があるのか、よく分からなかった。

この授業を通してようやく分かった。
言葉も、文化も、経済状況も、何もかも違う子供たち。
彼らが一緒に笑える瞬間。笑顔を共有できる瞬間。

それは一瞬かもしれない。誰かを救うことなどできないかもしれない。
だが、その瞬間こそが自分の求めていたものだった。

ふと高校の文化祭を思い出す。
普段はそれぞれのグループで別々だったクラスメイトが力を合わせて作業する。
普段は特定の授業でしか会うことのない先生たちが入り交じって手助けする。
普段はそれぞれの生活をしている親御さん、見学に来る中学生、他校の友人たち。
皆がステージを取り囲み、出し物のダンスを楽しむ。

本来なら出会うはずのなかった人々が、笑顔を共有する瞬間。
これが私にとっての世界平和だった。

軽いきっかけから始まった挑戦。困難や悩みと向き合い続けた日々。仲間たちの努力。
学校に働きかけてくれたY先生のサポート。
バングラデシュの悪環境のなかで準備をしてくれたAやF氏の協力。
国境を越えた教室が、子供たちの笑顔が、私に答えを与えてくれた。



あいたたたたた…(/>ω<)/
うん、これは自分で読んでて恥ずかしいっすわー!笑

まぁ… ですね、体験としては面白いと言ってもらえたんですよ。ただ、例えば学校を建てましたとか、NPOを設立しましたとか、そういう分かりやすさが欲しいか ら、上手く「コンセプト」を1本絞ってもらえないかなと注文されたんですよ。その注文は一理ありますよね。だってその方が読者は獲得しやすいですから、ど う考えても。

でも、それっておかしな話なんですよ。学校を建てました?NPOを設立しました?…それって全然本質的 ではないんですよ。むしろ学校経営が継続できずに状況をより悪化させてしまうケースだとか、法人格を取得しても(社会起業が活発と言われるアメリカでさ え)ほとんどの組織が助成金依存で手段・目的の逆転が起きてしまっている。だからこうした行為が悪い、というのではありません。ただ、シンプルで分かりや すい情報の背後には、こういった問題を除外しているという現実があるわけです。

上に書いてあるように、私が伝えた かったのは「挑戦し、困難や悩みと正面から向き合うこと」です。シンプルな思考放棄に逃げないで、何が正しいのか・どうすべきなのかを考え抜くことも、そ のメッセージに含まれています。だからありのままに思ったことや悩んだことを伝えたかったんですよ。等身大の立場から。…と言いつつ、冷静に考えるとマー ケティング的に何の差別化もできていなくてアウトなんですけどね。

そんなこんなで反発した私は「だったらいいです」みたいな感じで取り下げたのですが。…うん、若いな。最近はこの若さって結構大事なんじゃないかとも思っていますが。



ザッポスという本があってだな


んでんで、私が描こうと思っていたコンセプトに最も近い書籍を見つけたので最後に紹介しておこうと思います。amazonにバイアウトされた企業ザッポスが成功するまでの試行錯誤を描いた『顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか』 (トニー・シェイ)です。CEOである著者が、幼少期から大学時代までありとあらゆるビジネスを思いついてはチャレンジし、失敗していくなかで様々なこと を学んで行き、そしてついにザッポスを成功へと導くことになるという体験談です。各エピソードの終わりに「この体験から学んだこと」のリストが示されてい るので、まさに試行錯誤→学習のサイクルを追体験できるようになっているわけです。

私が甘かったのはこういう部分で しょうね。もし本当に「試行錯誤することや困難に向き合うことで学びがあるよ!」というメッセージを送るのであれば、「失敗・悩み」と「学び」とを伝える 工夫(例えば『ザッポス伝説』のリストのようなもの)を組み込む必要があったわけだ。シンプルではない内容を、シンプルなコンセプトに落とし込み、しかし 重要な部分を省略せずに伝えるようデザインする。こういう視点で言えば、数ある起業家の書籍の中でも『ザッポス伝説』はひときわ輝いていると思います。



…あれ、結局何これ、本の宣伝?w

って思ったヤツは甘い。
シンプルにまとまらないところに良さがあるんだよ。

って考え方じゃダメだと分かったね。
デザイン思考というか、いかに複雑な内容を受け止めさせるシナリオを設計するかって大事ですね。


というお話でしたとさ。
じゃあのノシ